エンジニアリングチームのスケジュール管理をサポートするAcumenが約7.5億円調達

エンジニアリングのチームは、スケジュールどおりに開発を進めていくと厳しい課題に直面することがあり、そのスケジュールの遅れは組織全体に影響を与える。この問題に取り組むために、エンジニアリングオペレーションを専門とするイスラエルのスタートアップ、Acumen(アキュメン)は米国時間2月24日、700万ドル(約7億5000万円)のシード資金を調達したと発表した。

このラウンドには、Hetz(ヘッツ)、10D、Crescendo(クレッシェンド)、Jibe(ジャイブ)が参加しており、同スタートアップが継続して製品の発展と市場投入を行うための資金を提供する。約1年前からベータ版の顧客と協力を続けてきた同社はこの日、ステルスモードからの脱却を発表した。

Acumenの共同創業者でCEOを務めるNevo Alva(ニーボー・アルバ)氏は、経験豊富なスタートアップ創業者だ。同氏はこれまで、エンジニアリングチームが成長するに連れて、データやチームのパフォーマンスに関する洞察力が不足し、苦戦するのを何度も見てきた。そのような企業に欠けている可視性を提供するため、同氏とその共同創業者はAcumenを起ち上げた。

「エンジニアリングチームの規模が大きくなると、チーム内で何が起こっているのかが見えなくなるため、課題に直面することになります。急にタスクの優先順位付けが難しくなるのです。人々はスケジュールに影響を与える相互依存関係を毎日のように経験しています」と、アルバ氏は説明する。

同氏によれば、これは生産性と速度の低下を引き起こし、そして最終的には会社全体に影響を与える納期に間に合わなくなることで現れるという。Acumenがやることは、まずさまざまな計画やコミュニケーションのツールからデータを収集し、それから機械学習を使用してスケジュールに影響を与える可能性のある潜在的な問題を特定。そしてその情報をカスタマイズ可能なダッシュボードに表示する。

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このツールは、さまざまなプロジェクトを期限内に完了させる責任を負ったエンジニアリングチームのリーダーを対象としており、彼らがボトルネックの可能性を認識するための助けとなることを目的とする。このソフトウェアの機械学習アルゴリズムは、どのような状況が問題を引き起こすのかを時間をかけて学習し、大きな問題にならないようにするための提案を示してくれる。

2019年7月にAcumenを設立した後、創業者たちは最初の10カ月で、十数社のパートナーとともに製品の最初のバージョンを構築し、SOC-2などさまざまな標準化団体の審査に合格できるかどうかを確認した。2020年からクローズドプライベートベータの段階に入っており、2月の最終週に正式発表された。

Acumenは現在20人の従業員を抱えており、2021年中に10人の増員を計画している。2020年のほとんどをリモートで仕事した後、もはや新規雇用に場所はまったく重要ではないと、アルバ氏はいう。「どこに住んでいる人を雇用するかということは、明らかに重要ではなくなっています。リモートで仕事をする上で、タイムゾーンはまだ考慮すべきだと思いますが」と、同氏は語っている。実際、同社の20人の従業員はイスラエル、米国、東ヨーロッパに住んでいるという。

アルバ氏は、従業員が孤立して仕事をしていると感じることがあると理解しているため、Acumenでは毎日ビデオ会議を行っており、その最初には仕事以外のことについておしゃべりするという。それが連帯感を維持するための方法になるからだ。Acumenはこれから、本格的に市場参入に向けて力を入れていく。Harness(ハーネス)やPinpoint(ピンポイント)のような競合製品があることをアルバ氏は認識しているが、データと機械学習の活用が差別化に役立つと考えている。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Acumen資金調達エンジニアイスラエル

画像クレジット:Jetta Productions Inc / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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