アジア版Tinderの「Paktor」が日本と韓国でもローンチ、YJキャピタルなどから1000万ドルを調達済み

img_0152

東南アジアでTinderと対抗するデートアプリ「Paktor」が自社のグローバル化に拍車をかける新たな動きを見せた。シンガポールに拠点を置くPaktorは、グローバル展開の一部として、日本と韓国へ進出するために資金調達1000万ドルに右スワイプしたのである。

今回の投資ラウンドはYahoo Capitalのコーポレートベンチャーキャピタル、YJ Capitalがリードし、既存投資家のVertex Ventures(シンガポール政府が持つ投資会社Temasekが所有)、MNC Media Group、MajuvenとConvergence Venturesに加え、Global Grand Leisure、Golden Equator Capital、Sebrina Holdingsといった新たな投資会社も参加した。

Paktorは昨年のシリーズBで調達した740万ドルを含め、これまでに総額2200万ドルを調達している。その資金を駆使してTinderのような出会いだけでなく、グループ旅行やスピードデートなど、オフラインでのイベントやサービスなども提供してきた。さらにPaktorが当初視野に入れていた地域を超え、シンガポール、インドネシア、フィリピン、マレーシア、タイ、ベトナムと、東南アジア6大国に進出を果たした。

今回の日本と韓国への進出は、Yahoo! Japanと強い繋がりがあるYJ Capitalが支援する。時価総額85億ドルにもなる日本最大級のポータルサイトとメディア会社であるYahoo! Japanは、ソフトバンクとYahoo! による合併会社だ。しかし、Paktorが企む進出計画はそれだけではない。

Paktorは、Match.comやTinderなどの企業を所有するInterActiveCorp(以下IAC)の元役員2名を雇用し、アジアを超えた国際進出も視野に入れている。IAC傘下のスペインの出会い系サイトMeeticの元役員であるJose RuanoとMiguel Mangasは、それぞれ現在Paktor InternationalのCEOとマーケティング部門のヴァイス・プレジデントとして、同社のグローバル化を担当している。M&Aやメディアとのパートナーシップを担うという。

Paktorはこれまでに南アメリカ拠点の「Kickoff」を未公開の値段で5月に買収している。2013年に2人の友人とPaktor起業したCEO兼共同ファウンダー、 Joseph Phuaによると、Paktorはさらに欧州とアジアの企業2社の買収を直に完了するという。現時点でPhuaはそれ以上語っていないが、バックエンド技術、ブランディングの強化や配信プラットフォームを獲得するために、すでに他国のメディア会社とパートナーシップを結んでいる。

興味深いことに、中国とインドはまだその計画に入ってはいない。

「私たちには(インドや中国)について知識がなく、今はそのような不確実性に挑戦したくはないと、明確な判断を下しました」とPhuaはあいまいに語った。(一方でTinderは、インドが同社の最大規模のマーケットとなる可能性があるとし、初の国際オフィスを同国に設置している。)

いずれにせよ、今後2ヶ月間で買収が完了すれば、Paktorと買収された企業(もうすぐ3社になる)は合計1500万の登録ユーザーを確保することになると、Phuaは言う。昨年10月に筆者がPhuaと話した際、彼は東南アジアに600万の登録ユーザーがいると言っていたが、現時点の数字は公開していない。

ただ、Paktorはユーザーエンゲージメントを向上させる様々な新機能を追加したという。それらの新機能はユーザーの1日の平均スワイプ数を160回から200回に、日々の利用時間を30分から40分に、そしてマッチされたユーザー同士の間で交わされる、3つかそれ以上の会話を200%増加させたと主張する。

さらに、Paktorはインドネシア、ベトナムやタイなどの新興国市場で新たな料金モデルの導入を決定し、今年は少なくとも1000万ドルの利益の獲得を目標としている。それらの新興国市場では、価格に敏感なユーザー向けに、会員料金をより小規模で手頃なプランに再構成する予定だ。

「既存のマーケット外にチャンスを見つけたので、今回のラウンドで資金を調達しました。今回のラウンドは、私たちを戦略的にサポートするものです」と、Phuaは電話インタビューで語った。「1、2年も経てば、投資家は私たちの長期プランに関心を持つと考えています」。

「次のステップは、運用資産をかさ上げし、収益をあげることです。12ヶ月後には、合併買収のターゲットになるか、あるいはさらなる買収を計画するなど、踏むべきステップはより明確になっているでしょう。しかし、現時点ではなんとも言えません」とPhuaは続けた。

「今はまだ私たちのブランドが強いためにチャンスが舞い降りてきます。しかしそれに挑戦するならば、今後12〜18ヶ月の間にエクジットが実現することはないでしょう。」

[原文へ]

(翻訳:Tomoya Mori)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。