Sony(ソニー)は、ビデオグラファーやスポーツ写真家が高解像度で完璧な画質を短期間のうちに求めるプロフェッショナル用デジタルカメラの世界で頂点を狙っている。新たに発表されたフルサイズミラーレス一眼カメラ「α1」は、スペック上では市場にあるすべての製品を打ち負かすが、6500ドル(日本での市場推定価格は税別80万円前後)という価格を聞けば冷静にならざるを得ないだろう。
これはもちろん、一般的な消費者のみならず、つい財布のひもが緩くなるカメラマニアや、「プロシューマー」と呼ばれるセミプロ向けの価格帯さえもはるか超えている。α1はプロのためのツールであり、キヤノンが歴代の「EOS-1D」シリーズや、最近ではフルサイズミラーレスの「EOS R5」を投入している分野だ。2020年に発売されたキヤノンのEOS R5は競合製品を超える大絶賛を受けているが、今度はソニーが明らかにこのR5を超えようとしている。
キヤノン EOS R5はフルサイズセンサー、4500万画素20コマ / 秒、優れたEVF、ボディ内手ブレ補正、8K動画など、すべての条件を満たしていた。ソニーの新製品は、それらすべてを満たす……だけでなく上回っている。
α1は、50メガピクセルの静止画を毎秒30フレームで、ファインダーのブラックアウトなしで(しかも、より感度が高い裏面照射型CMOSセンサーで)撮影し、EVFのドット数はEOS R5の2倍近く、リフレッシュレートも約2倍の240fps。8K動画はより高い解像度で撮影され(ソニーは全画素の8.6Kでオーバーサンプリングする)、オーバーヒート(EOS R5の悪癖だ)することなく30分間の撮影が可能、等々。
ソニーはコストを考慮せずに、あらゆる面でキヤノンのフラッグシップ機を上回る気だったらしく、EOS R5の価格が約3800ドル(キヤノンオンラインショップ価格は税抜46万円、ボディーのみ)であるのに対して、α1は6500ドル(市場推定価格税別80万円前後)となっている。
しかし、フォトグラファーが商売道具にそのくらいの金額を出すものだ(レンズはそれと同等かさらに高額になることもある)。スポーツや自然を撮影している人なら誰でも知っていることだが、毎秒20コマではなく30コマになることで、カバーショットが撮れるかどうかの違いが生じる。動画の1ピクセル単位にまで近づいて1日中作業をしている視覚効果アーティストなら、EOS R5の8Kとα1の8Kの違いを見分けることができるだろう。それは重要なことだろうか?重要かもしれないし、そうでないかもしれない。その違いによる作品のリスクを受け入れるか、それともそれを排除するために余分なお金を支払うかは、あなた次第だ。
ほぼ最高のものではなく、最高のものを手に入れられるかどうかが、単にお金の問題に過ぎないのであれば、躊躇せず小切手を切る人はたくさんいるだろう。もちろん、EOS R5が発売されたのは半年前のことなので、その後継機(Mark II)が立場を逆転させる可能性もある。
確かなことは、EOS R5もα1も、どちらもほとんどの人にとって必要以上のカメラであるということだ。これらは業界の最先端をいく製品であり、その業界はこの数年の間に着実に縮小してきた。現在、プロフェッショナルをめぐり繰り広げられている熾烈な競争は、太刀打ちできない小さなメーカーが淘汰されていくという長期的な影響を業界におよぼす可能性がある。それは年々スマートフォンが侵入しつつあるにも関わらず、今後も持続すると信じる市場に投資することでもある。
トップエンドのプロフェッショナル以外の我々にとってさらに重要なのは、カメラ業界におけるこのような競争が、後に我々が実際に購入できるモデルに進化をもたらすという恩恵に授かれることだ。誰もが本当に8Kを必要としているわけではないが、改良されたセンサーの読み出し技術やEVFは、我々の使うカメラにも「降りて」くれば、好ましいに違いない。
ソニーα1の詳しい情報はこちらの公式サイトでご覧いただける。
カテゴリー:ハードウェア
タグ:Sony、カメラ
画像クレジット:Sony
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(翻訳:TechCrunch Japan)