エグゼクティブだけでなく幅広い管理職にコーチングを届けるSounding Boardが13.6億円調達

分散したチームとバーチャルのみのコミュニケーションによって定義された前例のない仕事環境の中で、2人の共同設立者は、2018年の彼女らの賭けがこれまで以上に正しかったと思っている。それは、メンターもメンターシップを必要としているということだ。

Sounding Boardを考え出したブレーンであるChristine Tao(クリスティン・タオ)氏Lori Mazan(ロリ・マザン)氏は、組織内のあらゆるリーダーがより優れたリーダーになるようにトレーニングしたいと考えている。サンフランシスコを拠点にする同社は、初めてのマネージャーから経営幹部レベルのエグゼクティブまで誰でも、マーケットプレイスを通じてコーチとつなげている。

収益は2016年から毎年2倍か3倍になっており、同社によると「数百万ドル(数億円)」の範囲で推移しているという。しかし、新型コロナウイルスのパンデミックを受けて、Sounding Boardはそのプラットフォームへの需要がさらに高まっていることを目の当たりにした。四半期ごとの予約は2020年第2四半期から3.4倍に増加しており、過去5ヶ月間で月次収益は2倍になっている。

この成長に伴い、共同設立者の2人は、Sounding Boardの次のステップは、コーチングサービスを超えて、新しいスキルがビジネス開発にどのような影響を与えているかをリーダーに示すことができるプラットフォームへと成長させることだと語る。この新製品は、参加者とコーチが洞察力、進捗状況、行動を追跡できるようにするためのハブとロードマップとしての役割を果たすことを意図している。

プラットフォーム内で、ユーザーはコーチとのセッションをスケジュールしたり、誰かとマッチングしたり、リソースを見たり、割り当てられたタスクを完了したりすることができる。その先には、OKR関連のソフトウェアと同様に、コーチとマネージャーが継続的に目標を測定できる機能がある。

「コンテンツは素晴らしいものですが、そのコンテンツを応用できなければ、あまり役には立ちません」とマザン氏はいう。「このコーチングは、何かのコンテンツから得た洞察や学習を、職場で実際に活用できるようにするためのものです」。

この新製品は、従来はエグゼクティブコーチングと呼ばれていた月に一度の対面ミーティングを、マネージャーのワークフローの中で生き生きとしたものに変えてくれるという。

この製品は、ユーザーが自分の進捗状況についてより良いフィードバックを得られるようにするだけでなく、Sounding Boardのサービスを拡大するのにも役立つ。Sounding Boardのアドバイザーは、ユーザーが考えていることやワークフローをより多くの方法で把握できるようになったので、すべての通話が同期的である必要はなく、より均等に管理できるようになった。

共同設立者たちは、長期的な差別化はこの機能にあると考えている。誰でもマーケットプレイスを作ることは可能だが、コーチング後の効果を追跡するためには、シームレスで使いやすい技術が必要だ。

タオ氏は、同社が万人向けではないことを認めている。Sounding Boardは、IPOに向けて後期段階にある、高度成長のマインドセットを持つ企業に早期採用されてきた。Sounding Boardのようなサードパーティが参入し、チーム全体のリーダーをスケールさせるには、その成熟度がスイートスポットとなった。顧客には、VMware、Uber、Plaid、Chime、Dropboxなどがある。

とはいえ、組織内では、Sounding Boardのユーザーの60%が初任管理職、30%が中間層、10%が経営幹部レベルだという。共同設立者たちは、これらの数字は、競合他社が提供しているものを超えたメンターシップに対する幅広い需要を示していると考えている。それらは多くの場合、経営幹部レベル向けライフコーチの領域やストレス管理に固執している。

「誰もが、コーチングは経営幹部レベルのエグゼクティブだけではなく、もっと広い範囲で提供しなければならないと気づき始めていますが、それが何を意味するのかわからないこともあります」とマザン氏はいう。

新型コロナウイルスの追い風もあり、Sounding Boardは数百万ドルのベンチャーキャピタルを新たに誘致することに成功した。同社はTechCrunchの取材に対して、Canaan Partnersが主導するシリーズAで1310万ドル(約13億6000万円)を調達したと明かした。他の投資家には、Correlation Ventures、Bloomberg Beta、Precursor Venturesのほか、Degreed創業者のDavid Blake(デイビッド・ブレイク)氏、オンライン学習マーケットプレイスUdemy(ユーデミー)の元CEOであるKevin Johnson(ケビン・ジョンソン)氏などが名を連ねている。

【訳註:「sounding board」には〔新しいアイデアなどの良しあしの〕相談役、共鳴版というような意味がある。】

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(翻訳:Nakazato)

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TechCrunch Japan

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