ソフトバンクがマイアミ拠点のスタートアップ向けに104.7億円のファンドを設立

新興のスタートアップハブであるフロリダ州マイアミが、新たなパトロンを得た。Softbank(ソフトバンク)だ。日本の多国籍コングロマリットは、同社の複数のファンドから集めた1億ドル(約104億7000万円)を、マイアミ拠点のスタートアップに投資する計画を米国時間1月28日に発表した。ちなみに、SoftBankの50億ドル(約5235億8000万円)のラテンアメリカファンドもマイアミに本社を構える。

プロジェクトはSoftBank CEOのMarcelo Claure(マルセロ・クラウレ)氏が指揮する。このファンドは、マイアミ在住あるいはマイアミに移転予定の企業を支援する。

SoftBankによる出資は、シリコンバレーの通過儀礼的な意味合いがあり、同社の関わりはマイアミの成長が本物であることを他の投資家にも示すものだ。この非課税の安息地は、その成長シーンに参加しようとしている全米の投資家とファウンダーの集団を引き寄せている。移転組には、Founders FundのKeith Rabois(キース・ラボイス)氏、Blumberg CapitalのDavid Blumberg(デビッド・ブルンバーグ)氏、Andreessen HorowitzのChris Dixon(クリス・ディクソン)氏、Craft VenturesのDavid Sacks(デビッド・サックス)氏らがいる。

マイアミのFrancis Suarez(フランシス・スアレス)市長はTwitter(ツイッター)で、技術者たちにマイアミへの移住を勧め、この都市をスタートアップ震源地に変えようとするさまざまな取り組みを推進している。

Career KarmaのファウンダーであるRuben Harris(ルーベン・ハリス)氏は2018年以来、テック業界への人材勧誘でスアレス市長に協力している。

「SoftBankが行動を起こしたことで、他のファンドがこの例に倣うことが予想されます。これは人種だけでなく社会経済や性別の面から見ても多様化の大きな成果です」とハリス氏は語った。同氏はマイアミへの移住を考えている。現在Career Karmaは、VCファンドと協力して古いノートパソコンをReskill Americaプログラムに寄贈し、マイアミの新興労働者の訓練に役立てようとしている。

マイアミ拠点の非営利投資シンジケートであるFunction(ファンクション)のMonica Black
モニカ・ブラック)氏は、SoftBankの参入について「地域のスタートアップに流れる資金の額が増えてシリーズA以降の段階への成長を後押しするだけでなく、共同出資者として他の機関VCを引きつけます」と期待を寄せる。歴史的に、地域のスタートアップがシリコンバレーやニューヨークのファンドから資金を調達するのは難しい、と彼女はいう。例外はPapa(パパ)で、2020年9月に1800万ドル(約18億8000万円)を調達した同社は、高齢者をSound Ventures(サウンド・ベンチャーズ)やCannan(カナン)のバーチャルコンパニオンとつなぐサービスを提供している。

マイアミ拠点のファンドであるANIMO VenturesのファウンダーNico Berardi(ニコ・ベラルディ)氏は、SoftBankの新たな取り組みを、サンフランシスコのFounders Fundがマイアミにオフィスを開設するという最近のニュースと結びつけた。

「どちらも象徴的な出来事で、象徴は重要だと私は思います」とベラルディ氏はいう。「彼らはここに旗を立てて、ここは将来有望なシーンだと宣言しています」。同氏の16社のポートフォリオ企業の中で、マイアミに拠点を置くのは1社だけだとベラルディ氏はいう。この地に移動する投資家が増えれば増えるほど、多くの人材を引き寄せることができる、とベラルディ氏は楽観している。

「次はマイアミでやろう、というファウンダーを何千人も呼び込むことができると私は期待しています」と同氏は語った。

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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:Softbank Groupマイアミ

画像クレジット:John Coletti / Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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