Product Huntはまだ小規模な実験だが、テクノロジの世界でプロダクト方面の仕事をしている人たちのあいだで、このところ話題が盛り上がっている。まあ、テクプロダクトのRedditとか、プロダクトのローンチをめぐるHacker Newsと呼べるかもしれないが、でも、どちらもProduct Huntの本当の本質をついてはいない。
Product HuntのファウンダRyan Hooverはこう語る: “最初はぼくの友人たちとシリコンバレーの起業家たちで始めたんだ。日常の会話の中で、よく新製品が話題になる。‘今日ローンチしたあのプロダクト見た?’とかね。それはバレーの井戸端会議の定番の話題だが、かんじんのネット上には、新製品について雑談する場がなかった”。
Product Huntは2013年の11月に、リンクを共有するLinky Dinkのメーリングリストとしてスタートした。Hooverが新製品を指すリンク集を編纂して、それを友だちと共有した。毎日、その日のリンク集というメールがやってくる。それは、こんなメールが果たして一般的に必要とされているかを試すためのMVP(Minimum Viable Product)みたいなもんだった。だから、絶対にスケールしないものの完璧な見本でもあった。
“たった20分で作り、二人の投資家、友だち、そしてプロダクト関連の知人たちに送った。そして、クールなプロダクトを見つけたら教えてね、と書いた”。
昨日なんか、Andreessen Horowitzの連中がたくさんうちに登録したよ
そのMLのメンバーはわずか200名ほどだったが、フィードバックはとてもポジティブだった。そこでHooverは感謝祭の休日にNathan Bashawとタッグを組み、v1を作った。Bashawはすべてをわずか5日で仕上げた。Hooverは少人数のアーリーアドプターを招待して、改良のためのフィードバックをもらった。それから1週間後に、Product Huntは一般公開のWebサイトになった。
その後、活発なユーザと熱心な読者が徐々に増えていった。Hooverのねらいは前と同じで、Product Huntはクールなプロダクトについて誰よりも早く知りたい人たちのためのコミュニティだ。BufferのDailyもBarkBuddyもNotifyrも、すべて、テクノロジ系のブログに載る前にProduct Huntに登場した。次のSnapchatや次のAirbnbとも呼べる、今後の大物プロダクトが、続々と、真っ先にこのクラウドソースなサイトに現れるか、それが楽しみだけどね。
Product Huntは見た目もなりふりもRedditやHacker News、あるいは前のDiggにとてもよく似ている。リンクを投稿する。それらをLike(親指アップ)する。コメントも書く。すっきりとしたデザインで無限スクロール、そしてAlgoliaによるリアルタイムの検索。でも、仕掛けが一つある。
一日がプロダクトごとに分かれていて、それらのリーダーボード(ハイスコア表)みたいなものができあがる。たとえば、5月2日のトップは誰だったでしょうか? PredictionIOでした。この方式では、すべてのプロダクトにざっと目を通しやすいし、毎日訪れるのが楽しみになる。Hacker NewsやRedditにようにリンクのリストがたえず変わっていかないから、読みやすい。影響力はあるが忙しい、という人も、短時間で簡単にその日のプロダクトを展望できる。
VCのパートナーたちも、数百名がProduct Huntの登録会員だ。ただしVCには信号送出効果という厄介なものがあるから、彼らはコメントやLike(や親指アップ)を控える傾向がある。毎日のようにProduct Huntを読んでいるパートナーは、Greylock PartnersやSV Angel、Redpoint Ventures、そしてBetaworksの連中だ。Y Combinatorや500 Startupsの人たちも、読んでいる。著名なエンジェルたちも会員だそうだ。本誌TechCrunchのライターの中にも、熱心な会員が何人かいる。
“昨日(きのう)なんか、Andreessen Horowitzの連中がたくさんうちに登録したよ”、とHooverは言った。
Product Huntには新しいMLもあり、会員は数万名いる。まだプロダクトをハントしてくるハンターの方は人が少ないが、でもみんな、すごく活発だ。ぼくが本誌の記事でNotifyrを取り上げたときなんか、コメントはProduct Huntの話ばかりが多くて、かんじんの、Joost van Dijkが開発してiPhoneの通知をMacに送る、クールなかわいいアプリのことが、そっちのけになってた。
今HooverはProduct Huntにフルタイムでかかわっている。ほかに、パートタイムのデベロッパが3名、パートタイムのデザイナーが1名いる。彼が愛してやまない小さなプロジェクトは、徐々に会社っぽくなりつつある。プロダクトやVCなどの業界人だけでなく、今では一般のユーザも、Product Huntの記事を読んでプロダクトの評価を決める人が増えてるらしい。そう語る起業家が、今は多い。
“Product Huntは、プロダクトやスタートアップたちにとっての機会の地平を、格差の大きい峻険な光景から、もっとなだらかで機会均等に近いものに変えつつある”、とHooverは言う。“Notifyrを作ったオランダの無名のガキがProduct Huntのコミュニティから220ものLike(親指アップ)をもらうんだから、すごいよ。今は、App Storeのランクを上げるためなら金を使ってもよい、というデベロッパが多い。自己努力でヴァイラルなネットワークを広げているデベロッパもいる。Product Huntでは、そのどちらも要らない”。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))