アプリ開発者向けエッジコンピューティングサービスのMacrometaが、DNX主導のシードラウンドで7.4億円を調達

COVID-19のパンデミックによる、人びとの自宅作業や学習が続く中で、エッジコンピューティングへの関心が高まっている(TBR記事)。アプリ開発者にエッジコンピューティング向けインフラストラクチャを提供する、パロアルト拠点のMacrometa(マクロメータ)は、米国時間10月1日、700万ドル(約7億4000万円)のシードラウンドを終了したことを発表した。

このラウンドは、初期ステージのB2Bスタートアップに焦点を当てた投資ファンドの、DNX Venturesが主導した。他に参加したのは、以前にも投資を行ったBenhamou Global Ventures、Partech Partners、Fusion Fund、Sway Ventures、Velar Capital、Shasta Venturesなどである。

クラウドコンピューティングは、Amazon、IBM、Microsoft、Googleなどのプロバイダーが所有するサーバーとデータセンターに依存しているが、エッジコンピューティングは地理的に分散していて、処理がデータソースの近くで行われるため、パフォーマンスが向上する。

最高経営責任者のChetan Venkatesh(チェタン・ベンケタッシュ)氏とチーフアーキテクトのDurga Gokina(ドゥルガー・ゴーキナ)氏によって2018年に設立されたMacrometaの、グローバル分散データサービスGlobal Data Network(グローバル・データ・ネットワーク)は、分散型noSQLデータベースと低遅延ストリームデータ処理エンジンを組み合わせたものだ。これを使うことで、開発者は世界中の175のエッジリージョンで、クラウドアプリとAPIを実行することができる。遅延を減らすために、アプリのリクエストはユーザーに最も近いリージョンに送信される。Macrometaは、グローバルなリクエストを50ミリ秒未満で処理できるため、DyanmoDB(ダイナモDB)、MongoDB(モンゴDB)、Firebase(ファイアベース)などのクラウドプラットフォームよりも50〜100倍高速だと主張している。Macrometaが競合他社と差別化する方法の1つは、開発者が単一のプロバイダーではなく、たとえばGoogle Cloud(グーグル・クラウド)やAmazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス)などの、クラウドプロバイダーのグローバルネットワーク全体に保存されているデータを操作できるようにすることだ。

より多くの通信会社が5Gネットワークを展開するにつれて、Macrometaのようなグローバルに分散されたサーバーレスデータコンピューティングサービスへの需要は、特にエンタープライズソフトウェアのサポート向けに増加することが予想されている。Latent AI(レイテントAI)、SiMa.ai(未訳記事)(シーマAI)、Pensando(ペンサンド)などの他のエッジコンピューティング関連のスタートアップたちが、最近になって資金を調達している。

Macrometaの広報担当者は、今回のシードラウンドには予定額を上回る応募があったという。なぜならパンデミックによって、最近IPOを行ったSnowflake(スノーフレイク)のようなクラウドおよびエッジ企業への投資家の関心が高まったからだ。

またMacrometaはやはり米国時間10月1日に、DNXのマネージングパートナーであるQ Motiwala(Q・モティワラ)氏、元Auth0(オース0)およびxnor.ai(ゾナーAI)の最高経営責任者のJon Gelsey(ジョン・ゲルシー)、そしてArmorblox(アーマーブロックス)の最高技術責任者であるRob Fry(ロブ・フライ)氏を取締役会に加えたことも発表した。

モティワラ氏は資金調達についての声明で、次のように述べている。「今後5年から10年のクラウドの進化を見たとき、エンタープライズ開発者たちが、現在のクラウドアーキテクチャーが課す、制約、スケーリング制限、高コストの壁を超えるために、Macrometaのようなプラットフォームを必要とすることは明らかです。Macrometaがエッジコンピューティングのために行っていることは、Amazon Web Servicesが10年前にクラウドに対して行ったことと同じです」。

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(翻訳:sako)

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TechCrunch Japan

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