セールスフォースへのデータ入力をシンプルにするScratchpadがシリーズAで13.7億円獲得

Scratchpad(スクラッチパッド)は、Salesforce(セールスフォース)上にノーテーションのレイヤーを配置し、営業担当者がSalesforceに情報を簡単に入力できるようにするアーリーステージのスタートアップだ。米国時間2月3日、Accelが参加し、Craft Venturesが主導した1300万ドル(約13億7000万円)のシリーズAを発表した。

ScratchpadはTechCrunchが2020年10月に報じた360万ドル(約3億8000億円)のシードラウンドを含め、これまでに合計1660万ドル(約17億5000万円)を調達した。共同創業者でCEOのPouyan Salehi(プーヤン・サレイ)氏は資本を増やすつもりはなかったと述べているが、投資家は同氏のビジョンと資金が製品ロードマップの加速に役立つことを理解していた。

「正直なところ、再び資金調達することは本当に私たちのレーダーには入っていませんでした。実質的にシードと考えていたラウンドから時間が経っていませんでした。ランウェイはまだ大分残っていましたが、ボトムアップでユーザーの増加が見られ始めました。このボトムアップの動きが本当に定着し始めました」とサレイ氏は筆者に語った。

同氏は、リードインベスターのDavid Sacks(デイビッド・サックス)氏はやろうと考えていたことを本当に成し遂げ、取引はかなり簡単にまとまったと語った。サックス氏は複数のスタートアップを自ら成功に導いた。実際、ScratchpadがCraftの目を引いたのは、ポートフォリオ企業からScratchpadについて聞いたためだ。

ボトムアップアプローチは確かに開発者ツールやナレッジワーカー向けのソフトウェアで見られる。だが企業が営業担当者に特定のツールを直接利用させるのではなく、営業マネージャーを通じて販売を目指すことはよくある。エンドユーザーを早めに関与させるこのアプローチにより、エンドユーザーは有料バージョンについて管理職にアプローチする前に営業チームのメンバーとの関係を築くことができる。

通常、営業チームは自分たちに押しつけられたツールを好まない。そうしたツールは本質的にはデータベースであり、視覚的なインターフェイスを備えていても実際の仕事の進め方とは一致しない。Scratchpadは、営業チームがワークフローをうまくこなすためにいつも使っているスプレッドシートやメモアプリケーションのようなインターフェイスを提供するが、Salesforceに直接接続する。

有料で提供するのは、すべてのデータをまとめ営業チームで起こっていることの全体像を把握する方法だ。ScratchpadのデータはSalesforceデータベースに自動的にリンクするため、ユーザーは確実にSalesforceを使用することができる。

同社は、個々の営業担当者のワークスペースを構築する最初の作業を完了した。次のフェーズで、また今回の資本によって一部カバーされるのは、チームのワークスペースを構築すること、およびデータが個人からチームビューにどのように流せば、管理職が個々の担当者の仕事についてより多くの洞察を得ることができるかを検討することだ。これにはメモが含まれる。メモは通常Salesforceには含まれていないが、顧客とのやり取りに関する多くの情報を提供する。

これが何千人ものユーザーの共感を呼んでいる(ただし、サレイ氏はまだ正確な顧客数を共有したくないようだ)。顧客にはAutodesk、Brex、Lacework、Snowflake、Twilioが含まれる。

サックス氏は、プロダクトがウイルスのように広がっていく様子が好きだという。「営業担当者がScratchpadを使い始めると2つのことが起こるようになります。毎日の習慣になり、チームメートと共有するようになります。この『ウイルス拡散現象』は珍しいものであり、製品と市場の適合性が非常に高いことを示しています」と同氏は声明で述べている。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Scratchpad資金調達Salesforce

画像クレジット:sanjeri / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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