コンセプトから出荷まで、スマートブラインド開発のAxisの道のり

Axis(アクシス)は最初の製品であるAxis Gearを、Amazonならびに自社サイトで直販している。しかしこれは4年目の会社にとって比較的最近の製品だ。ほぼすべての手動巻き上げ式ブラインドを、自動化されたスマートブラインドに変えてくれる、249.00ドル(この記事を書いている時点ではセールで179.00ドル)の変換ガジェットであるGearのアイデアが、共同創業者兼CEOのTrung Pham(チュン・ファム)氏の頭に実際に浮かんだのは2014年のことだった。だが開発は翌年の初めまで始まらなかった。「ハードウェアは難しい」という格言が極めて有効であることが再確認されたのだ。

もともとファム氏のバックグラウンドはビジネスだったが、彼はずっとテクノロジーやガジェットが大好きな人物だった。最初は自分の興味を満たすことに着手したことが、結果的に彼の会社のアイデアへとたどり着いたのだ。トロントで初めてコンドミニアムに引っ越したときに、彼はスマートブラインドの市場に出会った。しかしほとんどの予算が、カウチ、ベッド、そしてテレビのような必需品に食われてしまったあとでは、スマートシェードのような贅沢品のための残高は銀行に残されていなかった(特にそれらがいくら位するかを知ったあとではなおさらだった)。

「私はテックガジェット好きで、自動シェードが欲しかったのですが、買うための余裕がありませんでした」とファム氏はインタビューで答えた。「私はデザイナーのところへ行って、本当に素晴らしいハンター・ダグラスの製品の見積もりを出してもらいました。そのとき示されたのは、1枚の窓あたり1000ドル超えの電動化オプションでした。なので、私はただ手動のシェードを選んだのです。数カ月後、本当に暑くて日差しの強い日のことでした、熱気に参った私はデザイナーを再び訪れて改めて尋ねました『やあ、今度こそシェードを電動化できるかな?今ならもう少し予算があるんだ。リビングルームをそうしたいんだけど』と。そのとき私が学んだのは、一旦シェードを取り付けてしまうと、それを電動化することはできないということでした。全部を新しいシェードに取り替えなければならないのです」。

自らの懐事情のおかげで、ファム氏は既存の大企業によって無視されてきたチャンスが市場の中にあることを知ったのだ。そしてそれは開発が難しくない技術(どちらかといえば単純なモーターと、スマートフォン部品のサプライチェーンのおかげで入手が容易なワイヤレス接続などを使う)でアプローチすることが比較的容易な問題だと考えたのだ。そして、市場の需要がそこにあった。ファム氏によれば、特に若い住宅所有者たちは住宅購入(や賃貸)に多額の費用を使い、電動シェードのような高価なアップグレードにはあまりお金を掛けないのだという。


Axisのソリューションは比較的手ごろな価格(1ユニットあたりの通常の希望価格は249ドルなので、取り付けようと思っている窓の数で価格は上がって行くが)であり、既存のシェードやブラインドすべてを置き換えなければならないということもない。ただGearと互換性があるところを必要に応じて置き換えて行けば良いだけだ(一般的なシェードとの互換性は高い)。電源オプションは2つのものから選ぶことができる、1つは通常のコンセント用のACアダプターを使うもの、あるいは使いやすい場所にコンセントがない場合には単三形充電池のバックアップ付きの太陽電池バーを使うものだ。

ファム氏は初期の投資家ミーティングで、ダイソンをインスピレーションの源として引用したときの事を説明してくれた。なぜなら彼らは、既存の産業の中で標準的で中心となっていたものに着目し、それを捨て去ってしまったからだ…具体的には掃除機のバッグを無くしてしまったということだ。彼はAxisが、スマートブラインド市場でも同様のアプローチを取っていると考えている。既存の市場は現状を維持することで過大な利益を得ているが、そこにAxisのアプローチで挑戦するのだ。さらにファム氏は、Axisは6つの特許を申請していて、そのうちの3つがその特定の技術的アプローチのために付与されていると述べている。

「私たちは、消費者の皆さんに、スマートシェードに対する認識を、もっと持ってもらいたいと思っているのです」と彼は言う。「そしてそれこそが狙い目なのです。これは大きなチャンスなのです、なにしろドアベルやサーモスタットを1つだけ購入するひとは居ません。複数のユニットを購入するのが普通です。1つか2つを買ったあと、すぐに買い増しを行ってくれるお客さまがいますし、一気に20個も買っていただけるお客さまもいらっしゃいます。各家庭に、まとめて売ることができる可能性があることで、ビジネスとしては非常に利益が期待できるのです」。

とはいえAxisが大規模な商用展開に興味を持っていないというわけではない。ファム氏によれば、「多くの商用ユーザーやホテルがテスト中」であるという。そして「米国内で、わが国最大の建築会社と一緒にプロジェクトを遂行中」であることも指摘した。とはいえ、これまでのところ、同社は消費者向け製品に焦点を絞り、顧客からのアプローチを中心に据えている。商用営業チームの構築というより厳しい仕事は計画中だ。しかし、こうしたことはAxisに将来的に、大きな機会を与える可能性がある。特に「障害を持つアメリカ人法」(Americans with Disabilities Act)のような、建物に電動シェードの設置を要求する法律上の基準に建物の管理者が準拠しようとしたときに、彼らの製品が役立つからだ。

これまでAxisは、家族や友人たちと、エンジェル投資家たちからの投資でまかない、Indiegogoのクラウドファンディングプロジェクトで最初の注文分の資金を確保してきた。ファム氏によれば、収益も販売数も前年に比べてすべて堅調であり、「これまできわめて多数の」製品を出荷できたという(彼は詳細は明かさなかった)。現在スタートアップはつなぎのささやかな資金調達ラウンドを完了させようとしているところだが、その製品ラインを拡大することを狙ってこの後シリーズAの調達ラウンドを計画している。新しい製品ラインでは互換性を最優先により広く窓を覆うことができるようにする予定だ。

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(翻訳:sako)