フランス発のスタートアップQontoが、既存株主のValar VenturesとAlven Capitalから新たに1130万ドル(1000万ユーロ)を調達した。現在彼らは法人向けサービスも提供しており、ウェブサイトからフランスの法人口座を簡単に開設することができるようになっている。
Qontoの目標はN26の法人版のような存在になることだ。リテールバンキングはここ数年間そこまで大きな変化を見せていないが、ビジネスバンキングの状況はさらに悪く、昔からほとんど何も変わっていない。手数料は高く、何をするにも時間がかかってしまう。
同社のサービスはデスクトップ版とモバイル版の両方が準備されており、ユーザーは口座への送金・入金を含め全てを管理することができる。利用料はフランス銀行口座(IBANも付与される)にMasterCardが1枚付いて月額9ユーロだ。
もしも新しいカードが必要であれば、1枚あたり月額5ユーロ、さらにバーチャルカードであれば月額2ユーロで発行できる。ユーザーの管理も一括で行えるため、新しい営業担当者を雇った際には、新しいカードの発行を依頼するだけでよく、モバイル端末やパソコンからその明細を確認できる。
さらにモバイルアプリには、カードのブロックや解除、暗証番号の変更、カードが使われたときにリアルタイムで通知を送る機能が搭載されているほか、限度額の変更や会計会社との明細共有も簡単に行える。
レシートをアップロードして対応する経費に紐付ける機能などもこれから導入される予定のため、会計会社や経理担当者は大助かりだろう。他通貨での送金プロセスも今後簡素化されるようだ。
今後Qontoの口座はStripe、PayPal、GoCardlesといったサードパーティーのフィンテックサービスとも接続される予定で、ユーザーはさまざまなプラットフォームの支払情報を一括管理できるようになる。
Qontoはバックエンドの処理をパートナー企業のTreezorにアウトソースしており、彼らがユーザーのお金を実際に動かしている。また、当座預金口座の開設やデビットカードの発行もTreezorが行っており、Qontoはユーザーエクスペリエンスや顧客との関係維持など、フロントサイドの業務を担当している。
細かな違いはありながらも、フランスのiBanFirst やアメリカのSeed、イギリスのTideなども似たようなサービスを提供しており、Tideは昨日1400万ドルを調達したと発表したばかりだ。市場の細分化が進んでいるように見える一方で、このような大型資金調達のニュースを聞くということは、法人向け金融サービスに大きなチャンスが眠っているということなのだろう。
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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter)