先日インキュベイトファンドとディー・エヌ・エーからの資金調達を発表した生活密着型クラウドソーシングサービス「Any+Times」運営のエニタイ ムズ。同社がスマートロックシステムの開発を手がけるAKERUN(アケルン:現在法人化準備中)と連携したサービスを9月から試験的に提供することを明らかにした。
Any+Timesは家事代行を中心としたクラウドソーシングサービス。これに、AKERUNが開発するスマートロックシステムを組み合わせることで、家事代行の際のセキュリティの向上や入退室管理、鍵共有の効率化を図るという。
AKERUNが手がけるスマートロックシステムの中核となる「鍵ロボット」は、あらかじめスマートフォンとBluetoothでペアリングしておけば、スマートフォンが扉(というかロック)に近づくだけで自動で鍵を開けることができるというもの。他者のスマートフォンへの開錠権限を付与したり、時間を設定して開錠するといった機能も備える。単三電池1本で1年間利用できるそうだ(電池の残量についてはスマートフォン経由で知らせてくれるらしい)。現時点では詳細を聞けなかったが、特許申請中の新技術でセキュリティも強化しているということだ。
この鍵ロボットを持つAny+Timesユーザーは、家事代行を依頼する際、サポーターズ(Any+Timesで家事代行を請け負うユーザー)のスマートフォンに対して開錠権限を付与できるようになる。これによって、サポーターズは直接依頼人と会う必要なく、スマートフォン1つ持って家事を代行できるようになるというわけだ。以前エニタイムズ代表取締役社長兼CEOの角田千佳氏に聞いたところ、「最近ではAirbnb向けに提供している部屋の掃除などでAny+Timesを利用するユーザーもいる」と話していたのだけれど、そんな場合でもサポーターズ向けに合い鍵を作ることは少しためらわれる。その点、この仕組みがあれば、いらぬトラブルを避けることができる。
AKERUNはハードウェアエンジニアやソフトウェアエンジニアなど9人からなるチーム。エニタイムズのウェブディレクターである小林奨氏もそのメンバーだったことから、今回の連携が実現したという。まずは数人のAny+Timesユーザーに鍵ロボットを無料貸与して、Any+Timesのスマートフォンアプリの提供に合わせて試験的にサービスを開始する。年内にも正式に鍵ロボットを販売するよう準備中とのことで、今後はクラウドファンディングなどを通じて資金を集める予定だという。価格は現時点では未定だが、2万円程度での販売を目指すそうだ。また、Any+Timesで利用する場合は割引購入できるプログラムも用意するとのこと。
これまでにも、「Kevo」や「Lockitron」(現在プレオーダーとなっている)、「Goji」といったスマートロックシステムが海外ではあったようだが、日本発のスマートロックはクラウドソーシングと連携してどのようなイノベーションを起こしてくれるのだろうか。