100円均一ショップに似たモバイルアプリを運営するHollarがシリーズBで3000万ドルを調達したことを発表した。リード投資家を務めたのはKleiner Perkins Caufield & Byers(KPCB)で、他にも新規投資家のComcast VenturesとGreycroft Partners、そして既存投資家のLightspeed Venture Partners、Index Ventures、Forerunner Ventures、PritzkerGroupも本ラウンドに参加している。
これに際し、KPCBでGeneral Partnerを務めるEric FengがHollarの取締役会に加入する。
これまでにHollarは合計で4750万ドルの資金調達を完了している。シリーズAでは1200万ドル、シードラウンドでは550万ドルを調達しており、この間はわずか4ヶ月だ。
Hollarはとても興味深いビジネスに取り組んでいる。取り扱われている商品の値段は非常に安く、そのほとんどは2ドル程度の商品だ。創業後10ヶ月のあいだは5ドル以上の商品を取り扱っていなかったが、今後はホリデーシーズンに合わせて10ドル程度の商品も取り入れていく。これによって、より高いクオリティの玩具やギフトを取り揃えることができる。
Hollarのバックグラウンドを説明すると、同社のアイデアはThe Honest Company CEOのBrian Leeが構想したモデルが元となっている。彼がHollarの共同創業者兼CEOであるDavid Yeom(当時はHonestのバイスプレジデント)と同社のコンセプトを練り上げ、このビジネスを開始するに至ったのだ。現在Leeは同社の取締役会のメンバーではあるが、日々の経営には関与していない。
Yeomによれば、当初はオンラインで100円均一ショップを運営するというアイデアを理解してくれる人はいなかったという。
「私たちが創業した当初は、みなが口を揃えて”2ドルの商品を売るビジネスで稼げるわけがない!”と言っていました」とYeomは笑いながら話す。しかし、そのように否定的な態度をとる人々は、100円均一ショップで買い物する人々の消費者行動を理解していなかった。1つの商品だけを買うために100円均一ショップに行く人はいない。その安い商品をカゴいっぱいに詰めて買い物をするのだ。
Hollarで買い物をするユーザーの消費者行動も同じだ。
実際、Hollarの買い物かごに入れられる金額は1人あたり15ドルから30ドル程度となっており、この数字は従来型ショップの2倍以上にもなるとYeomは説明する。つまり、Hollarの顧客は1人あたり平均して10ドルの買い物をするということだ。
これこそが、同社が6ヶ月間で100万ドルを超える売上を達成し、毎月2桁の成長を成し遂げている理由なのだ。
ただし、Hollarでは10ドル以下の買い物をすることができないこと、また、25ドル以上の買い物でないと送料が発生することも平均注文価格の増加に寄与しているだろう。
HollarはWebとモバイルの合計で100万人以上のユーザーを獲得したと主張している。しかし、Sensor Towerによって集計されたデータによると、HollarのiOSアプリが米国内でダウンロードされた回数は19万2000回程度しかなかった。とは言うものの、同社はAndroidアプリも提供しているし、Webでも買い物をすることは可能だ。
しかし、本当に興味深いのは、広告チャネル以外からの顧客流入が全体の半数にものぼるという点だ。この数字は同社が口コミによって成長してきたことを表している。ついでに言っておくと、私はその事実を目の当たりにしたのだ。私の頼みで友人数名がHollarを試してみたとき、彼らは合計で20ドル以上の商品を買い物かごに詰め込んでいたのだ。
売上高と同じく、Hollarの利用者数も増加している。その大半はモバイルアプリからの利用だ。
現在Hollarは1万種類以上の商品を取り扱っており、来月までには300点以上のHollarのプライベートブランド(PB)商品がラインナップに加えられる予定だ。それには家庭用品やキッチン用品、家電、アクセサリーなどが含まれており、なんとHollarブランドのスマートフォン用VRヘッドセットも発売するという。
YeomはPB商品から得られるマージンについて詳細を明かさなかったものの、外部製品に比べると「大幅に大きい」マージンが得られると話す。
従来型の100円均一ショップに似たHollarではあるが、実店舗を真似ていないところが1つある。食料品の取り扱いだ。この点についてYeomは、「私たちはその分野にあまり投資をしていません。軽くて、楽しいものを取り扱うというコンセプトに忠実でありたいと思っています」と話している。
Hollarが掲げる成長戦略は、PB商品と慎重に選ばれた取扱商品だけではない。その1つが、2017年の第1四半期にローンチを予定しているHollar独自のマーケットプレイスだ。これは、AmazonやeBayのように売り手が直接Hollarのユーザーに商品を販売できる仕組みだ。
「本当の意味でスケールしたいのであれば、これが本当に適切なアプローチなのだと思います」とYeomは語る。「Eコマースのビジネスでは在庫はすぐに無くなります。それを常に気にかけていなければなりません。マーケットプレイスは、より幅広い商品を顧客に提供するための方法の1つなのです」。
Hollarのマーケットプレイスに参加する売り手には厳しい審査を課すことで、商品のクオリティを維持する予定だと彼は話している。
「それには細心の注意を払い、売り手を厳しく審査するつもりです。(中略)顧客体験を第一に考えることを徹底していきたいと思っています」とYeomは説明する。売り手を評価したり、レビューを投稿するシステムも来年には導入し、顧客がフィードバックできる仕組みを取り入れていく。
現在は150名のチームで運営されているHollarは、これまで別々の場所にあった倉庫とオフィスを統合するにあたってチームを増強していく予定だ。新しいオフィス兼倉庫の予定地は約1万7000平方メートルの面積を持ち、皮肉にも、元々99セントショップが所有していた建物だという。同社は米国東海岸にも倉庫を設置する予定だ。
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