App Storeに登録されるアプリの登録者は2014年末で約39万人、アプリ数では120万種類以上にもなっているそうだ。そんな数のアプリの中からユーザーに選ばれるためには、ASO(アプリストア最適化)やブーストを含む広告などでの「どうユーザーに対して露出するか」のテクニック、定期的なキャンペーンやプッシュ通知などを使った継続率向上施策にはじまり、アプリ内やストア内を問わず、本当にいろいろなことが求められる。
もちろんユーザーのユーザーの行動を解析することも重要なことの1つ。タップされた位置や離脱した画面、そういったユーザーの行動を動画で取得し、アプリの改善に生かすことができるのが、動画を使ったモバイルアプリ解析サービス「Repro」だ。サービスを提供するReproは4月22日、DGインキュベーションとブレインパッド、SHIFTを引受先とした総額1億円の資金調達を実施した。同時に約1年ベータ版として提供してきたReproのiOS向けサービスを正式にオープンした。
Reproでは、SDKを組み込んだアプリ上でのユーザーの⾏動をリアルタイムに動画で取得し分析。そのデータをウェブ上で閲覧できる。パスワードやクレジットカード番号の入力なんかはどうするのかと気になったのだけれども、テキスト入力を検知してモザイクをかけるほか、マスキング用のAPIを用意しているのだという。
では具体的にはどんな時にこのツールを利用できるのか? まず開発段階においては、クラッシュレポートを動画とスタックトレース(ざっくり言うとエラー発生時のログのこと)で提供する。この2つをセットで提供することで、クラッシュ時の挙動が非常に分かりやすくなるわけだ。また、ウェブの管理ツールを通じて、アプリ内にテスト操作を依頼する画面を表示したり、その後のアンケートを投稿してもらったりする機能も用意する。
いざアプリをリリースしたあとは、アプリ開発者が設定したイベントがどの程度実行されているのかを分析したり(カスタムイベント分析)、イベントごとのユーザーの遷移率を分析したり(ファネル分析)といったことができる。Repro代表取締役の平田祐介氏いわく、このような定量的な分析と、動画による定性的な分析を同時に行えるのがこのサービスの最大の強みなんだそう。
海外を見てみると、スウェーデンの「Lookback」やイスラエルの「Appsee」などの競合サービスはいくつかあるそうだが、「開発会社に協力してもらって3つのアプリで調査したが、SDKの容量やCPU使用率、メモリ使用量でもReproは競合製品より優秀。中には十分な品質で撮影できないものもあった」(平田氏)のだそう。そんなこともあってすでに海外市場も視野に入れており、英語版でもサービスを提供しているとのこと。Android版も現在開発中だという。