米国では、25歳以上の50人に1人が、何らかの形で双極性障害(躁鬱病)にかかっている。実は、米国は人口当たり双極性I型およびII型患者数が、世界のどの国よりも多い。ミシガン大学の研究者たちは、Android用スマートフォンアプリ、コードネーム “PRIORI” を開発している。双極性障害症状の発現を検知するアプリだ。
アプリの公開までにはさらにテストが必要だが、米国人の患者60名からなる協力者グループによって、すでに有望な結果が示されている。同研究は、国立神経疾患研究所の助成金およびPrechter双極性障害研究基金の支援を受け、ミシガン大学鬱病センターで実施されている。
PRIORIは、被験者の声を観測し、微細な気分の変化を検出する。声の変化は、被験者が躁病または鬱病の症状を発現した兆候を示している可能性がある。
このアプリを使う患者にとって、会話のプライバシーが懸念されるが、研究チームによると、記録されるのは患者側の発言だけだという。アプリは、気分変動の早期兆候を、患者の医療チームに報告する。
アプリが動作するしくみは以下の通り。
「この予備研究結果により、日常的通話の様々な特徴や性質を分析することにより、気分状態を検知することが可能であり、かつ会話のプライバシーを侵害することなく行えることの、予備的実証が得られた」と、ミシガン大チームの一員、Zahi Karamが、イタリアで行われた音響・音声・信号処理に関する国際会議(ICASSP)で語った。
コンピュータ科学者のKaramとEmily Mower Provost、および心理学者のMelvin McInnisらが率いる研究チームによると、このテクノロジーは他の症状、例えば統合失調症や心的外傷後ストレス障害等の患者にも役立つ可能性がある。
アプリおよび研究開発のシード資金は、ミシガン臨床および健康研究施設から受けている。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook)