スパム問題のあった動画投稿アプリ「Byte」のダウンロードが100万回超え

Vineの後継とされる、新たなショート動画アプリのByteはさまざまな問題を抱えつつも力強いスタートを切った。Vineの共同創業者Dom Hofmann(ドム・ホフマン)氏が作ったこのアプリは、Vineによって人気になっていた6秒動画を再び利用できるようにした。VineはTwitterによる買収で2016年にサービスを終了していた。Sensor Towerの新たなデータによると、Byteはリリース後の1週間で130万回超ダウンロードされた。ダウンロードの大半は米国で、そして英国とカナダが続いた。

「米国でのダウンロードは全体の70%を占める91万2000回だった」とレポートにある。一方で英国のダウンロードは全体の7%、カナダは6%を占めた。また、ダウンロードの大半はiOSで行われ、95万回のiOSに対してAndroidでは35万回だった。

App Annieの数字は若干異なるようだが、2月2日までのダウンロード数がiOSとAndroid合わせて100万回を超えたのは同じだ。

Sensor TowerはByteの数字を、2013年1月のVineのデビュー時と比較している。Vineの最初の1週間のiOSでのインストールは77万5000回にとどまった。しかしこれは、ByteがすぐにVineよりずっと人気のアプリになることを意味するものではない。

というのも、アプリマーケットはユーザー数、デバイス数の増加で成長しているからだ。例えば、2016年にはスマホを所有していた人は世界で25億人だった。しかし今やその数は35億人を超えている。加えて、Vineは知られていないスタートアップとしてショートビデオの業界に参入した。一方のByteはVineとの相似性を利用できるだけでなく、Vineの成功やTikTokのおかげでショート動画が大人気になっているというタイミングでの登場だ。TikTokは2019年に最もダウンロードが多かったアプリランキングで4位だった。

サービス開始に伴う数字は力強いものだったが、Byteのデビューは完璧ではなかった。

Byteはサービスを開始してすぐに、リクエストを受けたボットがコメント欄を埋めるという大量のコメントスパムに見舞われた。ここにはポルノボットからのリクエストも含まれる。「Byteを真っ先にダウンロードしたユーザーはまた、Taylor Swift(テイラー・スイフト)やTrump(トランプ)、Bezos(ベゾス)、Tiger Woods(タイガーウッズ)などテック大物からセレブに至るまで、実在の著名な人物に属するユーザーネームの『ひったくり』も始めた」とSlateは報じた。Byteはすぐさま問題の調査に乗り出し、クリーンアップを行うことを約束した。

しかしByteの問題はそれだけではない。Byteはもともと対象年齢12才以上で始まったが、すぐに大人が投稿したものとともに、明らかに子供からのビデオで一杯になった。Byteの人気フィードは、下ネタや性的からかい、そして児童虐待やコロナウイルス患者に関する嫌なジョークを含む問題のあるコンテンツであふれた。

ひどい内容のコンテンツを投稿している少年たちが18才以上かどうかははっきりしない。しかし下ネタを扱っているその他の多くのビデオ、そしてその後に続く幼い子供が撮影したビデオを閲覧するというのは不快な体験だった。

人気フィードの中には男性器の模型をセックスドールに向けて飛ばすというドローンのビデオも含まれていた。また別のビデオは、男性が激しく携帯電話のスクリーンを叩くという、児童虐待を思わせるものだった。このビデオは上部から撮影されていて、子供の視点だ。キャプションには「子どもが正当な議論をしようとするとき」とある。

幼児を映しているビデオ2本のうち、1本はボール遊びをする中で父親がおそらく意図的に赤ちゃんを叩くところが映っている。もう1本では、誰かが台所のシンクのノズルで赤ちゃんの顔に水を掛け、その後赤ちゃんが泣く様子が収められている。

また別のビデオではコロナウイルスで死にかけている中国人をからかっている。ジョイント(紙巻き大麻)を吸っているティーンエイジャーが、サイレンを聞いて逃げるというビデオもある。

Vineのビデオはそれぞれに奇妙で馬鹿げたものだが、良いビデオは愚かなものでなければ汚いものでもなかった。

大人向けの内容が多いことを考えたとき、Byteのユーザー年齢チェックとアプリの対象年齢12才以上というのは懸念事項だ。なお、Byteは週末に対象年齢を17才以上に引き上げたことで、上記のビデオを目することはなくなっている。またApple(アップル)がVineのコンテンツを調べていたことを我々は知っている。

Byteのコンテンツがあちこちから持ってこられているというのも懸念すべき点だ。YouTubeやFunnyorDie、TV番組、TikTokのものすらある。ユーザーはまたSnapchatのビデオやウェブ上のミームも再投稿していた。

対象年齢の変更からするに、Byteは問題のあるコンテンツで警告を受けたのかもしれない。Byteはいま、ディスカバリーページのトップに精選されたスポットライトフィードを持ってきている。このページではビデオキュレーションが改善している。

Byteは1月31日にパートナー・プログラムについての初期情報を公開した。このプログラムは他のプラットフォームにはない売上をうむ可能性があるとうたっている。

比較の対象として、TikTokはこれまでに16億5000回ダウンロードされているものの2019年の総利益はたったの1億7690万ドル(約194億円)で、確固たる収益化の方法を見つけられていない。しかしTikTokの幹部たちはブランンドを他の方法で成長させるために名前を売っている。その方法には、ユーザーをYouTubeやInstagramといった他のソーシャルチャンネルに向かわせるというものがある。またファンとの直接交流さえ行っている。

Byteスターによる完全に新しい世界が出現するのかどうかはまだわからない。

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(翻訳:Mizoguchi