自然言語処理、データクレンジング、Pandasを用いたデータ処理——これらはAIプログラミングを学べる「Aidemy」で、実際に提供されているコースの一例だ。
開発元のアイデミーは4月10日、同サービスの会員登録数が3月末に1万人を突破したことを明らかにした。Aidemyのリリースは2017年12月の下旬で、リリースからは約100日。本日より有料会員プランを開始するほか、新講座「異常検知入門」の提供も始める。
プログラミング学習サービスと言えば、これまでTechCrunchでも紹介してきた「Progate」や「TechAcademy」のように、初心者からでも始めやすいものが多かったように思う。一方のAidemyはというと、Python入門のようなコースも用意されているものの、より専門的な内容が多い。
実際アイデミー代表取締役CEOの石川聡彦氏によると「利用者の7割を占める社会人のうち、7割は理系学部出身者」なのだという。もともと2017年の9月に、AIプラグラミングに特化したオンライン家庭教師サービスをリリース。これは約2ヶ月間、ビデオチャットやテキストチャットで講師からフィードバックを受けながら、集中的にプログラミングスキルを学ぶというものだ。
「当初は文系の人でもわかりやすく学べるというテーマでやっていたが、実際にサービスを始めると受講者の8割近くがエンジニアだった。サービスを提供する中でこの分野はエンジニアにニーズがあると気づき、現在提供しているAidemyはエンジニア向けに開発している」(石川氏)
現在はAI関連の技術を中心に15のコースを提供している。理論よりも実践を重視し、実際にコードを書きながら学んでいくスタイルが特徴。学習は全てブラウザ上で完結するため、特別な環境の用意は一切必要ない。特にITエンジニアのユーザーが多く、機械エンジニア、ケミカルエンジニアと続く。ほとんどが業務にAIを活用する目的で受講しているのだそうだ。
これまでは無料でサービスを提供していたが、本日から有料会員プランをスタート。Python入門、機械学習入門、ディープラーニング基礎の3コースは引き続き無料で受講でき、それ以外のコースは有料となる。
受講方法は各コースごとの買い切り型と、月額定額のサブスクリプション型(チケット制)。単体では1コースだいたい2000~3000円のものが多いそうで、サブスクリプションの場合は若干安く受講できるという。
Aidemyでは当初AIに特化していたが、Twitterで「Pythonによるブロックチェーン実装」講座のニーズを探ってみたところ大きな反響があり正式にサービス化。引き続きAI関連のコースを充実させながらも、たとえば量子コンピュータなど先端技術を学べるサービスを目指すという。
また個人向けには夏頃を目処に海外版のリリースを予定しているほか、法人向けのビジネスにも着手する。企業の研修コンテンツとしてAidemyを提供する「Aidemy Business」は6月リリース予定だが、すでにディップへの導入が決まった。
その先の展開としてプログラミングスキルを学んだ人材の転職支援や、企業がAIやブロックチェーンを活用したシステムを開発する際のサポートも事業として行っていく方針。
「『社会と技術の距離を縮めていこう』というのをひとつの目標にしている。プログラミング学習サービスを通じて技術を知ってもらう部分はもちろん、先端技術に関わる分野に関して人材紹介や開発支援までやっていきたいという思いがある」(石川氏)
アイデミーは2014年の創業。当時、東京大学の学生だった石川氏が立ち上げた。デリバリーサービスやポイントカードアプリ、キュレーションメディアなど複数の事業にチャレンジするも失敗。3年目はシステム制作やデータ解析など、受託事業をやっていたという。同時期に大学に復学、機械学習応用系の研究に携わったことなどもあり、現在の事業を始めた。
同社は2017年の6月にSkyland Venturesとファクトリアル代表取締役社長の金田喜人氏から、同年11月に東京大学エッジキャピタル、ペロリ創業者の中川綾太郎氏、クラウドワークス取締役副社長COOの成田修造氏からそれぞれ資金調達を実施。累計で約1700万円を集めている。