インド発、牛乳配達サービスのSupr Dialyが150万ドル調達――国内の営業地域拡大を目指す

牛乳配達はディスラプションとは無縁なサービスのように思えるが、インド発のスタートアップSupr Dailyはまさに牛乳配達の在り方を変えようとしている。Y Combinatorのプログラムを今年修了した同社は、この度サービス提供地域の拡大を目的に複数の投資家から150万ドルを調達した。

2月のSupr Dailyに関する記事の通り、同社のサービスの目的は、カオス状態にあるインドの牛乳配達システムを整備し、付随する品質問題を解決することだ。

インド政府の調査によれば、配達される牛乳の68%が配達人のせいで”汚染されている”可能性がある。彼らは収入を増やすために牛乳をかさ増ししているのだ。そのため、配達される牛乳には洗剤や苛性ソーダ、グルコースのほか、変色を防ぐために白い塗料や精製油が含まれているとTimes Internetは報じている。そこで、Supr Dailyは新鮮な牛乳を直接供給し、配達スタッフにも普通より高い賃金を支払うことで、本物の牛乳を顧客に届けようとしているのだ。さらに顧客は、牛乳と一緒に届けられるテスターを使って品質をチェックすることもできる。

Supr Dailyの主力商品は牛乳だが、定期的に食料品店に足を運ぶのが面倒という人向けに、パンや卵、バター、ココナッツミルクなども販売されている。

2015年に設立されたSupr Dailyは、現在ムンバイ市内の15地区でサービスを提供している。共同ファウンダーのPuneet Kumarによれば、配達数は間もなく100万件に達するとのこと。ローンチ時は、サービスが受け入れられるかを試すために意図的に営業地域を絞っていたが、現在Kumarともう一人の共同ファウンダーであるShreyas Nagdawaneは市場の拡大を狙っている。まずはムンバイ全体にサービスを広げ、その後に他の主要都市にも手を伸ばそうという考えのようだ。

「(調達した)資金はスケールのほか、今後インドの主要都市にビジネスを展開するため、どうやればひとつの都市を制覇できるのかという戦略を練るために使われる予定です」とKumarは話す。

また、Supr Dialyの株主には、Soma CapitalやGreat Oaks Ventures、122 West Venturesのほか、エンジェル投資家のPaul Buchheit(Y Combinatorパートナー)、Jared Friedman、Roger Eganなど、さまざまな投資家が名を連ねている。なお、昨年Roger Eganは、シンガポールを拠点に生鮮食料品のEC事業を行っていたRedmartをAlibaba傘下のLazadaに売却していた。

「食品を扱う私たちを支えてくれるような、食料品市場のことを良く知る人たちを投資家に迎えました」とKumarは話す。

Supr Dailyの業績に関する詳しい情報は明らかになっておらず、同社はY Combinatorのプログラムに在籍中の今年のQ1に売上が4倍になったとだけ語った。その一方で、Supr Dailyは他のオンデマンド事業やデリバリー事業とは違って採算がとれているとKumarは言う。

「1件1件の配達で利益が出ていますし、ユニットエコノミクスは健全な水準です」と彼は説明する。「バーンレートもかなり低いので、今回の調達資金があればスケールに時間がかかっても問題ありません」

「ラストワンマイルの配達にかかるコストは5セント以下で、Supr Dialyには(他の配達サービスと比べて)20〜30倍のコスト優位性があるので、私たちはかなり有利な立場にあると言えます」とKumarは付け加えた。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

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