フランス政府が接触者追跡アプリのソースコードの一部を公開

フランス国立情報学自動制御研究所であるInriaは、フランス政府の接触者追跡アプリ「StopCovid」を動かすプログラムのソースコードの一部をリリースした。いくつかのGitLabリポジトリに分け、Mozilla Public License 2.0に基づいて利用できるようになっている。フランス政府は、すべてをオープンソースにすると発表していたが、実際にはそれよりも多少複雑な状況になりそうだ。

Inriaが発表資料に書いているように、このプロジェクトは現在3つの部分に分かれている。インフラに関する重要度の高い要素は、GitLabリポジトリとして利用できるようにはならない。その代わりInriaは、セキュリティ実装に関するドキュメントのみをリリースする予定としている。それも、ANSIAと、フランスのデータ保護に関する監視機関CNILが、この面でもある程度の透明性を確保することを促したからだ。

2番目の部分は公にリリースされる予定となっている。ただしInriaは、外部からの貢献は求めない。デベロッパー用語で言えば、プルやマージのリクエストには応じない。ここに含まれるのは、主にユーザーインタフェースに関するもので、接触者追跡プロトコルとは直接のやり取りのない部分となる。

3番目の部分は、接触者追跡プロトコルと、その実装を含んでいる。これについては、Inria自身と、StopCovidに取り組んでいる企業や研究チームのコミュニティが、外部からの貢献を求めている。プライバシーとセキュリティに関して、プロトコル自体を改善するためだ。

フランスでは、ROBERTと呼ばれる集約型の接触者追跡プロトコルを推進している。InriaとFraunhoferが、その仕様をリリースした際に、私は同プロトコルの長所と短所を分析した

それは、Apple(アップル)とGoogle(グーグル)による接触者追跡APIとはかなり異なっている。ROBERTは、中央のサーバーを使用して永続的なIDを割り当て、その永続的なIDに関連付けられた複数の一時的なIDも割り当てる。スマートフォンは、周囲にいる他のアプリユーザーの一時的なIDを収集しておく。誰かが新型コロナウイルスに対して陽性であると診断された場合、サーバーは、その人が接触を持った人たちに関連付けられたすべての一時的なIDを受信する。もし、ユーザーの一時的なIDの1つ以上にフラグが付けられると、そのユーザーは通知を受け取ることになる。

このような匿名のシステムを選択するということは、その実装が完璧なものであると、政府を信頼する必要が生じることを意味する。たとえば、サーバーと通信する際、アプリがありとあらゆる情報を送信するように作られていれば、サーバー側で永続的なIDに実名を関連付けることも可能になってしまうからだ。

Inriaによれば、すべてがうまくいった場合、StopCovidは6月上旬にもリリース可能であるという。フランスのデジタル大臣であるセドリックO(Cédric O)氏は、テレビのインタビューで、政府としては6月2日にStopCovidをリリースしたいと考えていることを表明した。

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新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

フランスが新型コロナで打撃を受けるスタートアップ救済に約4780億円注入

フランスのデジタル経済担当国務長官であるCédric O(セドリック・オ)氏と公的投資銀行のBpifranceは3月25日、スタートアップ向けの包括的な支援計画を発表した。フランスの一部のスタートアップは今後数カ月のうちに売上高や資金調達の問題に直面することが予想される。

フランス政府は、借り換えや流動性で一時的に橋渡しを行うべく、43億ドル(約4780億円)の予算を組んだ。「スタートアップは経済成長を担っている。雇用という点では特にそうだ」とオ氏は声明で述べた。「スタートアップはまた、遠隔診察アポイントメントやリモートワークのソリューション・デリバリーなど、(新型コロナウイルス感染拡大による)ロックダウン時に特に役立つ刷新的なプロダクトやサービスに取り組んでいる」。

フランス政府ははすでに広範な経済支援策を発表している。売上高減の企業は納税や家賃、公共料金の支払いをスキップできる。そして流動性支援に3200億ドル(約36兆円)をあてる。この中で企業は国の支援のもとにローンを組みやすくなる。

さらに重要なことに、もしスタートアップが操業停止を余儀なくされた場合、国は解雇を回避するために短時間労働制度を用意している。従業員の給料の84%を国が補填するというものだ。

そうでなくてもスタートアップは常に破産と隣り合わせている。だからこそフランス政府はスタートアップに照準を当てた追加のサポート策に踏み込んだ。

その策とは第1に、新たな資金調達ラウンドの最中だったスタートアップは、BpifranceのPIAを通じて橋渡しの資金を調達できる。一部のVCは契約内容を撤回するかもしれず、また別のVCは投資ペースを緩やかにするかもしれない。この対策としてBpifranceは8670万ドル(約96億円)を注入する。プライベート投資家も同額を共同投資する。

第2に、政府はスタートアップ向けの流動性支援も用意している。他の企業と同じく、スタートアップも3200億ドルの流動性スキームの中で借入ができる。借入可能な額はフランスで雇用している従業員の給与2年分もしくは年間売上高の25%のいずれか多い方となる。この総費用として22億ドル(約2445億円)を見込む。

第3に、スタートアップは付加価値税の還付と研究開発投資の税還付を早く受けられる。総額は16億ドル(約1780億円)を想定している。

第4に、Bpifranceは公的支援の支払いを素早く実施する。スケジュール前倒しで2億7000万ドル(約300億円)を支払う予定だ。

画像クレジット:Ludovic Marin / AFP / Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Mizoguchi

Avastと仏警察、85万台感染の暗号通貨マイニング・ボットネットを壊滅

フランス国家警察のC3N(デジタル犯罪対策センター)とEUのアンチウィルス・ソフトの大手Avast(アヴァスト)は共同作戦で850万台のコンピュータを乗っ取っていた大規模ボットネットを壊滅させた。

