スプレッドシートからビジュアルな「ストーリー」を生み出すアイスランド拠点のGridが12.8億円調達

スプレッドシートからビジュアルな「ストーリー」を生み出す、アイスランド生まれのSaaSスタートアップのGrid(グリッド)が、シリーズAラウンドで1200万ドル(約12億8000万円)を調達した。

このラウンドはNew Enterprise Associates(NEA)が主導し、既存の投資家のBlueYard Capital、Slack Fund、Acequia Capital、その他の匿名の「戦略的」パートナーたちが参加した。注入された資本は、同社がさらなる製品開発を行い、市場に投入するために使われる予定だ。

Gridは「サービスとしてのデータ」領域の先駆けとして、DataMarket(データマーケット)の創業にも関わったHjalmar Gislason(ヤルマル・ギスラソン)氏によって2018年後半に設立された。同社のミッションはスプレッドシートを起点として、ナレッジワーカーがデータと対話する方法を変えることだ。

このSaaSスタートアップは、米国時間8月26日にベータ版を公開したが、利用者はこのサービスを利用することでスプレッドシートのワークブックをビジュアルで対話的なウェブサイトに変換することができる。このことによってスプレッドシートの中のデータが、さまざまなユーザーに対して、より適切な関わりを持つことができるようになる。

「Gridは、スプレッドシートを日常的に使うユーザーが、簡単にビジュアルで対話的なストーリーを既存のスプレッドシート上に構築して、ウェブを用いてそれらを安全に共有する方法を提供します」とギスラソン氏は説明する。

「ほとんどのデータツールは、最も簡単に入手できる『セルフサービス』ツールでさえ、パワーユーザーツールです。つまり、それらの使用方法を学ぶには時間と着実な努力が必要とされます。それをできた人は、分析、データ主導の意思決定、データストーリー化の中で、組織にとって頼りになる人になります。一方、多くの人たちが、日常業務で作業を行うために使用しているツールは、スプレッドシートなのです」。

ギスラソン氏は、スタートアップがまず焦点を合わせるべき課題は、誰かがデータをまとめたり、スプレッドシート上でモデルを作成したり、それを他の誰かと共有しなければならない瞬間だと捉えている。「現在でも、最も一般的な方法は、Excelファイルをメールに添付することです。その時点で、スプレッドシートの作成者は、それがどのように読まれ、配布されるのかについてのコントロールを諦めてしまっています」と彼はいう。

さらに、そのコンテンツはモバイルデバイスで閲覧することは難しく、全員が最新バージョンを持っているかどうかを保証することも困難だ。クラウドでスプレッドシートを共有すれば、少しはましになるが、それでもまだ最適とは言えない。

これを克服するために、多くのひとはスプレッドシートからチャートやテーブルをコピーしてPowerPointやPDFに貼り付けて、それらを静的な文書として配布する。これは、コントロールの問題をある程度解決するものの、プレゼンテーションが「基礎となるデータおよびモデル」から切り離されてしまうために、再作成や保守が困難になる。Gridはこの状況を変えることを目指している。

プライベートベータ期間中に、Gridは2つのコアユースケースを見出した。1つはモデルのプレゼンテーションだ。これはスプレッドシート上にモデルを構築し、入力が結果にどのように影響するかを伝える必要がある、コンサルタントやビジネスアナリストなどが行う作業である。2つ目はレポートだ。スプレッドシートにまとめたデータを定期的にレポートする必要がある人たちがGridを使っているのが観察された。

「本当に大勢の人たちがそうしているんですよ!」とギスラソン氏は付け加えた。「ユーザーの皆さんには、Gridのドキュメントが直接元となるワークブックと連携していて、データに変更が加わると、たとえそれがオフラインのExcelファイルでも、即座にオンラインレポートに反映されるという事実に加えて、Gridが提供するテキストとデータ視覚化の組み合わせ方が好きだとも言って貰えています」。

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(翻訳:sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

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