情動知能(emotional intelligence, 感情を理解する能力)は、人間自身においてすら難しい。ロボットとなると、なおさらだ。チャットボットには、さらに難しいだろう。拾い上げることのできる感情の指標が、ごく限られているからだ。
中国のEmotibotは、パーソナルアシスタントやチャットボットや、カスタマサポートの仮想係員などが、対応する人間の気持ちを正しく理解できるようにする。カスタマサービスのどんな対話でも、係の人が相手の気持ちを尊重してくれたら、すごく良質なサービスだ、という印象を与え、その噂が広まる。
今のボットは、感情に関してはかなり未発達だ。冗談を言えたり、あらかじめプログラミングされている寸言を言えることもあるが、相手が今、冗談を聞く気分でないことや、もっと思いやりのある対応を求めていることを、理解できるボットはほとんどない。
Emotibotはそんな顧客が求めるもの、すなわち気配りのあるチャットボットを提供する。そんな社交性を持つためにEmotibotは、入力のテキストやオーディオ、それにカメラからの映像をフルに利用する。
今のところEmotibotは、WeChatとAndroidで使える一般向けのアプリを提供している。それはいわば、そのチャットボットにできることのデモだ。しかし同社の本来のビジネスは、個々の企業向け製品向けに個別のソリューションを作り、感情を理解するチャットボットやカスタマサポートを実現することだ。その対象はメッセージングアプリや、スマートスピーカー、ネット接続車など、何でもよい。
Emotibotは、中国における感情の正しい検出率が95.63%だ、と言っている。それは、これまでで最高だ。感情検出というシステムは当然ながらローカライゼーションが必須だが、同社はすでの、その人材を揃えている、という。