Retadupの亜種は仮想通貨マイニングのためにワームによってコンピュータからコンピュータへ感染を拡大させるマルウェアだ。通常はコンピュータの低負荷時にユーザーに気づかれないようCPUパワーを盗むが、仮想通貨発掘機能と同じくらい容易にスパイウェアやランサムウェアをインストールできる。

2017年に登場して以後、このマルウェアは米国、ロシア、中南米に急速に拡大した。

Avastのブログ記事によれば、作戦は大成功だったという。

チェコ共和国の有力テクノロジー企業であるAvastが壊滅作戦に参加することとなったのは同社のセキュリティ専門家がマルウェアのサーバーソフトに重大な脆弱性を発見したことがきっかけだった。Avastによれば、この脆弱性を利用して「被害者のデバイスに新たなソフトをインストールする必要なしにマルウェアを除去できる」可能性があった。

ただし私企業であるAvastにこの手法でマルウェアを除去する法的権限がなかった。Retadupマルウェアのインフラの大部分がフランスに所在していたため、Avastはフランス国家警察に接触した。この6月に作戦にゴーサインが出たため、フランス警察とAvastはマルウェアの一掃の乗り出した。

フランス警察によれば、このボットネットを「世界最大級のネットワーク」だった。対策チームはサーバー運営会社の協力を得てマルウェア・ネットワークをコントロールしていたサーバーのスナップショットを撮った。マルウェア側に作戦を気づかれて証拠隠滅や報復攻撃を招かないよう、細心の注意が必要だった。

Avastによれば、Retadupネットワークの運営者たちは大部分が暗号通貨採掘者で自ら動くことなしに密かに大金を得ていた。しかしもし壊滅作戦が進行中だと気づけば、マルウェアを浸かって何十万台ものコンピュータにランサムウェアを仕込み、最後の荒稼ぎに出る可能性があった」。

セキュリティ対策チームはマルウェアのサーバーのコピーを作成したが、この独自コピーは被害にあっているコンピュータからマルウェアを取り除く機能が付与されていた。Avastのブログ記事にはこう書かれている。

(フランス警察とAvastは)マルウェアをコントロールするサーバーを 汚染除去用のサーバーで置き換えた。このレプリカサーバーはRetadupを自爆させる機能を持っていた。

マルウエアに感染した何千台ものコンピュータがサーバーからコマンドを得よう得ようとした瞬間、マルウェアに内在するバグを利用して、レプリカサーバーが取って代わりマルウエアを除去した。

Avastは85万台のコンピュータからマルウェアを取り除くことに成功したという。今回のようにマルウェアをリモートで除去できたのhが大きな成果だが、実行には多大の困難があった。

フランス国家警察のサイバー対策のトップであるJean-Dominique Nollet(ジーン-ドミニク・ノレ)氏によれば、このボットネットの運営者には数百万ユーロの暗号通貨を採掘したものがいたという

数年前、米連邦政府はルール41(連邦刑事訴訟規則第41条)の制限を撤廃し、連邦判事は管轄外の地域に所在するコンピュータに対しても捜索と差し押さえの令状を発行できるようにした。これはFBIが国外のコンピュータをハッキングできるようにするためと見られている。
「捜査機関に友好的な判事の1通の令状によって世界中の無数のコンピュータがハッキングされる危険がある」と非難する声も一部にある

この改正により、Joanapボットネットと呼ばれる北朝鮮の大規模なサイバー攻撃をシャットダウンさせることに成功している。

【Japan編集部追記】C3Nはフランス国家警察のデジタル犯罪対策センター(le centre de lutte contre les criminalités numériques)

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

フランス旅行ならCozycozyでAirbnbとホテルが同時に探せる

フランスのスタートアップ、Cozycozy.comは広い範囲の宿泊先検索サービスだ。もちろんこれまでもホテルの検索、予約サービスは各種存在しているし、これからも生まれてくるだろう。しかしCozycozyが探してくれるのはホテルだけではない。

何箇所かを回る旅行を計画している場合、それぞれの宿泊先を別々のサービスで探したり予約したりすることが多い。サービスごとに異なるタイプ、料金の部屋を扱わうので、Airbnb、ホテルの口コミ・サイト、ホテル予約サービスなどを同時に使わねばならない。この場合多数のタブやアプリを開くことになる。

こうしたサービスは無数に存在しているが、大部分の有力サービスは次の3グループのいずれかに属する。Booking Holdings はBooking.com、Priceline、Kayak、Agodaなどを、Expedia GroupはExpedia本体の他にHotels.com、HomeAway、Trivago等を、TripAdvisorはTripAdvisor、HouseTrip、Oysterなどを傘下に持っている。これらのグループが多数のサービスを運営しているのは旅行先、旅行の種類別に特化させてできるだけ多数の訪問者を得るためだ。

Cozycozy.comはこうしてフラグメンテーションが進んだサービスを統合し、一つのインターフェイスから利用できるようにしようとしている。つまりホテルに加えてAirbnbをカバーするだけでなく、レンタルのパワーボートやアパート、バケーションの時期に互いの家を交換して滞在するホーム・エクスチェンジも探せる。もちろん料金や宿泊先のタイプによってフィルターをすることができる。

ただし同社は直接各ホテルと契約しているわけではなく、予約は取り扱っていない。これはあくまでも広範囲の検索サービスで、適当な部屋がみつかったらCozycozyのページからAirbnbやBooking.comなどのサイトにジャンプして予約を完了する。

Cozycozyは先ごろ、Daphni、CapDecisif、Raiseなどから400万ユーロの資金を調達した。ラウンドにはXavier Niel氏、Thibaud Elzière氏、Eduardo Ronzano氏などのエンジェル投資家各氏が参加している。

