ファッションアイテムの画像を組み合わせて自分好みのコーディネートを作成するVASILYのファッションアプリ「iQON」。同アプリの登録会員数(ダウンロード数やアクセスしたユニークユーザーではなく、会員登録したユーザーだ)が、6月25日付けで100万人を突破した。
グロースハックとAndroidファーストがキモ
「Androidファーストでの開発がうまくいっている」——VASILY代表取締役の金山裕樹氏はこう語る。実はVASILYは国内でもグロースハックにいち早く注目したスタートアップの1社とのことで、2013年1月からは様々な施策に取り組んでいるという。
「雄介(AppSociallyの高橋雄介氏)に概念を教えてもらったことがグロースハックを始めたきっかけ。VASILYはテクノロジーカンパニー。社員もエンジニアが多いし、アプリのユーザーレビューでも評価が高い。僕自身もUXのプロであってもマーケティングのプロではない。自社のエンジニアリング能力を生かす意味では、グロースハックでユーザーを獲得するのは『アリ』だと思った」(金山氏)
グロースハックのための施策は、ボタンの変更からチュートリアルの簡素化にはじまる「細かいことの積み重ね」だそう。その考え方や施策については、同社のブログでも一部紹介されているので参考にして欲しい。そしてその際に生きているのが、前述のAndroidファーストでの開発だという。
AndroidのアプリストアであるGoogle Playは、アプリのアップデートにアプリストア側で審査する時間がかからない(AppleのApp Storeではおおよそ1-2週間の審査時間を要する)。そのため、細かな施策をAndroidアプリで次々に実施し、効果が検証できたもののみをiOS版のアプリに反映していっているのだそうだ。その結果、リワード広告やアドネットワークなどをほとんど利用することなく会員100万人を達成したという。
特にアプリをリニューアルした2013年秋以降の成長は急激だという。「アプリのアイコンを4つに減らし、徹底的にシンプルなデザインにした。これもAndroidでうまくいったのでiOSにも反映した施策だ」(金山氏)
マネタイズの3つの柱
100万人の登録ユーザーは、もちろんファッション好きなユーザーが中心だ。iQONではコーディネート作成に利用するアイテムを直接購入できるように、ECサイトへのアフィリエイトリンクを張っているが、すでにiQON経由での売上が合計1億円を越えるサイトなども登場しているそうだ。
マネタイズについても聞いたのだが、前述のアフィリエイトのほか、タイアップを中心にした広告、4月から開始した月額300円のコンテンツ課金の3点を展開しているとのことだった。
広告に関しては、ELLEgirl前編集長の澄川恭子氏がVASILYに参画したこともあって「コンテンツの信頼感も増し、ナショナルクライアントも入ってきている」(金山氏)。一方で課金ユーザーはまだまだ少ない。だが将来的には「外部のファッション誌のコンテンツとも連携していきたい。まずはユーザーのニーズがあることを自社コンテンツで証明する」(金山氏)。
今週Gunosyの発表が続いたりしたこともあって、ニュースアプリのプラットフォーム化を意識する機会はあった。それと同じようにiQONは、ファッションECの集客を実現するプラットフォームとなりつつあるようだ。
ロゴ刷新、海外展開も視野に
VASILYでは今回の発表にあわせて、ロゴを一新する。記事冒頭にあるのが新しいロゴだ。また年内に会員数200万人を目指すほか、早ければ年内にも台湾をはじめとしてアジア、米国での展開を目指すとしている。