2013年にアップル(Apple)は、サファイアガラスに5億7800万ドル(約642億円)という大金を投じた。それは、4回に分けて支払われるGT Advanced Technologiesへの前払金だった。その極めて硬い素材はすでに同社のホームボタンやカメラに使われていたが、計画ではそれを量産してゴリラガラスをリプレースするつもりだった。
しかしその翌年、GTは倒産した。工場は閉鎖され、ガラスを作る炉は売却され、債務の清算計画が発表された。米国時間5月3日、米証券取引委員会(Securities and Exchange Commission、SEC)は、そのニューハンプシャー州の製造企業と元CEOを詐欺で告訴した。
訴状によるとGTは、その素材の生産能力に関して投資家を騙し、また3億ドルあまりの債務をAppleに隠していた。SECはこう書いている。「債務を別の費目に置き換えることによって財務状況を偽装し、GTはAppleが協定に違反したという証拠のない、従って一般に公表もできない主張に依拠して、その契約履行義務から逃れようとした」。
委員会は当時のCEOだったThomas Gutierrez氏を、2014年の決算報告でその生産能力と生産目標を偽り、その後に根拠のない売上予測を発表したとして非難している。その同じ年の後半に同社は破産を申請し、操業を停止して非上場の企業になった。
SECの執行部副部長Anita B. Bandy氏は、プレスリリースに伴う声明でこう述べている。「GTとそのCEOは会社のパフォーマンスと資金獲得能力に関してバラ色の絵を描き、それはGTの存続にとって不可欠だったが彼らはまた、それが会社に壊滅的な結果をもたらすという情報を知ってもいた。経営責任者らは投資家たちに真実を開示するというもっとも基本的な義務を履行していないので、彼らの責任追求を今後も続ける」。
AppleはGTを、コーニング社の技術に依存しているその他のデバイスからiPhoneを差別化するための方法と見ていた。しかしGTの目標不達成とその後の倒産により、ゴリラガラスは今なお、Appleのスマートフォンの主要部位であり続けている。
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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa)