昨年12月に設立されたスタートアップのアップベイダーは1月20日、同社と提携するスマホアプリ内にビデオ広告を配信するアドネットワーク「AppVador」を開始した。全国規模で広告展開するナショナルクライアントの出稿を見込み、1年目で7億7000万円の売上を目指すという。
AppVadorは、SDKをインストールしたアプリ内に固定設置された広告枠だけにビデオ広告を配信する。このため、ウェブページのようにスクロール操作で広告枠がスクリーンから隠れることがなく、常にビデオ広告を表示することができる。
ビデオ広告はバナーサイズ(320×50ピクセル)とアイコンサイズ(60×60ピクセル)の2種類で、広告露出時に自動再生する。いずれもタップされた場合は、全画面広告またはランディングページに誘導することが可能となっている。
課金方式はコンバージョン単価(CPA=Cost Per Action)ではなく、インプレッション単価(CPM=Cost Per Mille)を採用。アプリ開発者に対しては、モバイルバナーサイズとアイコンサイズはCPM110円以上、フルサイズはCPM220円以上を保証する。
出稿先としては、携帯電話キャリアや家電、自動車、PC、テレビ・映画の番宣など「TVCMのジャンル」(アップベイダーCEO兼CTOの佐野宏英氏)を想定。今後は広告代理店と協業し、全国規模でTVCMを展開するナショナルクライアントに出稿を呼びかけていく。
佐野氏によれば、ナショナルクライアントが広告予算でネットに割く予算は1%程度。予算の多くはTVCMに投入しているわけだが、AppVadorはTVCMと同じ世界観をスマホアプリで実現することで、広告出稿の受け皿になることを目指すという。
「スマホアプリ向けのビデオ広告は4G・LTE環境が整うまでは始めたくても始められなかった」と語る佐野氏は、いち早く市場参入してマーケットを開拓しつつ、事業売却も視野に入れているようだ。こうしたイグジットはスマホ向けアドネットワークを手がけるノボットがKDDI子会社に買収されたケースを思い出すが、ノボット出身者もアップベイダーの外部パートナーとして協力している。