今週AWSは、年次re:Inventカスタマーカンファレンスを開催した。新しいサービスを次々に発表した中で、1つのことが明らかになった:ガートナーの推計によれば、このマーケットをリードする会社は、最も近い14の競合他社を合わせたよりも10倍の大きさであり、その栄光に甘んじることなく伸び続けている。
そのマーケットのリードが競合を震え上がらせるには十分でないというなら、やはりガートナーのデータによれば、AWSのS3ストレージがサーバーに格納している純粋なデータ量は競合の合計の1.6倍である、これはガートナーのマジッククアドラント内の他のすべてのオブジェクトストレージサービスを組み合わせたものに比べて1.6倍ということだ。
こうしたことは、IBM、Google、Microsoft(Oracle、Alibabaはもちろん)のような競合他社にとっては悪いニュースだが、AWSが優位である理由は、先行者であるから(もちろんそれも理由の1つだが)だけではなく、驚くべき速さで革新を続けているからでもある。 CEOのAndy Jassy氏がre:Inventのキーノート中に示したチャートによれば、昨年の722件からこの1年で約1000件の新機能が追加されている。
ここで生じる疑問は、競合たちはどうやってこのマーケット支配力と純粋な革新パワーに追いついていくのだろうか、ということである。Battery VenturesのゼネラルパートナーであるDharmesh Thakkerは、ベンダーロックインに対する懸念が、助け舟になるだろうと語っている。全ての卵を1つのバスケットに入れるものは今やいないし、クラウドで年に3桁の成長率を保つGoogleやMicrosoftをすぐにお払い箱にしようとしているものもいない。
「Microsoft Azureは有力な候補です、Googleは確かにほとんどのハイテク企業よりも優れたインフラストラクチャを管理する方法を知っていますが、その差は顕著で、日に日に広がっています」とThakkerはTechCrunchに語った。GoogleとMicrosoftは、革新的な面に追いつくためにその深いポケット(豊富な資金)を利用することはできるが、データ量の格差を克服することは難しい。
「MicrosoftとGoogleはAWSとのギャップを埋めるために、ソフトウェアスタックを充実させていくことはできますが、増大するデータ重量のギャップ、AWSのサービスをネイティブで使うS3によって管理されるデータ量へのギャップには、競合が追いつくことはとても困難になっています」と彼は指摘した。
Constellation ResearchのプリンシパルアナリストであるRay Wangは、会社をまだAWSに移行する気にはならない。同氏は、マイクロソフトとオラクルは、快適で親しみがあり、すでに強い存在感を持っているという理由で、企業には強みを持っていると言う。使い慣れたツールを使用してオンプレミスからクラウドに移行することは、すべてをAWSに移行するよりも難しくはない。
Trinity VenturesのパートナーであるDan Sholnickが、AWSがまだ遅れているとみている分野の1つは人工知能だ、これは、開発者がソフトウェアを構築する方法の大きな変革の一部である。同社は今週、いくつかの発表でそのギャップをクローズしようとしたが、この重要な分野で先行しているMicrosoftとGoogleに追いつくための道のりは遠い。
「AmazonはAIに出遅れていて、彼らはそれを知っていますね。彼らは(Amazon Echoの)基盤となるインフラストラクチャおよび開発を誰でもアクセス可能なものにしようとしています。そしてAmazonは(今週発表されたサービスである)Rekognition、Lex、そしてPollyを強くプッシュしていきます」とSholnickは語った。
もちろん、新機能ごとに、誰がリードしているかにかかわらず、競争相手からの反応が返って来る。この時点で誰もが疑問に思うのは、誰かAWSを実際に捕まえることができるのだろうか?ということだ。それはどれほど速く成長していようとも、困難な仕事になる筈だ。しかし3000億ドルの潜在的可能性がある、ITインフラストラクチャのマーケットで、まだ白旗を掲げているものはいない。
私たちが学んできたように、例え明白に優位なマーケットリーダーが存在していたとしても、テクノロジーは素早く変わり得る。AWSが現在大きなアドバンテージを持っているからといって、それは将来に渡って安泰ということを意味しない、しかし今週見たように、それはペースダウンの兆しを見せておらず、強烈なプレッシャーを競合にかけ続けている。
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(翻訳:Sako)