テクノロジー大手を狙った独占禁止法がたくさん登場しそうな状況だが、さらにもう1つある。上院議員のJosh Hawley(ジョシュ・ホーリー)氏(共和党、ミズリー州)が今週提出した新法案は、テクノロジー大手の力を抑制するための厳しい措置を盛り込んでおり、特に合併や買収を公然と押さえ込もうとしている。
その「Trust-Busting for the Twenty-First Century Act(21世紀の企業合同の打破)」と題された法案は、時価総額が1億ドル(約110億円)以上の企業の、垂直合併を含むいかなる買収をも禁じる。法案はさらに、反競争的な活動に従事していて捕まった企業の財務的苦痛を大幅に強めるために、独占禁止で敗訴したいかなる企業も、そのような事業実践で得た利益を没収される。
ホーリー氏の法案の中心にあるのは、独占を違法とするSherman Act(シャーマン法)と、反競争的行為の範囲を広げたClayton Act(クレイトン法)をめぐる官僚主義を廃することだ。そしてFTCなどの規制当局がもっと容易に、企業の行為を反競争的と見なせるようにする。現在の時代遅れの独占禁止規則は、テクノロジー産業の現実に即していない、という重要な批判が前からあった。
この法案が民主党上院でさらに強化されることはなさそうだが、それでも重要性は高い。上院の独占禁止小委員会の議長であるAmy Klobuchar(エイミー・クロブシャー)氏(民主党、ミネソタ州)は2021年初めに、買収によって競合他社を掬い上げる支配的な企業に対するバリアを作る法案を提出した。ビッグテックの力を削ごうとするクロブシャー氏自身のアイデアも、1世紀以上にわたって合衆国のビジネスをかたち作ってきた独占禁止法の改革にフォーカスしている。
共和党のこの法案は民主党の提案と一部重複しているかもしれないが、それでもトランプ時代の党派臭の強いビッグテック批判の面影はある。ホーリー氏は、シリコンバレーのこれまで眠っていた巨大企業が目を醒まし、米国人が消費する情報とプロダクトにあまりにも多くの力を行使するようになった、と批判している。民主党議員は当然こんな批判には与しないが、ホーリー氏の法案は、ビッグテックを狙った独占禁止の改革が、結論の部分では両党の考えが一致している政策分野であることを、明らかに示している。ただしその根拠については、意見が一致していない。
ホーリー氏の法案は最新だが、最後ではない。下院で独占禁止の取り組みを率いているDavid Cicilline(デイビッド・シシリーニ)氏(民主党、ロードアイランド州)は前に、1つの包括的な法案ではなく、複数の独占禁止改革法の連射を提案した。それらの法案集は、ターゲットが細かく分かれており、テクノロジー業界のロビイストたちが廃案に追い込むことが難しい。法案の提出は、2021年5月の予定だ。
関連記事:巨大テック企業を規制する米国の新たな独占禁止法案の方針
カテゴリー:その他
タグ:アメリカ、独占禁止法、米共和党
画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch
[原文へ]
(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)