これまでもGoogleは世界中の道路を撮影するという野心的なプロジェクト、ストリートビューのテクノロジーの改良に努めてきた。最近もストリートビュー撮影車の装備を大きく改良したことを発表している。今回はマルチカメラで撮影された複数の映像からパノラマを生成する際に生じる奇妙な継ぎ目を目立たなくする方法を考案した。
Googleではストリートビューを撮影するカメラを「ロゼット」と呼んでいる。派手な塗装のGoogleカーの屋根に乗っている球体だ。これには多数のカメラが内蔵されて周囲を撮影する。それぞれ独立に作動するカメラ15台に多数のセンサーも搭載されており、道路を巡航しながら連続的に周囲を撮影していく。専用ソフトが撮影された画像をつなぎ合わせせてストリートビューが作られる。われわれはストリートビューのおかげで(Googleカーが通った道路なら)世界中どこへでも入っていくことができる。
とはいえ、ストリートビューを使ったことがあれば、映像中にときおり奇妙な継ぎ目が表示されてしまうのに気づいたかもしれない。ロゼットの15台のカメラが撮影した映像を接続する際に、風景にズレが生じたり看板や標識などの重要な情報が消えてしまったりする現象だ。これはGoogleマップだけに生じる問題ではなくて、他のパノラマ生成テクノロジーでも広く見られる。各種のスマートフォン・カメラやVR向けデジタル画像処理ソフトでもこれが起きるのに気づいたユーザーも多いだろう。
Googleではこの苛立たしい画像の継ぎ目をシームレスにスムーズなものにする新しいアルゴリズムを実用に移した。これは接続しようとする2枚の重なり合う画像のデータを簡約化する際に、ピクセルレベルで画像を比較し、接続部分に不自然な視覚的構造が生じないよう補正する(たとえば建物の水平な線など)。
困難だったのは、接続部分を補正しつつ、画像の他の部分を「正常」に見えるように保つことだったという。人間の視覚はこの点きわめて鋭敏で、理由は不明でも、何かが正常に見えないとすぐに気づいてしまう。画像の一部を補正した影響が他の部分に及ぶと、あきらかに不自然な映像になってしまうことがある。
この点を避けるためにGoogleは新しいアルゴリズムを開発し、複数画像をスムーズに接続することに成功した。下のスライドショーでその例をいくつか観察できる。
Googleではストリートビューのパノラマ画像を新しいアルゴリズムでアップデート中だ。しかしGoogleマップ中には膨大なパノラマが含まれているため過去に撮影されたパノラマのアップデートにはかなり時間がかかる。まだしばらくはストリートビューを開いたときに継ぎ目が目立つパノラマを見ることがあるはずだ。しかしこうした苛立たしい画像のズレは次第に解消されていくだろう。
〔日本版〕ロゼットで撮影された多数の画像がストリート・ビュー・パノラマに合成されるプロセスはビデオの1分10秒あたりから説明されている。トップ画像の旧バージョンではロンドンのタワーブリッジ上部の歩道橋部分に大きな段差が生じている。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)