イベントや会議、展示会などに参加し、多くのきっかけや機会を生み出すという点でうまくいった場合、それは良い経験だ。しかし、イベントがあまりうまくいかないとき、それは時間とお金の浪費という点でリスクになりえる。
Shutterstock(シャッタースクトック)の元幹部、Alex Reynolds(アレックス・レイノルズ)氏とStefan Deeran(ステファン・ディアラン)氏の2人は、APIとコンピュータビジョンの収益化に一緒に取り組み、そうしたいまいちなイベントにいくつか参加した経験から、どのイベントをリストのトップにもってくるか、会社のどのチームメンバーが行けば投資対効果を最大化できるかを判断する、より良い方法があるはずだと考えた。
「イベントマーケティングは、チーム全体で行う大規模なスポーツのようなもの、との結論に至りました」とレイノルズ氏はTechCrunchに語った。「経営陣、営業チーム、さまざまなマーケティングチーム、運営、調達が関わってきますが、そのコラボレーション、説明責任、可視性を支援するプラットフォームや記録システムがないのです」。
その結果、例えば、毎年開催される3万以上の展示会のうち、どの展示会に出展べきか、過去にその展示会でどれだけの収益を上げたかなど、企業が基本的な質問に答えるのは非常に難しい、と同氏は話す。Shutterstockのイベントチームとマーケティングチームの協力を得て、レイノルズ氏とディアラン氏は社内でプロセスを作成する方法を考え、チャネルからのROI(投資利益率)が劇的にアップするのを確認した。
そこで2人は、このアプローチが他のビジネスでも有効かどうかを検証することにした。2021年末にVendulux(ヴェンディラクス)の構築を開始し、すでにActiveCampaign、Gainsight、Gorgiasなど十数社の顧客が、講演者、スポンサー、参加者といったデータを含め、3万以上の対面およびバーチャルイベントの独自データベースにアクセスしている。
Vendeluxは、一般に公開されているソースからデータを取得し、特定のイベントにどのスポンサーや講演者が参加するかを表示することができる。また、ユーザーは、LinkedInの連絡先も含め、自分のCRM(顧客管理)から情報をアップロードすることもでき、とある企業が今後イベントに参加する予定があるか、自分のネットワークの誰かがイベントで講演するかどうかを逐一確認することができる。
1月に一般向けにサービスを開始したVendeluxは、前月比で2桁の売上増を記録している。同社は米国時間1月28日、Tenacity Venture Capitalがリードし、Earl Grey、Shafqat Islam、Avi Muchnikなどの戦略的エンジェル投資家が参加したシードラウンドで240万ドル(約2億7000万円)を調達したと発表した。
今回の資金調達は、主に製品開発とチーム拡大に充てられる。このラウンドを完了する前、創業者たちは自己資金で運営していた。しかし、レイノルズ氏は、顧客からの問い合わせと機能の構築を両立させることが難しくなってきたと述べた。
「火に少し燃料を注ぐのに、そしてチームを強化するのに適した時期だと思ったのです」と同氏は付け加えた。「製品面では、統合の点でまだまだ追加したいことがたくさんあります」。
一方、レイノルズ氏とディアラン氏は、会社の成長に探索、実行、評価の3段階でアプローチしている。同社は現在、イベント・インテリジェンス分野の探索に注力しており、今回のシードラウンドで実行に移すことになる。
企業がどこに行き、誰を派遣すればよいかがわかったら、次のステップとして、創業者たちが検討しているのは、事前に十分なミーティングを予約し、発生しているデータを把握し、担当者のパフォーマンスやROIをリアルタイムで確認できるようにするすことだ。
「イベントマーケティング担当者は、大規模な計画を立て、適切な場所にすべての人を集めるという、マーケティングチームの縁の下の力持ちのような存在ですが、説明責任と可視性を促進するためのプラットフォームを持っていません」とレイノルズ氏は付け加えた。「当社はそのような記録システムとなり、企業がどこに向かうべきか、それが価値の観点から何を意味するのかについて、よりデータに基づいた決定を下すことをサポートしたいと考えています」。
画像クレジット:Vendelux / Vendelux founders Stefan Deeran and Alex Reynolds
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(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi)