コンテナの統一スタンダード策定に向け、Docker、CoreOS、 Google、 Microsoft、 Amazonらが協力

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Docker、CoreOS、 Google、 Microsoft、 Amazonらは、Linux Foundationのプロジェクトの元、新しいソフトウェアコンテナのスタンダード製作する。他にもApcera、Cisco、EMC、Fujitsu Limited、Goldman Sachs、HP、Huawei、IBM、Intel、Joyent、Mesosphere、Pivotal、Rancher Labs、Red Hat、VMwareも加わる。つまり、成長著しいコンテナエコシステムに関連する事実上全ての企業が参加している。

Dockerはコンテナと同義語として捉えられるようになったが、コンテナのフォーマットは他にもあり、また全員がDockerのコンテナが共通フォーマットとなることを認めていない。昨年の12月、CoreOSは独自のコンテナランタイム(rkt)とフォーマット(appc)のローンチを発表し、このプロジェクトは、Google、Red HatやVMwareといった主要プレイヤーの支持を受けた。

当時DockerとCoreOSは、真っ向から対立するように思われた。しかしコンテナフォーマットが増えることは、エコシステム全体のためにはならないのも明白だった。

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Linux Foundationのプロジェクトの元、両社は他のOpen Container Project (OCP)の協力企業と共に手を取り合うこととなった。OCPは、「ソフトウェアコンテナの共通スタンダードを策定するため」の非営利団体だ。

Dockerのコンテナフォーマットとランタイムが、新しいスタンダードの基礎となる。プロジェクトを開始させるため、Dockerは仕様の草案、イメージフォーマットに関連するコードとラインタイムエンジンを寄付する。

このプロジェクトの最終的な目標は、開発者がコンテナにまとめたアプリケーションがDocker、あるいはCoreOsのrktや他のKurmaやJetpackといったプロジェクトであろうと、いかなるランタイムでも、確実に動くことを保証することだ。統一スタンダードは、ベンダーに対し中立であり、開発が公で行われることに意味がある。

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「Open Container Projectの公表で、Dockerはこの議題にオープンであることを世界に示しています」とCoreOSのファウンダーでCEOのAlex Polviは記している。「現在、Dockerは事実上、イメージフォーマットのコンテナとして確立しています。よって、そこからスタンダードを考え始めるのが最適です。Dockerのフォーマットには、技術的な問題がまだ複数存在していると感じていますが、議論の場で中立を保つことで、業界全体が問題点を把握し、改善につながるでしょう」。

Dockerにとっては、支配力を少し明け渡す形でもある。「コミュニティー、パートナー、カスタマーからのフィードバックを受け、互換性を担保し、エコシステム内のイノベーションを促進する共通スタンダードを作るのに最適なタイミングであると思います」とDockerのオープンソース活動のファウンダーでクリエイターであるSolomon Hykesは今日の声明で伝えた。

「この理由で私たちは、コンテナフォーマットとラインタイムを共通スタンダード開発のために寄付します。2年が経過し、Dockerのコンテナランタイムコードとテクノロジーは、Dockerプロジェクト外の独立した運営で更に進められるほど、成熟したと思います。Dockerの強みはこれまでもコミュニティーの参加を促し、分散化を避けてきたことにあります」。

GoogleのCloud Platformのプロダクトマネージャーを務めるCraig McLuckieにも、この活動についての意見を尋ねた。彼は、この活動はコンテナのエコシステムを強化すると話した。「コンテナのスペックを次のバージョンに進めるオープンなコミュニティーが作られるでしょう。コンテナのスペック自体はまだ決められていないため、まず最初に取り組むべきことは、AppCで推奨されている多くのアイディアを多大な成功を収めたDockerのエコシステムに導入することです」とMcLuckieは話した。

「これはイノベーションが確実に起きることを保証します。それも誰もが恩恵を受け、ベンダーの制約から自由になる方法で起きるでしょう」と話した。また彼は、統一スタンダードがあることで、コンテナに基づくソフトウェアの製作をする企業の負担が軽くなると説明した。複数のエコシステムや環境に対応する一つのフォーマットだけに注力することができるからだ。「ライタイムの環境にもイノベーションの余地が生まれます。以後全ての新しい活動は、既存のツールのエコシステムの恩恵を直接得ることができます」と続けた。

Dockerの長期のビジネスモデルはコンテナフォーマットに限定されていないことも注目に値する。彼らのビジネスモデルは、コンテナのデプロイ環境を管理するためのツールを構築することの方が重要なのだ。Dockerは、もちろんソフトウェアコンテナの分野を長期に渡って率いていくことを考えているだろうが、彼らはそのアイディアを軸に、活発なエコシステムを構築することに最も関心がある。コンテナの共通スタンダードの創設に多様な企業の協力を得ることで、長期的に見て、このミッションを達成が可能となる。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

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TechCrunch Japan

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