ロケット打ち上げのRocket LabがSPAC合併で上場へ、企業価値4370億円に

SPAC(特別買収目的会社)の波が宇宙開発スタートアップにも押し寄せている。現在流行しているSPAC合併が広がる前、この業界のエグジットするペースは比較的緩やかなものだった。Rocket Labは最新のSPAC合併例となり、最も注目すべきものとなりそうだ。VectorというSPACとの合併によりティッカーシンボル「RKLB」でNASDAQに上場する。合併は2021年第2四半期に完了する見込みだ。

ニュージーランドで創業されたRocket Labは本社をロサンゼルスに移したが、それでもニュージーランドでロケットを打ち上げている。合併による形式上の企業価値は41億ドル(約4370億円)、VectorやBlackRockなどからの4億7000万ドル(約500億円)のPIPE(上場企業の私募増資)を通じて総現金残高は7億5000万ドル(約800億円)となる。Rocket Labの既存株主は合併会社の総株式の82%を保有する。

ロケット打ち上げ企業であるRocket Labは2006年に創業され、創業者のPeter Beck(ピーター・ベック)氏が率いてきた。2013年にカリフォルニアに本社を置き、同社にとって米国では初の打ち上げ施設をバージニア州ワロップス島に設置した。すばやく、フレキシブルな打ち上げオプションを念頭に、同施設は成長中の小型衛星マーケットに対応すべくデザインされている。

Rocket Labは、国家安全保障のペイロードなど米政府に代わってロケットを打ち上げてきた。同社の成長にとってこれは売上高を確保する主要な機会だ。現在、同社は受注残を抱えており、調整後で2023年には「EBITDA黒字」となる見込みで、2024年までにキャッシュフローは完全に黒字に、2026年までに売上高ランレートは10億ドル(約1070億円)を超えると予想されている。

同社はさまざまな方法で頻繁に打ち上げる能力を高めることに注力してきた。自動化された大規模なカーボンファイバー生産能力にフォーカスし、生産能力を着実に向上させている。同社はまた、前述のどおり米国に打ち上げ場を設置し、同社所有のニュージーランドの打ち上げ場に次ぐ2つ目の発射台として間もなく開所する。それから部分的に再利用可能なロケットElectronの製造にも取り組んでいる。「これはより早く打ち上げを行うのに貢献する」とベック氏はいう。

最後に、同社は8トンまでのペイロードを搭載することができるNeutronという従来のものより大型の打ち上げロケットも発表している

カテゴリー:宇宙
タグ:Rocket LabSPAC

画像クレジット:Rocket Lab

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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