Cozycozy.comの共同ファウンダー、会長のPierre Bonelli氏はLiligo.comの創業者だ。Liligoはフランスでもっとも人気ある航空チケットの比較サービスとなり2010年にSNCF(フランス国鉄)に買収された。同氏は2013年にはオンライン旅行代理店、eDreams ODIGEOを創業している。

cozycozy com page de resultats

(TechchCrunch Japan編集部追記) 上のスクリーンショットのとおり、言語は今のところフランス語のみサポートしているが宿泊先検索なのでGoogle翻訳などで十分内容を確認できる。またフランス国内でポピュラーな旅行サイトにジャンプできるため混雑した時期でも比較的容易に部屋を予約できる。

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滑川海彦@Facebook

フランスのデジタル課税法案が下院を通過

フランス議会下院は、テック企業に税金を課す新たな法案を採決し、修正なしで通過させた。フランスで大きな売上を上げているテック大企業は、フランスでの売上に基づき課税されることになる。

ブリュノ・ル・メール経済大臣は、テック大企業が実質税率を下げるために欧州法人の構成を最適化するのをやめさせようと欧州各国に働きかけてきた。

しかし欧州全体の税制を変えるのは簡単ではない。欧州連合に加盟する国を説得して、全会一致で賛同を得る必要がある。テック大企業の地域統括本部を誘致しているいくつかの国は賛成していなかった。

フランス政府は賛同を待ちたくはなく、そこで今回のフランス国内での新税だ。もしあなたがグローバル売上7億5000万ユーロ(約940億円)超、フランスでの売上が2500万ユーロ(約31億円)超の会社を経営しているなら、フランスでの売上の3%にあたる額を納税しなければならなくなる。

この新税は2つのカテゴリーのテック企業を対象としている。2つのカテゴリーとは、マーケットプレイス(AmazonのマーケットプレイスやUber、Airbnbなど)と広告(Facebook、Google、Criteoなど)だ。

この新税は、収益ではなく売上に基づくというかなり奇妙な課税モデルだ。また課税に際しては、税務当局側での精査が必要となる。というのも、フランスでの売上には、フランスのメールアドレスやIPアドレスを使ったすべての取引が含まれるからだ。フランスはこの新税で2019年に4億ユーロ(約500億円)の税収を見込んでいる。

ル・メール経済大臣は、他の欧州各国がゆくゆくは態度を変えることを期待している。OECDもまた、標準化された規則に則ったテック企業への適切な課税の方法を検討中だ。

欧州連合やOECDが、テック企業が操業する国で適切にテック企業に課税する方法をもし見つければ、今回の新税と取り替える、とフランス政府は言っている。次はフランス上院がこの法案を審議し、採決する。しかし、こちらも難なく通りそうだ。

イメージクレジット: PM Images

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(翻訳:Mizoguchi)

フランスの新デジタル経済大臣セドリック・オに聞くハイテク産業の規制方針

フランスのエマニュエル・マクロン大統領の下で黒子として働いていたら、突然大臣に抜擢された。あなたならどう感じるだろうか?これは今週、Cédric O(セドリック・オ)氏身に起きた出来事だ。彼は先週の日曜日にデジタル経済大臣に任命された。私は、任命後、初めてのジャナーリストとして彼にインタビューができた。

セドリック・オ氏は、何年もの間、フランスのテクノロジー・エコシステムと意見を交わしてきたが、カメラやマイクの前に立つことはなかった。大統領官邸であるエリゼ宮殿では、フランス企業の株式と技術全般を見守る担当責任者を務めていた。私もこれまで、彼の業績に関する記事をいくつも書いてる。

50人のハイテク企業のCEOを招き、マクロン大統領と「公益のためのテクノロジー」について懇談させた。数十人のベンチャー投資家や有限社員をパリに招待し、フランスのテクノロジー・エコシステムにより多くの投資を行うよう説得した。適正化の状況をフランスの規制当局に捜査させるようFacebookを説得した。それでも、彼の名前は表に出ることがなかった。

スポットライトを当てられた今、テクノロジーに関するあらゆる物事を担当するこの大臣に、ぜひとも考え方を聞いておかなければならない。ハイテク企業への規制は、経済と社会構造の礎石となる。彼はそこに、強い思いを持っている。

巨大ハイテク企業の規制

いろいろな理由はあるが、私たちの会話は、いつもハイテク企業の規制に行き着く。この問題では、セドリックは企業と欧州各国との、明確な規制の枠組みと新しいタイプの規制担当者との狭間の微妙な立場にある。彼は、その関係を崩したいと思っているわけではない。

「プラットフォームには、何らかの規制をかける必要があります。私は、マーク・ザッカーバーグ氏の論説に完全に同意します」とセドリック・オ氏は私に話した。「何が合法で何が違うかは、プラットフォームが決めるべきではありません。しかし、規制を実施しその結果を出すことに関しては、彼らに責任があります」

彼によると、ザッカーバーグ氏が法律を書くべきではなく、フランスの規制当局はコンテンツに注目すべきではないという。すべては、適正化へ向けた作業であるべきだと言うのだ。

「銀行の規制と同じです。当局は、銀行が効率的なシステムを導入しているかを見て監査します。私たちも、そうしたかたちを考え方をするべきだと思うのです」

また彼は、コンテンツを削除すること(だけ)を意味するものではないと話す。ソーシャルネットワークには、削除すべきでないコンテンツが削除されないよう責任を果たす必要もある。

理想的な世界には、ソーシャルネットワークが特定の書き込みの状況を問い合わせられる中央所蔵庫がなくてはならないと、セドリック・オ氏は考えている。

「たとえば、マリーヌ・ル・ペン(フランスの政治家)がISISの虐殺動画を公開する場合は、行政が管理するものでなくても、所蔵庫が必要です。プラットフォームはその所蔵庫に問い合わせることで、状況がすぐにわかります」とセドリック・オ氏は言う。

