デュアル4KノートPCは未来のノートPCになりうるか?、ASUS ZenBook Pro Duode検証

ASUS JAPAN(エイスース・ジャパン)はデュアル4KノートPC「ASUS ZenBook Pro Duo」を2019年8月20日に日本国内に向けて正式発表、8月23日より販売開始した。同社は台湾最大のPC、PC周辺機器、スマートフォンメーカー。ASUS以外にも「ROG(Republic Of Gamers)」というゲーミング向けブランドも擁しており、マザーボードの生産量は世界1位で、世界シェアの約40%を占めている。日本でも「BCN AWARD 2020」のマザーボード部門で、年間販売シェアトップを2006年から2019年までの15年間連続で獲得しているほどだ。

そんなASUSが昨今力を入れているのが2画面ノートPC。2018年6月5日に「Project Precog」と名付けられた2画面ノートPCのコンセプトモデルを発表し、翌2019年5月27日に実際の製品として実現したのがコンシューマー向けのフラッグシップノートPCであるASUS ZenBook Pro Duoだ。

ASUS ZenBook Pro Duo

ASUS ZenBook Pro Duo UX581GV(UX581GV-9980)の直販価格は税別46万6500円

ASUS ZenBook Pro Duo

コンセプトモデルのProject Precogには物理的なキーボードは存在しない

ASUS ZenBook Pro Duo

マイクロソフトも2020年末に2画面2 in 1 PC「Surface Neo」を発売予定。Surface NeoはノートPCとして利用する際にはハードウェアキーボードを画面上に装着する仕様だ

一体型デュアルディスプレイ環境は一度使ったら手放せない

発売から約7カ月以上が経過しているASUS ZenBook Pro Duoだが、スペックはいまだ一線級だ。CPUは8コア16スレッドの「Core i9-9980HK」、外部グラフィックスに「NVIDIA GeForce RTX 2060」を採用。メモリーは32GB、ストレージは高速なPCI Express接続の1TB SSDを搭載している。

ASUS ZenBook Pro Duo

CPUベンチマーク「CINEBENCH R20.060」のCPUスコアは3094 pts。CPUに第9世代(Coffee Lake Refresh)のCore i9-9980HKを搭載しているだけに、ノートPCとしては段違いの処理能力を発揮する

ASUS ZenBook Pro Duoの注目ポイントは、15.6型有機EL(3840×2160ドット)と14型TFTカラー液晶(3810×1100ドット)を組み合わせたデュアル4Kディスプレイ。最近ではノートPCに外付けディスプレイを接続することで作業効率を上げるのは一般的になっているが、ディスプレイを開いただけでデュアルディスプレイが出現するというのは本製品最大のアドバンテージ。PCワークを始めるまでの準備が早いだけでなく、外付けディスプレイを設置するために余計なスペースを取らないというメリットもある。

ASUS ZenBook Pro Duo

セカンドディスプレイはメインディスプレイの約半分の広さだが、それでも資料を表示したり、書類に貼り付ける画像などを置いておけば作業効率が格段に向上する

入力デバイスも実際の利用シーンをよく考えて設計されている。フラッグシップモデルにふさわしく打鍵感は良好で、右側に配置されているトラックパッドはテンキーパッドとしても利用可能だ。デジタイザーペンも標準で同梱されており、メイン、セカンドディスプレイの両方で描画可能。特にセカンドディスプレイはほぼ水平に設置されているので、自然な感覚で筆記できる。

ASUS ZenBook Pro Duo

トラックパッド右上をタップすればいつでもテンキーをオンオフ可能

ASUS ZenBook Pro Duo

メインディスプレイは角度が深いので書きづらいが、平面に近いセカンドディスプレイはタブレット端末に近い感覚で描画できる

ASUS ZenBook Pro Duo

標準でパームレストが付属。長時間テキスト入力する際には重宝するはずだ

ASUS ZenBook Pro Duo

右側面にはThunderbolt 3、ヘッドセットジャック、USB 3.1 Type-A、左側面に電源端子、HDMI、USB 3.1 Type-Aが用意されている

コンセプトモデルのProject Precogから2画面ノートPCを研究・開発し、その成果を盛り込んだASUS ZenBook Pro Duoには、2画面を快適に利用するための独自インターフェースが実装されている。ウインドーのタイトルバーをつかむと、もうひとつのディスプレイに最大化、ランチャーにピン留め、メインとセカンドディスプレイ全体に最大化の3つのアイコンが表示される。まだ複数のアプリを同時に起動して、決まった場所に配置する「タスクグループ」という機能も用意されている。

ASUS ZenBook Pro Duo

メインとセカンドディスプレイ間のアプリの移動は2画面ノートPCで最も頻繁に行う操作だ

ASUS ZenBook Pro Duo

複数のアプリをグループとして登録しておけば、3ステップの操作で一括起動し、決められた場所に配置できる

2画面PCが当たり前の未来をASUSに作ってほしい

MacとiPadではSidecarという機能でデュアルディスプレイとApple Pencilの利用を実現しているが、当然両デバイスを用意する必要がある。その点洗練さでは及ばないとしても、1台でデュアルディスプレイとペン環境を実現しているASUS ZenBook Pro Duoは、2画面ノートPCというジャンルのなかでトップランナーであることは間違いない。

だが、ハイパフォーマンス&2画面ノートPCという製品コンセプト上、本体もACアダプターもあまりにも重すぎる。パフォーマンスはそこそこでいいから、できるだけ軽量コンパクトな2画面ノートPCを求める層は必ずいる。ラインナップを充実させることで、2画面PCが当たり前の未来をASUSが築くことに強く期待したい。

ASUS ZenBook Pro Duo

ASUS ZenBook Pro Duoと専用ACアダプターの合計重量は3267.5g。毎日携帯する気にはなれない重さだ

トラックパッドに液晶ディスプレイを搭載した、ASUS ZenBook 14/15というシリーズも存在するが、トラックパッド画面が手で隠れてしまうので、2画面ノートPCとしては使いづらいというのが正直な感想だ

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TechCrunch Japan

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