クラウドエクイティプラットフォームのSeedrsが既存のセカンダリーマーケットをあらゆる企業に開放

Seedrs(2017年にイギリス初のフル機能プライベートエクイティセカンダリーマーケットの提供を開始)は、すべての非公開企業にセカンダリーマーケットを開放している。 これにより、創設者、従業員、初期投資家がIPOやエグジットを待たずに二次的流動性を実現できる。Seedrsは3年前から同社プラットフォームで既発行株式の放出を行ってきたが、これまで同プラットフォームは、直接Seedrsと取り引きしたことのあるユーザーだけに開放されていた。

投資家はSecondary Marketの「ダイレクトリスティング」に自らの株式を直接上場し、Seedrsの投資家ネットワークに売却できるほか、「セカンダリーキャンペーン」を介して顧客や既存の株主に株式を売却すること、あるいは「プライベートリスティング」を介して株式を売却したり、機関投資家やファンドからなるSeedrsネットワークにアクセスしたりできるようになる。

これまでのところ、Seedrsは総額4000万ドル(約42億円)の資金をAugmentum FintechやSchroders plc(旧Woodford Investment Management)を含む投資家から調達している。同プラットフォームでエグジットを果たした最も有名な企業には、Pod Point、Wealthify、FreeAgentが含まれる。

この開放が行われるまでに、Seedrs Secondary Marketは2万2000件のセカンダリトランザクションを実行し、過去6か月間のセカンダリートレードで平均50万ポンド(約7000万円)/月を記録した。 2020年、Revolutの株主は150万ポンド(約2億1000万円)以上の株式を売り、市場での平均利益は598%にのぼった。現在は、株式をプレミアム価格で販売したり割引したりできるよう、Secondary Marketサービスに動的価格設定が追加された。

今年初め、SeedrsとCapdeskは共同での取り組みを実現し、これによりCapdeskに上場されている企業はSeedrsマーケットプレイスを介して株式を売却したり資本政策表を調整したりできるようになった。

SeedrsのCEO、Jeff Kelisky(ジェフ・ケリスキー)氏は、一次資金調達に加え、同社は毎月新たに30社をSecondary Marketに追加していると語った。

「企業が長期間株式を公開しない現在の環境では特にそうですが、二次流動市場へのアクセスが非公開企業の投資エコシステムにおいてますます重要になっています。プライベートエクイティ投資に向けたフルスケールのマーケットプレイスを構築する中で、当社は非公開企業の既発行株式の売却は投資において不可欠かつ期待を集めている要素だとみています」と彼は述べた。

COVID-19によるパンデミック下で、投資家のSecondary Marketに対する需要が高まり、プラットフォームへのアクセスを望む非公開企業や株主からの問い合わせが増えているという。

セカンダリーキャンペーンを実施した最初の企業は、子供を有害なオンライン活動から保護するスタートアップ、SafeToNetであった。 同社は一次資金調達ラウンドで150の投資家から250万ポンド(約3億5000万円)を確保し、その後、創設者および従業員らによるセカンダリーで30万ポンド(約4000万円)を獲得した。

SafeToNetの共同創設であるRichard Pursey(リチャード・パーシー)氏は「当初の資金調達の目標額であった250万ポンド(約3億5000万円)を速やかに達成でき、既発行株式の売却を通じてより多くの投資家に当社のコミュニティに参加いただける機会を提供できたことを大変喜ばしく思います。当社にとっては、一部の既存の株主にエグジットの機会を提供しつつ、同時に独立した企業として引き続きSafeToNetを成長させることが重要です。また既発行株式の売却は当社にとって、株式をさらに手放すことなく新しい投資家に参画いただき、ブランドに対する情熱をもった支持者で当社の顧客コミュニティを構築する素晴らしい方法でもあります」と声明の中で述べた。

共同創設者兼会長のJeff Lynn(ジェフ・リン)氏は「これは、当社がここしばらく取り組んできたものです。当社はプライマリーキャンペーンが終了したその裏で、人々にセカンダリートレードをする場を提供していました。現在、当社は、今までに一度も取り引きしたことのない企業との協力を開始し、初期投資家や従業員の既発行株式の売却を支援しようとしています。需要と関心は非常に高まっています」と、Techcrunchに語った。

「私はこの状況はおそらくエコシステムの進化を示していると思います。現在、2010年代前半に資金提供を受けたテック企業が、依然として成長を続け、事業も順調ではあるものの必ずしもIPOには至っていない、という地点にたどり着いたところです。従って多くの初期投資家が幾分の流動性を得たいと望んでおり、当社はそれを提供しようとしています。」

彼は競合他社であるCrowdcubeは企業が既発行株式の売却をスムーズにすすめられるよう支援するサービスを行ってきたが、Seedrsもセカンダリーマーケットへの直接上場を行っていると述べた。「企業からの投資家は当社のプラットフォームを利用することで、フルキャンペーンを行わずにセカンダリーマーケットを通して株式を直接売却することができます。また、当社はこれを当社の機関投資家向け運用商品に織り込んでいます。ですから、当社のいわゆるアンカー投資家サービスに既発行株式の売却を導入することで、約350の機関投資家および準機関投資家を対象にプットオプションの取引が可能になります。」

テック企業は特にその傾向が強いが、プライベートエクイティのサービスプロバイダーが統合する中、セカンダリーマーケットの規模は世界規模で拡大中である。

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カテゴリー:フィンテック

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(翻訳:Dragonfly)

投稿者:

TechCrunch Japan

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