複数のプラットフォームが構築するニュートラルな所蔵庫と言えば想像しやすいだろう。もちろんこれで、クリストチャーチのテロなどに見られるような問題をすべて阻止できるわけではない。複製だと見抜かれないように、ほんの少し手を加えてその動画のアップロードを繰り返す人たちが大勢いるからだ。

フランスの規制当局に目を向けると、セドリック・オ氏は、まだ何も固まっていない言う。CSA(視聴覚最高評議会)やAECEP(電子通信郵便規制庁)には、そしておそらく複数の規制当局がひとつになって、新しい権限を備えることができる。だが、HADOPI(不正ダウンロード取り締まり法)が、これらの中のどの位置に納まるかは不透明だ。いずれにせよフランス政府は、規制を欧州レベルに強化したいと考えているのだ。

どの場合も、セドリック・オ氏は先を急がない。新しい規制の枠組みを導入する前に、政府は、ソーシャルネットワークがコンテンツを適正化する方法を把握しておかなければならないからだ。フランス規制当局はFacebookの協力を得て、同社の方法がどのように機能するかを見てきた。その最終報告は、間もなく発表される。

新しい高みへ

この数週間で、フランスのスタートアップ数社が巨額の投資を獲得している。なかにはユニコーン企業に達したものもある。フランスのテクノロジー・エコシステムを数年間見てきた人間なら、さほど驚くことではない。しかし、セドリック・オ氏は、フランスのハイテク産業のイメージを向上させなければならないと考えている。なぜなら、評判が悪いからだ。

「(議会での)私への最初の質問は、デジタル包括性についてでした。私も何度も聞いてきた問題で責め立ててきたのです。『スタートアップはよいが現実とかけ離れている』というのです」と、パリで開催されたLa French Techの演壇で話していた。

「ひとつ、変えなければならないことがあります。そしてそれは、将来に向けた私からのメッセージになります。フランスのテクノロジー・エコシステムは重要だということです。もし、自分の子どもや孫に仕事を与えたいと思えば、スタートアップなしには考えられません」

調査によれば、フランスと英国は、欧州で最初にベンチャー投資の取り引き数と総投資額で1位の座を争っているという。フランスにも、世界有数の工科大学がある。シリコンバレーの最大手ハイテク企業で働くフランス人データ科学者やAI専門家を見れば、その実力がわかる。

しかし、フランスの上場企業を見ると、そのほとんどがインターネットやパソコンが登場する以前に設立されている。

「(官邸では)私は、スタートアップにではなく、大企業にフランスの出資が集中していることを心配しています」とセドリック・オ氏は言う。インタビューの朝、彼は何度も同じ数字を口にした。「米国では、純雇用創出数の50パーセント近くが、ハイテク産業関連なのです」。

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(翻訳:金井哲夫)

パーキング・ロボットがリヨン空港に登場、将来は6000台がロボット駐車に

Stanley Robotics

米国時間3月14日、リヨン・サンテグジュペリ空港の駐車場でフランスのスタートアップであるStanley Roboticsが自動走行によるパーキング・ロボットをデモした。現場で取材することはできなかったが、これは便利そうだ。今月末には実際の運用が開始されるという。下のビデオで概要がつかめる。

このスタートアップが開発したStanと呼ばれるロボット車両は、駐車場の入り口でユーザーの車を文字通り「拾い上げて」くれる。ドライバーは空きスペースを探して広大な駐車場の奥まで入っていかずにすむ。駐車など大した手間ではないと思うかもしれないが、巨大な迷路のような空港の駐車場を考えればそうではない。

実は有料駐車場は多くの空港運営企業にとって重要な収益源になっている。しかし既存の駐車スペースは有限であり、ターミナルを追加するたびに新たな駐車スペースを確保しなければならない。これは空港にとって次第に難題となっていた。

これがStanley Roboticsが自動駐車ロボットを開発した背景だ。Stanは既存のスペースに大きく手を加えることなく自動駐車場に変えてくれる。コンピューターが空きスペースを管理しロボットが正確に駐車を行うので効率は大きくアップする。ドライバーは空きを探して駐車場から駐車場へと走り回らずにすむ。実際ロボット化により、同一面積に駐車できる台数は平均50%以上アップするという。

たとえばユーザーが長期間旅行する予定である場合、Stanはユーザーの自動車を後列に駐車し、その前方に他の車両を詰めてしまう。ユーザーが戻ってくる日になるとロボットは自動車をもっとすばやくアクセスできる位置に移動する。

リヨン空港の駐車場にはStanley Robotics専用に500台分の駐車スペースが確保されている。4台のロボットが昼夜を問わず動き回って車を出し入れする。空港を運営するVinci AirportsとStanley Roboticsはすでに専用スペースの拡張を考えており、最終的には6000台がロボット駐車できるようになるという。

リヨン空港のウェブサイトから駐車スペースを予約する場合、1週間で通常料金(P5+区画)は50.40ユーロだが、ロボット駐車を利用すると52.20ユーロとなる。

現実の路上は予測不可能な状況が多いため自動走行車の導入は簡単ではない。しかしStanley Roboticsは空港にロボット駐車専用区画を確保することでそうした困難を一掃した。たとえば歩行者はこの区画に立ち入ることができない。車の受け渡しは駐車場の表にあるガレージで行われる。ドライバーは車を駐めてガレージから出る。表のドアが閉まった後でStanが裏のドアから車を運び出し、所定の駐車スペースに運んでいく。ドライバーはシャトルバスでターミナルに向かう、という仕組みだ。

Stanley Roboticsのロボット・パーキングが成功すれば、フランスだけでなく各国で空港を管理、運営するVinciはこの提携を世界的に拡大するかもしれない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

