Rocket Labが再利用可能な衛星打ち上げ用大型ロケットを発表、最大積載量8トン

SPAC(特別買収目的会社)との合併による上場のニュースだけでは十分ではなかったようで、Rocket Labは米国3月1日、開発中の新たなクラスのロケットを発表した。Neutronと呼ばれるロケットは最大8トンを軌道へと運搬することができる。同社が現在使用しているロケットElectronの最大積載量300kgをはるかに超える。NeutronはSpaceXのFalcon 9ブースターと違って海上ランディングプラットフォームから打ち上げられるように設計されており、1段目部分は完全に再利用可能だ。

Neutronは大型のマルチ衛星コンステレーションを立ち上げる顧客からの増大する需要に応えるべくデザインされる、とRocket Labは話す。これまでよりも大きな積載量での運搬は、衛星コンステレーションをすばやく軌道に乗せるためにより多くの小型衛星を一度に打ち上げられることを意味する。同社によると、この積載容量だと現在予測されている2029年までの打ち上げの98%に対応でき、国際宇宙ステーションへの物資供給にも使える。同社はまた、有人宇宙ミッションにも使えるとし、これは同社にとって初の飛行士が乗り込める宇宙船を開発するという野心も示している。

NeutronはRocket Labの顧客ベースを大きく拡大することになりそうだ。そして効率と再利用性にフォーカスした設計のため、現在使用しているElectronよりもコストや経済性で優れる。Neutronはバージニア州ワロップス島にある同社の施設から打ち上げられる予定となっている。施設にはすでに発射台が設置され、2024年までに最初のNeutron打ち上げを実施できると予想している。ロサンゼルスにある本社とワロップス島の打ち上げ場に加え、Rocket Labは新しいロケットを大量生産するために米国にNeutron生産施設も建設する予定だ。

SpaceXのFalcon 9の打ち上げ能力には及ばないが、それでもNeutronはFalcon 9より少ないペイロードを月や宇宙のはるか向こうに運ぶことができるロケットとなるよう意図されている。民官の組織が今後10年でかなりの量、そしてさまざまな衛星コンステレーションを軌道に乗せるとの予測があり、現在、中型ロケットはかなり大きな関心を集めている。衛星コンステレーションはコスト、そして通信から地球観測までを網羅するという点でかなりメリットがある。別のロケット打ち上げスタートアップRelativity Spaceも、最初の小型ロケットを補うためにより大型のロケットを開発するという似たような計画を発表したばかりだ

関連記事:Relativity Spaceが完全再利用可能な新しい大型ロケットの建造計画を発表

カテゴリー:宇宙
タグ:Rocket Labロケット

画像クレジット:Rocket Lab

原文へ

(文:Darrell Etherington、翻訳:Nariko Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。