KAIZEN platformは2013年設立でもっとも注目の集まったスタートアップの1社だろう。同社の手がける「Plan BCD」は、異なるユーザーインターフェース(UI)のウェブページを用意し、ユーザーの反応をもとにコンバージョン率の改善などを図るA/Bテストを実現するサービスだ。
自らページを用意するだけでなく、登録するグロースハッカーにページのUI改善を依頼できるのが特徴。その詳細はTechCrunch Japanでも「グロースハッカーごとサービスで提供――、日本発の新A/Bテストの『Kaizen Platform』」「A/Bテストの「KAIZEN platform」がグーグルとグリー出身者を要職に起用して海外展開へ」として紹介してきた。提供から半年でのエンタープライズ版の導入社数は30社以上。2013年11月リリースのオンライン版は提供から4カ月で世界15カ国500社に導入されているという。
そんな同社がFidelity Growth PartnersJapanとグリーベンチャーズから総額500万ドルの資金調達を実施したと発表した(グリーベンチャーズはシードラウンドからの追加投資となる)。
同社では今回の調達をもとに、かねてから発表されていた海外進出を本格化。米国サンフランシスコとニューヨークの両地域にてマーケティングを強化するという。「日本のビジネスは拡大基調。少なくとも日本のマーケットはできてきたので、海外でのセールスを強化していく。米国ではクライアントの獲得と合わせて、デザイン会社、グロースハッカーとの提携を進める」(創業者兼CEOの須藤憲司氏)
調達にあわせて、今後は須藤氏が海外事業の立ち上げに注力する。初夏をめどに、拠点も米国に移す予定だ。国内については、グーグル日本法人で広告営業部門を立ち上げた経験もある小川淳氏が、カントリーマネージャーとして統括する。なお、KAIZEN Platformは日本人チームによる創業だが、当時より海外進出を想定していたため、米国に登記している。
戦える500人のグロースハッカーが必要
実はこれまでPlan BCDを導入しているのは、グロースハッカーやデザイナーを社内、プロジェクト内に抱える企業が中心だという。Plan BCDの“キモ”とも言える外部のグロースハッカーへのクラウドソーシングは、品質管理も含めて一部の導入企業でテストの真っ最中だ。
同社ではこれまで国内のデザイン会社などにグロースハッカーの登録を促してきたが、「事業をやって分かったが『天然モノ』のグロースハッカーはいない。我々が『養殖』するしかない状況だ。根本的にはツールを使える人は少ないので外部のリソースが欲しい。日本も海外も人が全然足りない」(須藤氏)状況だという。
そのため今後は学校との提携や地方自治体と連携した人材教育なども視野に入れていくという。「戦えるグロースハッカーが500人いれば、相当な案件をさばけるようになる」(須藤氏)。また、クラウドソーシングによって得られる対価も「デザイン会社などでも、単なるサイトの受発注では単価が安くなるが、我々がやるのはコンバージョンの改善。比較するのが広告費やシステム費なので、1万、2万円の作業でなく、数十万円の広告と換算できる」(小川氏)と期待を寄せる。