スマートフォンの世界的なブームにより、コミュニケーションがますます個人化していく中でInsensiは、家族のメンバーと容易にコミュニケートできるための、まったく新しいデバイスを開発してきた。その、Ilyと名付けられた製品はいわば現代版の陸線電話(固定電話)で、子どもや高齢者でも、使い方を人に教わらずに簡単に使える、というものだ。今Ilyは、Kickstarterで149〜199ドルで‘買える’。
同社は1月の本誌主催Hardware Battlefieldコンペに出た。Ilyは、タブレットでも電話機でもない。それは、キッチンやリビングに置いて毎日対話する何か、だ。Amazonの音声サービスAlexaもサポートしている。
前面には8インチのタッチスクリーンがあり、このデバイス専用のソフトウェアが動いている。カメラ、マイクロフォン、スピーカー、近接センサー、さらに温度計や空気の質センサーもある。
でもメインの用途は、今うちにいない最愛の人びととのコミュニケーションだ。タップするだけで呼び出せて、絵やビデオメッセージ、テキストメッセージなどを送れる。子どもたち、親たち、祖父母たちのどんな形の対話でも大歓迎だ。
なお、ブラウザーはまったくないから、子どもたちが見ているものを気にする必要がない。
Ilyを持ってない義父や義母はどうしよう。同社は近くiPhoneとAndroidのアプリを出すから、スマートフォンで彼らとコミュニケートできる。FaceTimeと違ってAndroidとiOSの両方で使えるし、Skypeと違って登録の必要がない。このモバイルアプリで、写真の共有もできる。Ilyの上で家族写真のストリームを作れるから、孫たちが祖父母の写真をたっぷり見ることができる。その逆ももちろん。そのストリームにスマートフォンから写真をアップロードすることもできる。
Insensiの協同ファウンダーでCEOのIlan Abehasseraに最初にインタビューしたとき彼は、従来のKickstarter的やり方はだめだ、と言った。大量のお金を集めて、生産が遅れ、設計も変わる。出資者をがっかりさせる。
これまでのKickstaterの失敗を繰り返したくないIlyは、生産を10か月前から開始し、資金募集キャンペーンが終わったらすぐに発送できるようにしている。つまり、支援者が品物を受け取れるのは、この夏だ。