クラウドセキュリティのLaceworkが2年連続収益300%増で約545.7億円のシリーズD投資調達

2020年にパンデミックが発生したことで、企業は軒並みクラウドサービスへの移行を加速させた。クラウドセキュリティのスタートアップであるLaceworkは、顧客がクラウドネイティブのワークロードを安全に保護する方法を探していたため、適切な場所に適切なタイミングでいたといえる。同社は、収益が2年連続で前年比300%増となったことを報告した。

このようなパフォーマンスが評価され、同社は米国時間1月7日、5億2500万ドル(約545億7000万円)をシリーズDで調達した。正確な評価額は明らかにされていないが、10億ドル(約1039億円)を超えたということなので、多額の投資を得ただけある。Sutter HillとAltimeter CapitalがD1 Capital Management、Coatue、Dragoneer Investment Group、Liberty Global Ventures、Snowflake Ventures、Tiger Global Managementの協力を得て、このラウンドをリードした。同社はこれまで、6億ドル(約623億6000万円)近くを調達している。

Lacework社のCEOであるDan Hubbard(ダン・ハバード)氏は、投資家からの関心がこれほどまでに広まった理由の1つは、同社のセキュリティソリューションの幅広さにあると述べている。「当社は企業がクラウドで安全に構築するのを可能にしており、市場の複数の異なるカテゴリーにまたがっているため、顧客にそれが役立っています」。

構成(コンフィギュレーション)やコンプライアンス、コードとしてのインフラストラクチャのセキュリティ、ビルド時やランタイムの脆弱性スキャン、Kubernetesやコンテナなどのクラウドネイティブ環境のランタイムセキュリティなど、さまざまなサービスを網羅しているとハバード氏はいう。

同社は収益の伸びにともない、従業員を急速に増やしてきた。2020年は92人の従業員でスタートし、200人以上の従業員で年を終えたが、2021年末までにはその数を倍増させる計画だという。ハバード氏は、採用を検討するにあたり、多様な人材を含む組織を築いていく必要性を認識しているが、一般的にテック業界はその側面で、これまでのところ良い仕事ができていないとも認めている。

ハバード氏は、社内の様々なチームと協力してこの状況を変えようと努力しているという。また、過小評価グループが必要なスキルを身につけるための教育を支援している外部の組織をサポートし、そこから人材を発展させることにも力を入れている、とも。「早い段階で問題解決の手助けができれば、そこには(人材を養成する)より大きな機会があると思います」。

この企業はもともとSutter Hillの内部で育まれたもので、Snowflakeのプラットフォームの上に構築された。同社によると、今回の総額のうち2000万ドル(約20億8000万円)はSnowflakeの新しいベンチャー部門から出ており、初期のパートナーとして資金を投入しているという。

「我々はSnowflakeのアルファ顧客であり、彼らは我々のアルファ顧客でした。当社のプラットフォームはSnowflakeのデータクラウドの上に構築されており、彼らの新しいベンチャー部門も投資をしてラウンドに参加し、パートナーシップをさらに強化しています」とハバード氏は述べている。

Sutter Hillはどうかというと、投資家のMike Speiser(マイク・スパイザー)氏は、Laceworkを同社の重要な投資の1つと見ているという。「Snowflakeが進化を遂げたときと似て、Laceworkは年間300%以上の収益成長を遂げていることからも、Sutter Hill Venturesの最も重要で有望なポートフォリオ企業の1つです」とスパイザー氏は声明で述べている。

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カテゴリー:ネットサービス
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画像クレジット:Yuichiro Chino / Getty Images

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(翻訳:Nakazato)

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TechCrunch Japan

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