アップルは米国時間4月30日、2019年1〜3月期の業績を発表した。報告書のタイトルは「サービス収入が史上最高の1150億ドルに達する」としているように、iPhoneなどのハードウェアの売り上げは落ち込んだが、サービスやソフトウェアの収入が増えたことをアピールする内容だった。
売上高は、前年同期比5%減の580億1500万ドル(約6兆4630億円)のの減収で、内訳は製品465億6500万ドル(約5兆1890億円)、サービスが114億5000万ドル(約1兆2760億円)。純利益は、前年同期16%減の115億6100万(約1兆2880億円)ドルで2四半期連続の減益だ。iPhoneの販売不振が続いたことが主な原因と考えられる。
製品別の売上高は、iPhoneが310億5100万ドル(約3兆4600億円)と前年同期17%減、Apple Watchなどのウェアラブル端末などは30%増、iPadも22%増、Macは5%減となった。アプリ販売や音楽配信などのサービス部門は114億5000万ドル(約1兆2760億円)で16%増と、四半期ベースで過去最高を更新している。Apple Watch系は堅調な伸びを示しており、iPadは新モデルの投入により売上を伸ばしたと考えられる。
地域別の売上高は、北米と日本は依然好調で、それぞれ255億9600万ドル(約2兆8513億円)で前年同期3%増、55億3200万ドル(約6162億円)で前年同期1%増とプラスを維持したが、グレートチャイナ(中国や台湾など中華圏)では102億1800万ドル(約1兆1382億円)で前年同期22%減、中国・台湾を除くアジア地域が36億1500万ドル(約4027億円)で8.6%減、欧州も130億5400万ドル(約1兆4542億円)で21.5%減となった。
iPhone売り上げの大幅減は市場の予想どおりだが、純利益がアナリストの予想より伸びたことや自社株買いの効果などにより同社の株価は上昇した。iPhoneが売れないのでアップルの株価が下がるという現象は、もはや底を打ったのかもしれない。
iPhoneの買い換えサイクルが長期化する中、iPhoneの売り上げが落ちるのはいわば当たり前。ハードウェアのテクノロジーではここ数年、ファーウェイやサムスンの二番煎じになっている現状を考えると、ハードウェア依存から脱却するいいタイミングかもしれない。
決算の数字から想像すると、先日の発表会で北米や英語圏を中心とするサービスの発表が目立つ印象だったのは、大幅なテコ入れが必要だが、もはやテコ入れしても改善しない確率が高い中華圏よりも、堅調な北米の業績を維持・伸長させる戦略を採ったからだろう。
個人的に気になるのは、今後アップルがライバルひしめくアジアでどう戦っていくか。日本はかろうじて1%増の売上となったが、ほかの地域に比べると金額が1桁少ない。日本を中国・台湾を除くアジア地域に入れてしまうと2.9%減の減収だ。日本を除くアジア全体でiPhoneの需要が急速にしぼんでいる現状で、他言語に比べてローカライズやカルチャライズの手間のかかる日本向けのサービスをどれだけ充実させていく気があるのだろうか。日本国内も4月1日〜7日のBCNの売上ランキングでファーウェイ端末が1位になるなど、決してiPhoneが盤石なわけではない。