Elon Musk(イーロン・マスク)氏のトンネル掘削・交通スタートアップThe Boring Company(ボーリング)が、ラスベガスコンベンションセンター周辺で地下Loopシステムを使って人々を輸送するという4870万ドルのプロジェクトを獲得した。同社にとってこれが初の商業契約となる。
Campus Wide People MoverまたはCWPMの名称が付けられたこのプロジェクトの初期デザインは、CES 2021のころまでには完了する見込みの拡張工事の最中にあるラスベガスコンベンションセンターにフォーカスしていた。新たに拡張されるラスベガスコンベンションセンターは工事が完了すれば広さは約200エーカーとなる。LVCVA(ラスベガス観光局)は施設内を歩き回る人は端から端まで2マイルを移動することになると試算し、これにより移動手段を確保する必要があるとの結論に至った。
3月、LVCVAはボーリングを推薦した。そしてLVCVAの取締役会は5月23日に事業契約を承認した。
この承認はかなりの条件が付随し、ボーリングに特定の目標を達成するよう求めている。その目標については、今月初めのThe Guardianに詳細が記されている。契約では、建設が完了するまで支払いの3分の2は保留され、ボーリングは利用者輸送に関する特定のゴールを達成しなければならない。
LVCVAはボーリングへの支払いとして、2019年に初めの120万ドル、そして翌2020年に1500万ドル、そして最終年の2021年には3247万ドルを見積もっている。
プロジェクトは現在のところ限定的だが、いつの日かダウンタウンとコンベンションセンター、ラスベガス・ブールバードのリゾート街道、マッカラン国際空港を結ぶことができるかもしれない、とボーリングは過去に述べている。
契約書類によると、この地下乗客輸送には車両用のトンネルと歩行者用のトンネルの計2本の建設が含まれている。2つのトンネルの長さは1マイル以下になることが想定されている。乗客が乗り降りする3つの駅、そして乗客が各駅へアクセスするためのエレベーターもしくはエスカレーターが設置される。
客を乗せるムーバーが完成すれば、部分的に変更が加えられたTesla(テスラ)の電動車で人々を高速で運ぶようになる。契約書にはこれらは自動運転車両と記されている(現在のところテスラの車両は自動運転ではなく、その代わり高度なドライバーアシスト機能を搭載している)。また、供用が開始される前に、ボーリングがシステムを3カ月間テストする、とも契約書にある。
マスク氏のボーリングが1つの契約を獲得した一方で、ワシントンD.C.とボルティモアを結ぶ、より野心的なLoopシステムのデザインについては安全面で懸念が出ている。
長さ35.3マイルのシステムの詳細は、505ページに及ぶ環境影響評価のドラフトで最近明らかにり、そこではデザインがいくつかの主要安全基準を満たしていないことがわかっている。この地下システムには非常用出口が十分になく、また最新のエンジニアリングプラクティスを無視していて、とある教授が「狂気の沙汰そのもの」と呼ぶ避難はしごを客に使わせようとしているようだ。
イメージクレジット: Getty Images
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(翻訳:Mizoguchi)