フランスのフリーランサー向け銀行サービス「Shine」が有償化

フランスのスタートアップ、Shineはフリーランサーに必要な唯一の業務用銀行口座になろうとしている。これまで2万5000人がサービスに登録し、最近同社は930万ドルの調達ラウンドを完了した。

Shineはフランスのフリーランサーをあらゆる段階で支援しようとしている。登録すると、フリーランサー・ステータスを得るためのペーパーワークをアプリが手伝ってくれる。その後カードと銀行情報が手に入る。

ユーザーは請求書の作成、支払いの受付、さらにはスタッフの給料支払もできる。口座の開設と基本的取引は現在は無料だが、1月21日から、利用者のステータスに応じて月額4.90~7.90ユーロの料金が発生する。

フリーランサーで収入が7万ユーロ未満(「Auto-entrepreneur/個人事業主」と呼ばれる)の人は月額4.90ユーロ、それ以外の人はもっと高い料金を支払う。これは、ほとんどの業務用銀行口座よりもまだ安い。既存ユーザーは料金を支払う必要がない。

同社は 過去にプレミアムプランに言及したが、今回は全員に同一機能を提供する単一プランだ。インディーズのライフスタイルに真剣に取り組んで多くの収入を上げるひとは、もう少し高い料金を払うことになる。

この変更に加えて、同社はいくつか新機能を開発している。近々、会計処理用にエクスポート機能が強化される。小切手の入金、口座の管理をウェブブラウザーから実行可能で、請求書作成などの機能も改善される。

ただしShineは単に機能を増やそうとしているのではない。同社はフリーランサーにとって最高の銀行取引アシスタントを作ろうとしている。管理作業に関する通知を受け取れるほか、管理業務に関するどんなことでもサポートチームに質問できる。

これは、同社のサービスに関するカスタマーサポートではない——フランスの文書業務のサポートだ。それだけでも価値あるサービスだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

この小さなコンクリート製スピーカーは見た目ほど重くない

P.T. バーナムの言葉を借りるなら、「Bluetoothスピーカーは1分ごとに生まれてくる」。今のラスベガス CESほどそれが真実である時はない。信じられない数が見つかる。しかし、その中でコンクリートでできているものはごくわずかだ——私は1つしか見つけていない。しかもフランス製!

そのスピーカーが即座に私の注意を引いたのは、シンプルさと、もちろん材質のためだ。概して私は、昨今のスピーカーが作られているプラスチックとシリコンには(水のように)弾かれる。家の中で見えるところに置くのなら、木かセラミックか鉄でできているべきではないだろうか?(私がジョーイ・ロスの製品を大好きなのはそれが理由だ)。

もちろんコンクリートも。耐久性があり、クールな外観で、感触もよい——そして、磁器と同じく、オーディオ目的で使用するうえで高い品質をもっている。少なくとも、Le Pavé Parisienの誠実な人たちはそう言っていた。

スピーカー本体はシングル・チャンネル、すなわち音楽はモノラルに変換される。しかし、もう1台つなげば簡単にステレオになり、展示されていたように、たくさんつないでコンクリート壁を作ることもできる。

音質に関しては憶測しない(会場はものすごくうるさかった)が、会社はハイエンド機器として売っていたのできっと悪くないだろう。60~2万 Hz ということなので低音はある程度カットされるが、小さなスピーカーでは予想されたことだ。

  1. Devin Coldewey

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同社のエンジニアAurelien Bertiniの説明によると、コンクリートは実はエコフレンドリーで、壊して粉にして固め直すことでリサイクルできるという。労働集約的にも思えるが、リサイクルとはそういうものだ。

Bertiniは、コンクリートはカスタマイズも簡単だと言った——レーザー彫刻、染色など。前面のグリルはマグネット式で簡単に交換できる。また、見た目ほどには重くない。約1.3 kg。中は殆どが空気だ。

もっと重要なこと。このスピーカーは修理できるように作られている。グリルを外すと中味はわずか4本のネジで止められている。取り出して、部品を交換して、元に戻す。そうやって修理できる。

Le Pavé Parisienの価格は400ドルで、一般的Bluetoothスピーカーよりも少々高いので修理できるのはありがたい。最近クラウドファンディングのキャンペーンに成功したところで現在は一般販売されており、出荷は来月の予定。

CES 2019 coverage - TechCrunch

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

チャレンジャーバンクの波が法人にも――仏Qontoが1130万ドルを調達

フランス発のスタートアップQontoが、既存株主のValar VenturesAlven Capitalから新たに1130万ドル(1000万ユーロ)を調達した。現在彼らは法人向けサービスも提供しており、ウェブサイトからフランスの法人口座を簡単に開設することができるようになっている。

Qontoの目標はN26の法人版のような存在になることだ。リテールバンキングはここ数年間そこまで大きな変化を見せていないが、ビジネスバンキングの状況はさらに悪く、昔からほとんど何も変わっていない。手数料は高く、何をするにも時間がかかってしまう。

同社のサービスはデスクトップ版とモバイル版の両方が準備されており、ユーザーは口座への送金・入金を含め全てを管理することができる。利用料はフランス銀行口座(IBANも付与される)にMasterCardが1枚付いて月額9ユーロだ。

もしも新しいカードが必要であれば、1枚あたり月額5ユーロ、さらにバーチャルカードであれば月額2ユーロで発行できる。ユーザーの管理も一括で行えるため、新しい営業担当者を雇った際には、新しいカードの発行を依頼するだけでよく、モバイル端末やパソコンからその明細を確認できる。

さらにモバイルアプリには、カードのブロックや解除、暗証番号の変更、カードが使われたときにリアルタイムで通知を送る機能が搭載されているほか、限度額の変更や会計会社との明細共有も簡単に行える。

