スパやサロンにクラウド管理ソリューションを提供するインドのZenotiが約166億円調達しユニコーンに

スパ、サロン業界向けのサービスを開発する創業10年のスタートアップZenoti(ゼノティ)がユニコーンの仲間入りを果たした。ワシントン州ベルビューに本拠地を構えるSaaSスタートアップである同社はシリーズDラウンドで1億6000万ドル(約166億円)を調達し、このラウンドで「10億ドル(約1035億円)を優に超える」額で評価された、と創業者でCEOのSudheer Koneru(スドヒア・コネル)氏は今週初めのTechCrunchとのインタビューで述べた。本ラウンドはAdvent Internationalがリードし、Tiger GlobalとSteadview Partnersが参加した。Zenotiの累計調達額は2億5100万ドル(約260億円)だ。

インド発のZenotiはヘルス・ウェルネス産業向けのクラウド管理ソリューションを構築した。同社のプラットフォームでは顧客が予約を入れた後にモバイルアプリから直接支払いできる。また、顧客が店舗に入るときにその旨をプロバイダーに知らせる。

Zenotiを利用するクライアントは、予約やデジタル決済の受けつけ、給与支払い、バックエンド在庫管理、顧客が渡すチップのスタッフの銀行口座への直接送金などができる。Zenotiは2010年に設立されたが、2012年にサービスを構築してから事業を開始した。

ZenotiのプラットフォームはERP(基幹系情報システム)とCRM(顧客管理)のツールを組み合わせている。これはヘルス・ウェルネス産業の実情を示している。この業界はZenotiが参入するまではそうしたサービスを十分に受けられておらず、サービスの提供が必要とされていた、とAccel(アクセル)のパートナーShekhar Kirani(シェカール・キラニ)氏はTechCrunchとのインタービューで説明した。

AccelはZenotiに最初に出資した投資家だった。さまざまな業界の人が使用する「水平的」サービスを構築したMicrosoft(マイクロソフト)やNotion(ノーション)といった企業のプロダクトと異なり、スパとサロンの業界は直面している問題を解決することに専念する「垂直的」プレイヤーを必要としていた、と同氏は説明した。Zenotiはそれを実行した。

早い段階でZenotiがインド国外の顧客を獲得できることはかなり明確になった。そして早期の賭けは正しいことが証明された。同社の売上高の60%は米国でのもので、その次に多いのが英国だ。Hand & StoneやGene Juarezなどを含む50カ国にまたがる1万2000超の事業所がZenotiのサービスを使っている。同社はハイエンドな事業所と協業している。

キラニ氏はZenotiの成功をインドにおけるSaaSの成長だと表した。世界第2位のインターネット市場であるインドはFreshworks、Zoho、MindTickle 、Chargebeeといったスタートアップを輩出したが、そうしたスタートアップの顧客の大半はインド国外だ。

パンデミックによって企業が事業の一部をデジタルに移行するようになり、Zenotiのサービスはここ数カ月でその有用性をこれまで以上に証明した。以前はデジタルサービスに対応していなかったスパやサロンのチェーンが次々とモバイルアプリを展開し、現金に頼らなくなった。

「サービス強化に役立てようと事業所はZenotiのテクノロジーを使っています。また同社が昨年達成した成長に感銘を受けています」とAdvent InternationalのマネジングディレクターEric Wei(エリック・ウェイ)氏は声明で述べた。

パンデミックにもかかわらずZenotiは2020年、これまでで最大となる100%の成長を達成し、顧客になりたがっている事業所は数多くある、とコネル氏は話した。同氏はこの勢いを来年も維持したいと考えている。またZenotiの従業員はスパ、サロン産業の労働者に25万ドル(約2600万円)を寄付している。

約550人を雇用するZenotiはエンドカスタマーから儲けているわけではなく、事業所にサブスク料金を課している。以前、マイクロソフトで働き、オフラインのスパ事業に投資していたコネル氏は、Zenotiが現在のところまだ黒字化を達成していない一方で、利ざやは改善し、売上高の成長は加速していると述べた。具体的な数字は明かさなかった。

Zenotiは新たに調達した資金をグルーミングなどの部門へのサービス拡大に使う予定だ。ここ数カ月で、同社はジムやフィットネスセンターなどへのサービス提供も開始した。また、M&A機会の模索にも前向きだとコネル氏は話した。そうした買収がテクノロジー・タックの拡大ではなく同社の顧客成長の原動力になることが理想だ、とも語った。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:ZenotiSaaS資金調達

画像クレジット:Manny Carabel / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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