ソフトバンクの改革を求めてエリオット・マネジメントが同社株約2800億円取得

アクティビスト投資会社であるエリオット・マネジメントは着々とその株式を買い集め、取得金額は25億ドル(約2800億円)に達した。ニュースの見出しを踊らせてきた日本のテクノロジーコングロマリットであるソフトバンクは、一連の失策によって株価が低迷していた。

The Wall Street Journalの第一報によるとSlack(スラック)やUber(ウーバー)、また今や悪名高いコワーキングスペースのWeWork(ウィーワーク)に数十億ドル(数千億円)を賭けたことで名を馳せたソフトバンクは、エリオットの金融投資部門をひきつける目標を提示したという。

2019年11月、ソフトバンクグループは、かつて非公開市場で470億ドル(約5兆2000億円)と評価されたWeWorkの救済による影響もあり、65億ドル(約7100億円)の損失を計上した。

損失計上で株価は急落したが、数々のトラブルにもかかわらず、ソフトバンクは依然として非常に安定したポートフォリオを保有している。そのソフトバンクの資産には、エリオット・マネジメントの340億ドル(約3兆7300億円)もの運用資産の一部を切り出してソフトバンクに少数株主として投資するに値する魅力があると同社は考えた。

「エリオットによるソフトバンクグループへの多額の投資は、市場がソフトバンクの資産ポートフォリオを大幅に過小評価しているという我々の強い信念を反映している」とエリオットの広報担当者はメールで述べた。「エリオットはソフトバンクの幹部と直接対話しており、ソフトバンクの本質的価値に対するディスカウントを大幅かつ持続的に減らすべく建設的に取り組んでいる」

ソフトバンクは、1000億ドル(約11兆円)という巨額のビジョンファンドでテクノロジー投資の世界に波風を起こしてきた。このファンドは多額のキャッシュを必要とするテクノロジースタートアップに出資する目的で設立されたが、さまざまな業界を変革する可能性がある。

同社の大胆な投資戦略の資金は、Saudi Arabian Public Investment Fund(サウジアラビア・パブリック・インベストメント・ファンド、投資担当者はジャーナリストの暗殺を命じた上層部とつながりがある)のような政府系ファンドやApple(アップル)、Microsoft(マイクロソフト)などの企業と協力して調達された。

リミテッドパートナーと自身の現金により、ソフトバンクはさまざまな業界の企業の株式を大量に取得してきた。ただ、その規模を維持し、正当化するのが難しくなってきている。

2019年、ソフトバンクのポートフォリオ企業のいくつかがトラブルに直面した。エリオットがソフトバンクの上層部に変革をもたらすとしても、ポートフォリオのパフォーマンスに影響を与えるかどうかは何とも言えない。

実際、ソフトバンクの創業者である孫正義氏が22%の株式を保有していることを考えると、エリオットが開始または主張する活動には限界があるかもしれない。

ソフトバンクのポートフォリオには優れた企業があり、公開市場の投資家はエリオット・マネジメントによる投資の開示を受けてソフトバンクの株式を買いに走っている。

ただし、2018年にベンチャー市場に流入した資金の洪水は絶頂に達したようであり、ソフトバンクや同社の新規投資家はずぶぬれになってしまう可能性がある。

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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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