レシートをアップロードして対応する経費に紐付ける機能などもこれから導入される予定のため、会計会社や経理担当者は大助かりだろう。他通貨での送金プロセスも今後簡素化されるようだ。

今後Qontoの口座はStripe、PayPal、GoCardlesといったサードパーティーのフィンテックサービスとも接続される予定で、ユーザーはさまざまなプラットフォームの支払情報を一括管理できるようになる。

Qontoはバックエンドの処理をパートナー企業のTreezorにアウトソースしており、彼らがユーザーのお金を実際に動かしている。また、当座預金口座の開設やデビットカードの発行もTreezorが行っており、Qontoはユーザーエクスペリエンスや顧客との関係維持など、フロントサイドの業務を担当している。

細かな違いはありながらも、フランスのiBanFirst やアメリカのSeed、イギリスのTideなども似たようなサービスを提供しており、Tideは昨日1400万ドルを調達したと発表したばかりだ。市場の細分化が進んでいるように見える一方で、このような大型資金調達のニュースを聞くということは、法人向け金融サービスに大きなチャンスが眠っているということなのだろう。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

パリの超巨大インキュベーション施設Station Fに行ってきた――約3000社のスタートアップやVCが入居予定

先週木曜日の夜、世界最大のインキュベーション施設が正式にオープンした。これから約3000社のスタートアップがこの巨大な建物の中にオフィスを構えることになる。エマニュエル・マクロン仏大統領や政府関係者が参加した同施設の開所式にTechCrunchも参加した。

「この建物はStation Fと呼ばれ、Station FranceやStation Femmes(フランス語で女性の意)、Station Founder、Station Fressinetといった意味が込められている。Freyssinetは素晴らしい建築家であり、優秀な起業家でもあった」と億万長者で仏通信大手Iliadのファウンダーでもあるグザヴィエ・ニールはマクロン大統領に説明した。

Station Fはもともと1920年代にウジェーヌ・フレシネによって建設され、2011年には取り壊される予定だった。しかし、2013年にニールは奇想天外なアイディアを思いつく。彼らはこの建物を購入し、3万4000平方メートルもの広さをもつ巨大なスタートアップキャンパスへとリノベーションしようと考えたのだ。

その結果、数年が経った今も建物はそのまま残り、内部には何千個もの机や巨大なガラスの壁、明るい照明や地中海の木々が並んでいる。「リノベーション前とは見違えるほどだ。もともとは薄暗い、ただの廃駅だった」とニールは話す。

今週の月曜日から1100社のスタートアップがこの施設に入居しており、そのうちの多くはStation Fのパートナーたちが選んだ企業だ。VCも20社ほどが入居を予定しており、そのほかにも郵便局や大きなレストランが数か月のうちにできるとのこと。

海外人材や多様性へのフォーカス

簡単な施設の紹介が終わると、ニールとマクロン大統領はすぐに見学に訪れていたZenlyの共同ファウンダーをはじめとする起業家に話しかけ始めた。なお、開所式にはパリ市長のアンヌ・イダルゴやフランスのデジタル担当大臣ムニール・マジュビ、Station Fディレクターのロクサンヌ・ヴァルザブリジット・マクロン大統領夫人も参加していた。

施設の見学中に、大統領はある起業家に英語で話しかけた。彼はFrench Tech Ticketを利用し、起業のためにフランスに移り住んだのだという。それに関連し、大統領は起業家やエンジニア、投資家向けに最近ローンチされた特別なビザ、French Tech Visaについても言及した。

「ひとつひとつの執務スペースはヴィレッジ(村)と呼ばれ、各ヴィレッジには60個程の机が置いてあり、コラボレーションを促すようにデザインされている」とヴァルザがオフィススペースについて説明する。

その後、別の起業家がマクロン大統領に英語で挨拶し、続けて完璧なフランス語で話し始めた。フランス人なのか外国人なのかを尋ねられた彼は「フランスには(ニールが運営するコーディングスクールの)42のために来た。もともと生物学を勉強していたが、大統領のビデオを見てフランスへの移住を決めた」のだと語った。

それを聞いて、42の卒業生の一部は現在大統領官邸で働いていると聞いたことがあるとジョークを言うニール。

その後、ヴァルザは新しくローンチされたFighters Programについても説明した。このプログラムは、マイノリティのファウンダーに対して無料のデスクスペースを提供するというものだ。「彼らはFounders Programの人たちと肩を並べることになる。私たちは両者の交流を図りたいと考えているのだ」と彼女は話す。

既に2億3000万ドル(2億ユーロ)をStation Fの建設に投じたニールだが、さらに5700万ドル(5000万ユーロ)を使ってイヴリー=シュル=セーヌに最大600人が住める居住施設を建設予定だという。「42のモデルと似たモデルを考えている。Station Fに入居したスタートアップのファウンダーたちは親からの援助を期待できず、住むところが問題になるというのもわかっている」と彼は話す。

引き続き施設を見学していると、あるStation Fのスタッフがマクロン大統領に近づき、10秒前後の動画を撮影してよいかと尋ねた。「私たちは今日パリのStation Fに来ています。自分のスタートアップを立ち上げ、投資し、成長させたいと思っている人にはピッタリの施設です」と携帯電話に向かって話し始めた大統領は、撮影を終えると動画が32秒になってしまったと謝りながら、スタッフに携帯電話を返した。

それから見学者グループはステージに戻り、ヴァルザやイダルゴ、マクロン大統領のスピーチを聞くことに。大統領は集まった2000人の聴衆の一部と握手したり、一緒にセルフィーを撮ったりしながらステージへと向かった。

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ファウンダーの代わりにStation Fについて語った参加者たち

