イチゴを傷つけずに収穫するロボットのTrapticが商業展開を開始

Trapticを初めて取り上げたのは、2019年のDisrupt SFのBattlefieldで決勝に残ったときだ。米国時間7月1日、サウスベイのロボティクススタートアップは、いくつかの大きな進展を発表した。Trapticは2021年7月初めに、イチゴを収穫するモバイルロボットの商業展開を開始する。

Trapticによると、米国のイチゴ生産者のトップ5に入るBlazer-Wilkinsonが、6月にこの技術の導入を開始し、システムは人間のピッカーと連携して仕事をしている。これは、パンデミックの影響で多くの農業関連企業が支援を求めていた2020年の試験運用に続くものだ。

新型コロナウイルス(COVID-19)以前にも、人手不足による廃棄物は非常に多かった。Trapticの調査によれば、米国のイチゴの約10%が収穫されずに畑で腐っており、年間で3億ドル(約334億8000万円)もの廃棄物が発生しているという。パンデミックの際には、H-2A労働者の渡航が制限されていたため、さらに大きな問題となった。

同社の飛躍は、2019年後期のパンデミック前に500万ドル(約5億6000万円)のシリーズAを未発表で調達したことの効果が大きい。そのときの投資家は、Collaborative Fund、Homebrew Ventures、そしてK9 Venturesだった。共同創業者でCEOのLewis Anderson(ルイス・アンダーソン)氏は「最新の資金はパイロットモデルを成功させるために使いました。商用機の設計と製造、そして弊社初の顧客が代価を払うデプロイを、どうしても成功させる必要がありました」と語る。それ以前の資金調達は、2017年のアーリーステージ300万ドル(約3億3000万円)、さらにその前は前年となる2016年の40万ドル(約4500万円)だった。同社の合計調達額は840万ドル(約9億4000万円)になる。

 

Collaborative FundのCraig Shapiro(クレイグ・シャピロ)氏は、TechCrunchへのコメントの中で「記録的な熱波によって農作業者が屋内に閉じ込められ、収穫ができなくなっている現在、Trapticの使命はこれまで以上にタイムリーなものになっています。」と述べている。「彼らのロボット式イチゴ収穫機が商業用の畑に投入されたことは、100億ドル(約1兆1160億円)規模のイチゴ市場にとって大きな前進であり、広く農業生産の未来を覗き見ることができます。Collaborativeは、作物の安全性を高め、フードサプライチェーン全体でより安全な雇用を創出する技術を支援できることを誇りに思っており、Trapticがそのビジョンを実現するための適切なチームであることを確信しています」と述べた。

Trapticのシステムは、ロボットのアームに3DカメラとAIによる視野を組み合わせて、傷つきやすい果実を破壊せずに収穫する。同社は現在、主にロボット工学とエンジニアリングの分野で約10人の従業員を抱えており、カリフォルニア大学バークレー校のPieter Abbeel(ピーテル・アブベル)氏とコーネル大学のSerge Belongie(セルジュ・ベロンジー)氏がアドバイザーを務めている。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:Traptic農業資金調達

画像クレジット:Traptic

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

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TechCrunch Japan

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