リップシンク(口パク)は、TikTokをInstagramに代わって、ティーンズカルチャーの中心に急浮上させた。そこでFacebookの所有するInstagramは、新しい機能で反撃に出た。Musicスタンプ機能を使って追加したビデオStoryのサウンドトラックに、歌詞(Lyric)を同期表示させることができるようになるのだ。歌詞が表示されることで、クリエイターとファンたちが一緒に歌うことができるようになる。そして視覚的なきらめきは、アマチュアMTVコンテンツを、より見栄えのするものにしてくれるだろう。
Instagramが、歌詞付きStoryのデモビデオとして、「怖いポップ現象」として人気を誇るBillie Eilishをフィーチャーしたところ、絶大な支持を得た。このビデオはInstagram Musicが提供されているすべての国(米国、ドイツ、そしてフランスなど。ただし現在日本ではまだ提供されていない)で視聴可能になっている。
この機能を利用するには、撮影する前にMusicレンズタイプ(オプションとしてはBoomerangなど)を選ぶか、撮影後にMusicスタンプを選択する。曲を選ぶと、音楽の再生したい部分を特定するのに役立つ歌詞が、ポップアップ表示される。その後は、伝統的なカラオケ歌詞表示、歌が進むにつれて表示されて行くタイプライター型、そして大きくピカピカしたビルボードフォントなどの中から、スタイルを選択することができる。
「MusicはInstagram上での表現で大きな部分を占めることが可能です。Storyに音楽を加えることと、アーティストとつながること、歌の録音を送り合うことなど、Instagramの上で音楽とつながる手段は沢山あるのです」とInstagramの広報担当者は私に語った。「現在私たちは、音楽機能を開発しながら、ユーザーがストーリーに歌を追加したときに歌詞も追加できる機能も追加しているところです」。Instagramが提供してきたほとんどすべてのものと同様に、この機能はまず、TechCrunchにしばしばタレコミを行うリバースエンジニアリングマスターのジェーン・マンチュン・ウォン(Jane Manchun Wong)氏によってAndroidのコードから掘り出されて、世界へ知らされることになった。彼女が最初にLyrics気が付いたのは3月だった。それを受けて私たちは4月にプロトタイプについて言及した記事を書いている。
だがTikTokもただ待っているわけではない。本日TikTokは、ビデオにオーバーレイされたキャプションを加える、独自のテキスト機能を開始した。通常、クリエイターたちがテキストを加えるためには、Snapcat、Instagram Stories、またはデスクトップ編集ソフトウェアを使用する必要があった。クリエイターたちが、TikTok上のテキスト表示のための、爆笑もののユースケースをたくさん見つけてくれるのは確実だ。そしてそれは、これまでキャプションを紙の上に書いて、クリップの中で見せるという、よくあるやり方を置き換える手助けになるだろう。
こうした機能のすべてが、ソーシャルビデオの鮮度を保つためのものである。The Atlantic上でTaylor Lorenzがきっちりと示したように、手入れの行き届いた、骨の折れるポーズをとるInstagramの美学は終わりを告げたのだ。ファンは完璧さにうんざりしていて、それは嫉妬を生み出し、偽物や不正なもののように感じさせている。コメディ、不条理、そして現実世界の生々しさが、ソーシャルメディアの新しい「外観」になりつつある。歌詞とテキストをオーバーレイするためのツールは、より複雑なジョークを表現したり、単に馬鹿げた振る舞いをする自由をクリエイターたちに与える。Billie Eilish自身のおどろおどろしくシックなファッションと、彼女自身の不安を表現しようする意欲に対する人気の高さは、このシフトを示す例だ。なので彼女をビジュアルコミュニケーションの次の波を表す顔として使ったInstagramはスマートなのだ。
【Japan編集部追記]現在日本ではInstagram Musicそのものがまだ提供されていないため、歌詞表示機能も提供されていない。
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(翻訳:sako)