ネイティブ広告のTaboolaがSPACを介して公開へ

Taboola(タブーラ)は特別買収目的会社(より一般的にはSPAC)を介して公開しようとしている最新の会社だ。

そのためにTaboolaは、イスラエルのテック企業買収資金の調達のため2020年に公開したION Acquisition Corpと合併する(Haaretzは2020年12月、TaboolaがIONと交渉中だと報じた)。取引は第2四半期に完了する予定で、合併後の会社はニューヨーク証券取引所でティッカーシンボル「TBLA」で取引される。

2007年に設立されたTaboolaはCNBC、NBC News、Business Insider、The Independent、El Mundoなどのパブリッシャー向けに9000のウェブサイトでコンテンツレコメンドウィジェット(およびそれらのウィジェットでの広告)を提供している。同社によると、1万3000以上の広告主と協力しながら、1日あたり5億1600万人のアクティブユーザーにリーチしているという。

同社は以前、競合他社のOutbrainとの合併を計画していたが、2020年秋に破談した。情報筋は、新型コロナウイルスのパンデミックの市場への影響、企業文化統合の難しさ、合併目的の規制当局への説明という問題を指摘している。

Taboolaの創業者でCEOのAdam Singolda(アダム・シンゴルダ、上の写真左)氏は、これがSPAC取引に直接つながったわけではないと筆者に語った。しかし同氏は「私はいつも公開したいと考えていました」と述べた。合併が進められている間は不可能だった。合併は中止され、フタを開けてみれば2020年がTaboolaにとって力強い年になった今となっては、時期は適切で、IONも適切なパートナーのように思える。2020年は12億ドル(約1250億円)の売上高を見込んでおり、これはトラフィック獲得コスト控除後(パブリッシャーへの支払い後)の売上高3億7500万ドル(約390億円)を含んでいる。調整後EBITDAは1億ドル(約104億円)を超えた。

「Taboolaは、壁に囲まれた庭園に挑戦するのに相応しいオープンウェブのレコメンドリーダーであると信じています」と、IONのCEOであるGilad Shany(ギラッド・シャニー)氏は声明で述べた。「私たちはイスラエルのDNAを持つ世界的なテクノロジーリーダーとの合併を模索していました。そしてTaboolaに出会いました。同社が構築した何千ものオープンウェブデジタルプロパティーとの長期的な提携、広告主へのダイレクトアクセス、グローバルでの膨大なリーチ、実績のあるAIテクノロジーの組み合わせにより、Taboolaはパートナーに大きな価値を提供します。同社は成長とともに魅力的なユニットエコノミクスを実現しています」。

この取引によりTaboolaの価値は26億ドル(約2700億)になる。同社はこの取引を通じて、Fidelity Management & Research Company、Baron Capital Group、Hedosophia、Federated Hermes Kaufmann Fundsなどが管理するファンドや口座から調達した2億8500万ドル(約290億円)のPIPEファイナンス(上場企業の私募増資)を含め、合計5億4500万ドル(約570億円)を調達する予定だ。

シンゴルダ氏は、同社が2021年に1億ドル(約104億円)を研究開発に投資する計画であり、「ブラウザーの先」へ移動することを目標にeコマースやテレビ広告などの分野にテクノロジーを拡大したいと述べた。同氏はTaboolaをもっと広く「オープンウェブを擁護する強力な公開会社」にしたいと語った。

「オープンウェブはTaboolaの見積もりによると640億ドル(6兆6600億円)の広告市場ですが、オープンウェブ用のGoogle(グーグル)はありません」と同氏はいう。

確かにGoogle自体は同様のアイデアについていろいろ発表している。シンゴルダ氏は、Googleには検索やYouTubeなど、消費者の時間と注意を巡り他のパブリッシャーと競合する消費者向け製品があるが、「Taboolaは消費者ビジネスではありません。私たちはパートナーにサービスを提供しています。そして、視聴者の成長、エンゲージメント、収益を促進するのは私たちのアイデンティティです」と主張した。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:TaboolaSPAC

画像クレジット:Andreas Rentz / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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