ニュースアプリ「Gunosy」をはじめとして、ユーザーインターフェース(UI)デザインに特化したウェブ制作会社グッドパッチ。同社は10月1日、プロトタイピングツール「Prott」の正式に公開した。
Prottは、プロトタイプを素早く作る「ラピッドプロトタイピング」と、必要なコミュニケーションを的確に行う「ラディカルコミュニケーション」をコンセプトにしたプロトタイピングツールだ。スケッチ画像や写真をアップロードし、左右へのフリックといった操作によって画面がどう遷移するかを設定していくことで、コードを書くことなくプロトタイプを作ることができる。また、ビジネス向けのコミュニケーションツールであるSlackやHipchatと連携することで、プロトタイプの更新情報も共有できる。
Prott – Rapid Prototyping for Mobile Apps from Goodpatch on Vimeo.
2014年4月にベータ版を開始したが、これまでに7000人のユーザーを獲得。デザインコンサルティングファームのIDEOをはじめ、ヤフー、ディー・エヌ・エー、イグニスなどの企業が利用している。今回の正式提供にあ
わせてiOS、Mac、Windows向けのアプリを提供している。実際にiOSアプリのデモを見せてもらったが、写真を取り込み、画面遷移時の動作を選択するだけで、手軽にプロトタイプを作ることができた。
料金は1プロジェクトであれば無料。複数プロジェクトを利用する場合には、1400円のスタータープランから大規模向けのエンタープライズプランまで複数のプランを用意する。
自身のブログ(現在は移転)にあるように、これまで務めていた製作会社を辞めて米国西海岸に行き、働いていた経験もあるグッドパッチ代表取締役の土屋尚史氏。同氏はシリコンバレーから生まれるサービスについて「ベータ版からUIのクオリティが高いものが多い」と説明する。日本だと、スマートフォンアプリを作る際、PCのウェブでの経験を詰め込みすぎる傾向にあるため、機能はすごくても、ゴテゴテしたUIになりがちなのだという。一方でシリコンバレー発のアプリは体験に重きをおいており、「いらない機能は落とす」というものが中心。「(デザイナーだけでなく)CEOからしてデザインに対する意識、考え方が違う。日本は遅れていると思う」(土屋氏)
土屋氏に教えてもらったのだけれども、Prottのようなプロトタイピングツールの競合は、日本企業ではまだいないのだそうだ。ただ海外を見てみると、「POP」や「invision」、「axura」(こちらはNTTデータが国内での販売を担当)など多い。invisionなどは直近も2000万ドルの資金調達をするなど、「ニッチだけれどもマーケットはある」(土屋氏)のだそうだ。
グッドパッチでは今後、Prottにワイヤーフレーム作成をはじめとしたさまざまな機能を追加するほか、外部連携なども進めていくとしている。