ヨガや英会話教室といったスモールビジネス向けのクラウド予約システム「Coubic(クービック)」は、ウェブサイトの知識がない人でも1分で予約ページが作れることをうたうサービスだ。今年4月にローンチしたばかりだが、ベータ期間中はコンバージョン率を上げるために試行錯誤していたそうで、あるグロースハックを実践したところ、その割合が倍増したのだという。その手法とは何だったのか?
クービックは開発当初、ユーザーがヨガ教室やネイルサロンなどの店舗に予約を入れる際、Facebookログインもしくはメールアドレスによるアカウントの新規登録を必須としていた。店舗の予約時に必要な氏名とメールアドレスを入力してもらう前に、クービックのアカウントを登録させていたわけだ。ユーザーからすれば「クービック? 知らんがな!」となって予約ページから離脱し、ビジネスオーナーからすると最悪のケースになりかねない感じだ。
クービック代表取締役の倉岡寛氏によれば、当時は空き会議スペースの予約サービスを想定していて、空き家貸出サービス「Airbnb」をベンチマークしていたのだという。だからこそAirbnb同様、最初にFacebookログインもしくはメールアドレスによる新規登録を求めていた面もあるようだ。
しかしその後、現在の予約&顧客管理を実現するビジネス向けツールにピボット。その結果、「我々の存在を消したほうがユーザーとビジネスオーナーのメリットになる」と判断し、予約フローを見直すことに。そこで実施したのが、店舗の予約に必要な情報を入力した後に、クービックの会員登録を「任意」で促すようにしたことだった。会員登録をすると2回目以降の予約がスムーズになる利点も同時に明示しつつも、登録を任意にしたことで予約のコンバージョン率が倍増したのだという。
現在はヨガ教室やネイルサロン、エステ、マッサージ、英会話教室などのローカルビジネスを中心に広がっているクービックだが、6月4日には日本最大級のヨガ情報サイト「YOGA ROOM」を運営するアイオイクスとの業務提携を発表した。YOGA ROOMには全国5000以上のヨガ・ピラティス教室が登録していて、そのほとんどは電話やメールで予約を受け付けているそうで、YOGA ROOMを通じてクービックの導入を進めていく。
これまではネット上のクチコミで広がっているというクービックだが、「ローカルビジネスの経営者でネットに明るい人は肌感覚として10%程度」と倉岡氏。今後も今回のような提携を通じて、自社ではリーチしきれないスモールビジネスの顧客を獲得していきたいそうだ。