個々のスピーチ内容は、全体の構成に比べるとそこまで興味をひくようなものではなかった。ヴァルザがまずStation Fのパートナー企業(Facebook、Zendesk、Vente-Privée、HEC、Microsoftなど)や協力者(アンヌ・イダルゴ、Jean-Louis Missika、Jean-Michel Wilmotte、Station Fのチームなど)を紹介し、起業とは白人男性だけのものではなく、Station Fは業界の多様化に向けて努力していくと語った。

彼女が話し終わってニールに謝辞を述べると、聴衆は大いに湧き上がり数分間拍手が続く。その様子はライブ会場でアンコールを待つ観客のようだった。

ニールが若い世代の起業家にとってのロールモデルになったということに疑いの余地はない。彼は通信企業を立ち上げて大金持ちになってから、コーディングスクールを設立し、さらにはKima Venturesと共にシードファンドを立ち上げ、これまで世界的にも有名なシリコンバレーのスタートアップ(Square、Nest、Snap、Airbnb、Uberなど)に投資してきた。その他にも、彼は新聞社を買収し、Station F設立のために何百億ドルという資金を投じている。

しかし、そのニールがステージ上で話すことはなかった。

ヴァルザに続いて市長のアンヌ・イダルゴは、パリにとってのStation Fの意義について「パリは芸術都市としての側面以外の何かを求めていた」と語った。

最後にステージを飾ったマクロン大統領は、彼の政治家としてのキャリアと起業家の人生を比較しながら、他の人は自分のやろうとしていることに共感しないかもしれないが、だからといってそれを諦める必要はないう旨のスピーチを行った。

「今日の私たちをつなぎ合わせているのは起業家精神だ。周りの人は、私がどんな人生を歩むべきかについて口を挟もうとしていたが、私は彼らとは違う道を選んだ。自分の人生を他人に決めさせてはならない」

その後大統領は、VivaTechでのスピーチに沿った形で格差問題に言及し、起業家は積極的に多様性を受け入れ、社会全体に貢献していかなければならず、もしもテック業界が国を分断してしまうようなことがあれば、それは業界全体の失敗ということになると語った。

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Station Fの本当のスタート

これから数日間のうちに何千人という人がStation Fにオフィスを構える予定だ。ここまでくるのには何年間もかかったが、これはStation Fにとってのスタート地点でしかない。

同施設がパリのテックエコシステムを根本から変えるられるかどうかはまだわからないが、フランスが国内外から人材や企業、投資を誘致する上で、Station Fが素晴らしいマーケティングツールとして機能するのは間違いない。

ニールは他の人もStation Fに投資できるよう、将来的には財団を設立しようとしており、彼はこの施設から利益を得ようとは思っていないと話していた。スタートアップコミュニティの人々は、きっとニールは彼らの味方なのだと感じることだろう。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

ロボットが自動で資産管理 ― フランスのYomoniが540万ドルを調達

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フランスのスタートアップ、Yomoniロボアドバイザーを開発する有望なスタートアップだ。貯蓄の一部を預けると、あとはロボットが自動的に株式や債券を売買してあなたのポートフォリオを管理してくれる。Yomoniは現地時間1日、既存投資家のCrédit Mutuel ArkéaとIéna Ventureから540万ドルを調達したと発表した。

同時に、Yomoniのマネジメントチームは自社株を買い戻して保有比率を引き上げている。

ロボアドバイザーという言葉に馴染みがないのであれば、Yomoniのことをフランス版のWealthfrontやBettermentと考えれば分かりやすいかもしれない。これらの米国企業は成長しつつあるが、フランスではロボアドバイザーは比較的新しい概念だ。

Yomoniは今回調達した資金を利用して人員の強化を図るとともに、サービスに新機能を追加する予定だ。その例としてYomoniが挙げたのは、子どもの将来のために資産を築いておきたい親に向けた新しいプロダクトだ。また、モバイルアプリの開発についても言及があった。

Yomoniを利用して資産運用を始める場合、自分が安全志向の投資をしたいのか、または逆にリスキーな投資をしたいのかを選ぶことができる。この選択によってポートフォリオの運用成果が変わることになる ― そしてもちろん、損失を出す可能性もある。しかし、これまでのところYomoniのポートフォリオは良い成績をあげている。2016年、Yomoniが管理するポートフォリオの資産価値は2.3〜7.1%上昇しているのだ。

Yomoniは今後、手数料によるマネタイズ方法を採用する予定だ ― 手数料率は、年間1.6%程度になるとのこと。先ほど述べたパフォーマンスは手数料を差し引いた後の成績だ。

Yomoniはこれまでに2000人のユーザーを獲得している。管理するポートフォリオの総額は1290万ドルだ(ユーザー1人あたり約6500ドル)。しかし、このトレンドは加速しており、Yomoniは2020年までに運用額を10億8000万ドルまでに引き上げたいとしている。同社はこの目標達成のためにヨーロッパ各国へビジネスを拡大することも考えているようだ。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

フランスがテック関係者を対象に特別なビザの発行をスタート

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国内のスタートアップ業界を盛り上げるため、フランス政府が大統領選前最後の施策を打ち出した。French Tech Visaと呼ばれるこの新しいプログラムのもと、EU圏外のテック系人材とその家族を対象として4年間のビザの発行に関する規制が緩和される。

フランスのデジタル大臣Axelle Lemaireは、今月行われたCESにおけるTechCrunchのステージで、このプログラムについて簡単に触れていた。

フランス政府は2015年にもFrench Tech Ticketと呼ばれる、ビザ、少額の助成金、事務処理のサポートがセットになったパッケージをローンチしている。これまでに2グループのスタートアップが対象企業として選ばれフランスでビジネスを展開しており、このプログラムはうまくいっているようだ。

しかしもしもあなたが優秀なエンジニアやデザイナー、VCもしくはレイトステージにある企業を運営しているとしたら、French Tech Ticketよりも新しいFrech Tech Visaの方が理にかなっている。

