チャットを見る感覚で小説が読めるアプリ「Peep」を提供するtaskeyは7月25日、Global Catalyst Partners Japan、グッドスマイルカンパニー、サイバーエージェント・ベンチャーズ、コルク、BASE Partners Fund、三井住友海上キャピタルなどから総額1.5億円を調達したと発表した。調達した資金をもとに、peepの新たなコンテンツ制作・プロモーションを加速させるという。
「21世紀、最も読まれる物語を生み出す」ことをミッションとしている同社のアプリ、peepは、チャット型UIを使用することで、スマホを使う特に若い世代にとって読みやすい形でコンテンツを提供している。画面をタッチするごとにセリフが出てくるので、ストーリーを目で追うのが非常に簡単だ。僕もかつては文学少年だったが、今の時代、なにも縦読みにこだわる必要はないのだな、と痛感させられた。
同社の強みについて、代表取締役CEO大石弘務氏は、自身が経営者としてだけでなく作家としても活動していることだと答えた。大石氏の腕は、2017年に沖縄国際映画祭で募集が行われた「原作開発プロジェクト」にて、Amazonプライムドラマの原作小説である「エスカレーターボーイ」で大賞を受賞しているほどだ。
peepの掲載作品数は約700作品、掲載話数は約1500話。これらは大石氏や契約作家によるオリジナルコンテンツだ。ユーザー投稿型のチャット小説アプリが主流な中、大石氏が作家として作品の目利きを出来る点が他社・他サービスにはない強みだ。
同アプリは2018年7月4日の時点でApp Storeの国内チャット小説アプリにおいて課金売上第1位を獲得している。また、2018年5月に新たな取り組みとして漫画をチャット小説化した「タップコミック」の提供を開始しており、コルク提供の漫画「ドラゴン桜」のタップコミック版は提供開始当初よりユーザーから高い評価を得ているという。
taskeyは2014年の創業。2015年2月に小説投稿SNS「taskey」のブラウザβ版をリリースした同社がpeepのサービス提供を開始したのは2017年12月からだ。
peepの開発について、大石氏は「taskeyを通じて知り合った作家さんのコンテンツでマネタイズできないかとずっと考えていて、出会ったのがチャット小説というインターフェイスだった」と語った。
また、「縦書きで書かれている小説っていつまで読み続けられるんだろう、と思っていた」と説明した上で、チャット小説であれば「若い世代にもテキストのコンテンツでちゃんと届けられると実感した」と話した。
同社は設立当初から海外展開を目指していたという。taskeyでは小説を投稿したり、投稿された作品を読んだり、という小説投稿サイト的な機能に加えて、作品をユーザーが自ら翻訳して公開するという機能がある。だが、「小説の翻訳をするのはハードルが高かった」と大石氏は語った。
だが、チャット小説は小説と違い、「1つ1つのセリフが短いので、機械翻訳でも意味が理解できる程度の翻訳ができる」という。
今回調達した資金をもとに、同社は今後、チャット小説の提供のみならず、イラスト・動画を使った新たなコンテンツ制作に注力する。大石氏は新たにインハウスの編集者を採用し、ノウハウを伝授することにも積極的だ。さらに、日本のみならず、peepの海外への展開も予定しているという。
大石氏はpeepのコンテンツを「年内には海外に出そうと思っている」と述べていた。