コレクター向けのライブストリーミングショッピングアプリWhatnotが約165億円を調達、ユニコーン企業に

レアなポケモンカードやFunko Pop(ファンコ・ポップ)などのコレクター向けのライブストリーミングショッピングプラットフォームを提供している「Whatnot(ワットノット)」は、2021年だけで3回目の資金調達となるシリーズCの1億5000万ドル(約164億9600万円)を獲得した。今回のラウンドでWhatnotの評価額は15億ドル(約1648億9300万円)に達し、増え続けるユニコーン企業のリストに名を連ねることとなった。

では「Whatnot」とはどんなアプリなのか?このアプリは、米国でInstagram(インスタグラム)などのプラットフォームで人気が高まっていた(中国ではすでに大きな人気を博していた)ライブショッピングというトレンドに着目している。認証された出品者は、アプリを使っていつでも生中継を開始でき、その場で商品のビデオオークションを開催することができる。購入者が何を購入しているのか把握している場合もあれば、ときにはミステリーバッグのように何が手に入るのかわからない場合もある。例えば、ポケモンカードやスポーツカードの未開封の箱の一部をユーザーが購入し、その中身をライブで公開する「カードブレイク」というコンセプトが人気だ。

今回のラウンドでは、投資家のa16zとY Combinator(Yコンビネーター)のContinuity Fund(コンティニュイティー・ファンド)に加えて、新たにCapitalG(キャピタルG)(Google / Alphabetの社名変更前は「Google Capital」として知られていた)が出資した。また、エンジェル投資家として、Golden State Warriors(ゴールデンステート・ウォリアーズ)のAndre Iguodala(アンドレ・イグダラ)氏、New Orleans Pelicans(ニューオーリンズ・ペリカンズ)のZion Williamson(ザイオン・ウィリアムソン)氏、ユーチューバーのLogan Paul(ローガン・ポール)氏など、有名どころが加わっている。このラウンドに関する最初の情報は、先週、The Information(インフォメーション)で報じられた。

Whatnotはもともと、一般的な(ライブ感の少ない)再販用のプラットフォームとしてスタートし、当初は、Funko Popの公式コレクターズアイテムのみに絞っていた。しかし、パンデミックの影響で誰もが家に閉じこもりがちになったことを受け、同社はライブショッピングに力を入れ、その結果、急成長を遂げることとなった。

その間に、同社は急速に取り扱う範囲を拡大し、Funko Popだけでなく、ポケモンカード、ピンバッジ、古着、スニーカーなど、あらゆる種類のコレクターズアイテムを扱うようになった。Whatnotの共同設立者であるGrant Lafontaine(グラント・ラフォンテーヌ)氏によると、同社で最も人気なカテゴリーはスポーツカードであり、次にポケモンとFunko Popが続くという。Whatnotでは、各カテゴリーにおいて、それぞれのコミュニティですでに知られ、信頼されている販売者を採用することを重視している。参加している各ストリーマーは、ライブを開始する前に同社によって審査されているため、不正行為を最小限に抑えることができる。なにか怪しいことをすれば、同プラットフォームから追い出され、自分の評判を落とすことになるだけだ。

その他、ラフォンテーヌ氏との会話からいくつかのポイントを紹介する。

  • 展開できるカテゴリーは「数千」にのぼるという。今、取り組んでいるのは NFT(非代替性トークン)だ。ストリーマーは、自分のNFTをWhatnotに取り込み、画面に表示したり、ライブストリームの中に(静的またはアニメーションの)オーバーレイとして取り込むことができる。ユーザーは、画面に表示されたNFTをタップすると、そのメタデータが表示され、NFTの詳細を確認することができる。
  • 同氏によると、現在、このプラットフォームには「数千人のアクティブなライブストリーム販売者」がいるという。
  • 同社のGMV(プラットフォーム上で販売されたすべての商品の合計金額)は、2021年の初めに行われたシリーズAの時点から30倍に増加している。Whatnotは販売額の8%を受け取る。
  • 同社は現在「プレビッディング(事前入札)」機能の導入を進めている。これは、ライブストリームが始まる前に、ユーザーが欲しいと思っている商品に入札することができるというものだ。例えば、ユーザーがあるものを欲しがっていて、それを入札したいと思っているものの、ライブを見ることができない場合などを想定している。もちろん、他の人が入札に参加することも可能だ。
  • 同社は近日中に、iOSとAndroidの両方のアプリを全面的に再構築し、買い手と売り手の両方にとって利用プロセス全体がよりスムーズで簡単になるような、新しいUIを採用する予定だ。ラフォンテーヌ氏は「来週か再来週」にはすべてのユーザーにこのアプリが提供されると期待している。

今回のラウンドにより、同社の資金調達額は2億2500万ドル(約247億4600万円)となり、そのほとんどが2020年中に調達されたものだ。一方、この分野での競争は激化している。「Popshop(ポップショップ)」のような競合企業は、自社のプラットフォームのために数百万ドル(数億円)の資金を調達しており、マイアミの「Loupe(ルーペ)」は、スポーツカードのライブ販売に焦点を当て、6月に1200万ドル(約13億1900万円)を調達した(近日中に実店舗をオープンする予定)。さらに、既存の大手企業もこの分野に参入しようとしている。YouTube(ユーチューブ)はライブショッピングのコンセプトを取り入れており、Amazon(アマゾン)もライブセッションを開催するインフルエンサーを招いている。言い換えれば「この領域に注目せよ」ということだ。もしかしたら、この競争そのものもライブストリームで見られるかもしれない。

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画像クレジット:Whatnot

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Dragonfly)

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TechCrunch Japan

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