EU圏内の市民であればフランスで生活するにあたりビザは必要ないが、EU圏外からの移住を考えている人はこのプログラムに応募することで、ビザ発行までのプロセスを簡素化できる可能性がある。申請者の滞在が許可されればその家族もビザを受け取ることができ、これまでにわかっている限りでは特にビザの上限数も設定されていない。

起業家向けには、French Tech Ticket以外にもアクセラレーターやスタートアップコンテストとの共同プログラムが実施される予定で、プログラムに参加すればビザが発行される可能性がある。

被雇用者に関しては、フランス政府が今後発行予定の”注目のフランススタートアップ100(+α)社”に含まれる企業に採用されれば、自動的にビザが発行される。これはエンジニアやデザイナー、マーケターなどにとっては喜ばしいニュースだ。さらに一旦ビザが発行されれば、その期間中ずっと同じ会社に勤める必要もない。

その他のテック企業は、これも比較的新しい”Passeport Talent”の制度を利用してビザを申請できる。アメリカのO-1ビザに似たこの制度を利用すれば、工学、美術、科学の分野で卓越した能力や実績を持っている人にビザが発行される。

投資家に関しては、フランス国内のVCか、新たにフランスでオフィスを構えようとしている海外のVCに勤めている人であればビザを入手できる。さらに前述のPasseport Talentも利用可能だ。

フランスのスタートアップが最近活躍しているのを考えると、これは素晴らしい動きだ。最近フランス国内だけで有能な人材を獲得することが難しくなってきており、新たなプログラムでフランスのスタートアップエコシステムが再び活発化していくだろう。

フランスのスタートアップ界にいる人からは、これまでビザの取得にまつわるトラブルの話を何度も聞いたことがあった。アメリカでのビザ取得には時間がかかり提出する書類の数も多いが、フランスでもその状況は変わらないようだ。新しい制度を利用すると本当にビザの発行が早まるのか、実際に申請者からフィードバックを聞くのが楽しみだ。

そしてもちろん、次の政府がどのような移民政策を打ち出すのかはわからないため、現フランス政府は大統領選前にこのプログラムをローンチしたいと考えている。というのも、一旦プログラムがスタートしてうまくいけば、それを止める方が難しくなってしまうからだ。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

TV視聴アプリのMolotovがコンテンツをクラウドに保存できる新機能と、2330万ドルの資金調達を発表

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フランスを拠点とするMolotovがローンチしたのは5ヶ月前だが、プロダクトのコアとなる機能はまだ利用することができなかった。今後、Molotovのユーザーは気になるTV番組や映画をブックマークして、後から視聴することが可能になる。また、新機能のリリースに加えて同社は2330万ドルを調達したことも同時に発表している。

私はこれまでにもMolotovを紹介する記事をいくつか執筆してきたが、このプロダクトは2016年で最高のTV視聴方法だということを、もう一度述べておきたい。実際、私がApple TVを利用する際にこのアプリは無くてはならないものとなった。

フランスのユーザーからの注目を集めているMolotovだが、現在のところ同プロダクトを利用できるのはフランス国内のみとなっている。だが、それでもMolotovの事をチェックしておく価値はある。様々なスタートアップやTVネットワークがMolotovと似たサービスをそれぞれのマーケットで展開しつつあるのだ。同アプリはフランスのApp Storeから「アプリオブザイヤー」の称号を獲得し、フランスのPlay Storeでも「ベストアプリオブザイヤー」としてノミネートされたアプリの1つだ。

良く統合されたMolotovのインターフェイスでは、その時に放送中のTV番組を視聴できることはもちろん、時間を巻き戻して番組の始まりから視聴を初めたり、放送後から数日たった番組であれば、過去に放送された番組を視聴することもできる。

しかし、もしユーザーがある番組を保存しておいて、6ヶ月後に観たいと思っている場合はどうだろうか?VHSで番組を録画できた時代には、そのニーズを満たすことは簡単だった。しかし、TV番組を携帯電話やコンピューターで観るようになった現代では、それは難しい。

Molotovを利用すれば、気になる番組をブックマークしてクラウドに保存しておくことができる。この機能が各種の法律に抵触しないことを確かめるために数ヶ月もの時間を費やしたが、ついにMolotovはその新機能をリリースすることとなった。一度ブックマークした番組は、様々なデバイスを利用して後から視聴することができる ― 必要なのはログイン名とパスワードだけだ。

ただし、このブックマーク機能を禁止しているTVネットワークもある。C8, CStar, I-Téléなどを運営するCanal+や、BFM TVなどを運営するNextRadioTV、そしてArteなどがその例だ。また、TF1などが製作した番組では放送中の番組を巻き戻して視聴することはできない。MolotovがTV業界にとって急進的なプロダクトであることは間違いないだろう。

コンテンツのプロバイダーたちは今でも、自分たちで何らかのソリューションを開発し、それによって大量の視聴者を獲得できると思っている。だが、Molotovが素晴らしいのは、それぞれのTVネットワークごとに存在する12ものアプリをダウンロードする必要や、どの番組がどのネットワークで放送されている番組なのか覚えておく必要がないという点だ。Molotovを使えば、フランスで放送されている全てのコンテンツを検索することができるのだ。

同社は本日、既存投資家のIdinvest、名称非公開の新規投資家とエンジェル投資家、そしてSky(この出資はすでに発表されている)とTDFから2330万ドルを調達したことも発表している。

現在、MolotovはiPhone、iPad、Androidデバイス、macOS、Windows、Linuxに加えて、比較的新しい機種のLGとSamsung製のTVで利用することができるだけでなく、Chromecastにも対応している。基本料金は無料だが、プレミアム会員になることで追加のチャンネルを加えたり、クラウドのストレージ容量を増やすことができる。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter