サウジアラビア支援によるTeslaの非公開化は、それほど現実離れしたアイデアではない

8月7日にElon Musk がTeslaの非公開化を示唆する 発言を(もちろんTwitterで)したことで、ビジネス・IT界は騒然となった。そのために必要な資金は通常720億ドルにのぼる。その後も「ホワイトナイトは現れず、Teslaの株価は急落した。

しかし今日(米国時間8/12)、Bloombergが報じた新たなニュースが憶測を煽り立てた。

記事の情報筋によるとサウジアラビアの政府系投資ファンド(Public Investment Fund/PIF)はすでにTeslaの主要出資者になるべく交渉を行なっており、それはMuskのツイートより前に始まっていたという。

発覚のタイミングは重要だ。なぜならPIFはすでに資金を積み重ねており(時価20億ドル)これはTeslaの最近の最近の時価総額の5%にわずかに足りない金額だ。

世界最大の原油生産者が世界で最も象徴的な電気自動車会社の一部を所有することで石油のリスクを分散することは容易に想像できる。Bloombergの情報筋が言っているのもまさにそこだ。

TeslaはSoftBankとも交渉していると言われているが、PIFはSoftBankの主要投資家であり、PIFがTeslaと接触していると推測される理由でもある。

こうした噂を一層興味深くくしているのは、サウジアラビア政府がPIFを大々的に強化して2兆ドルにする計画があることだ。

そしてPIFの主たる目的はテクノロジーにある。なぜか?サウジアラビアは国家の石油依存の経済の多様化に力を入れており、そのための資金とテクノロジー資産を必要としている。

政策の担い手は ムハンマド・ビン・サルマン皇太子で、国王継承者として国民からMBSと呼ばれている。

昨年継承者に指名されて以来、皇太子は極めて行動的で、宗教警察の力を制限し、女性ドライバーの禁止撤廃を始め数々の文化的改革を実施してきた。彼は同国のテクノロジー政策も推進しており、先週にはスティーブ・ウォズニアックを「テック・アンバサダー」に指名した

彼は、経済多様化のための壮大な国家計画で医療、教育、インフラストラクチャ〜などのサービス機関を開発するSaudi Vision 2030の責任者でもある。

そして、サウジアラビアとエジプトの国境近くに計画されているメガシティー、Neomはニューヨークの33倍の規模となり、ドバイが小村のように見える。これを支えるのはサウジアラビアのPIF及び国際投資家による5000億ドルの資金だ。

業界の象徴である「わずか」720億ドルのTesla、テクノロジーに熱心な皇太子、2兆ドル目標の政府系ファンドという一連の状況を考え合わせれば、Teslaを非公開にする資金の存在を示唆するMuskの発言も、必ずしも夢物語ではなくなる。

画像クレジット:Ahmed Kutty/Gulf News

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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