データ+AI企業Databricksがローコード・ノーコード機能拡張のため8080 Labsを買収

Databricks(データブリックス)は米国時間10月6日、ドイツのスタートアップである8080 Labsを買収したと発表した。8080 Labsは、Pythonベースのデータ分析・操作ツールPandasの人気GUIである「bamboolib」を開発している。bamboolibは、データサイエンティストがコードを書くことなく、迅速かつ容易にデータを探索し、変換することを可能にする。8080 Labsは、bamboolibの無料コミュニティ版と、企業向けの機能を追加した有料プロ版を提供していた。Databricksは、これらのUIにフォーカスした機能を自社のLakehouse Platformに統合し、ローコード・ノーコード機能を拡張していく予定だ。

今回の買収は、8月に16億ドル(約1783億円)のシリーズH資金調達ラウンドを終了して以来、Databricksにとって初めての買収となる。当時、DatabricksのAli Ghodsi(アリ・ゴディシ)CEOは、この分野で資本力のある競合他社に対抗するために資金調達を行ったと話していた。競争の激しい分野で急成長している企業にありがちなことだが、そのためには、エンジニアリング人材とソフトウェア機能の両方を手に入れるための買収が必要になる。

ゴディシ氏は本日の発表でこう述べている。「2020年のRedashの買収と合わせて、ローコード・ノーコードのソリューションを好むより多くのユーザーに当社のユーザーベースを拡大していきます。Databricksにシンプルな機能を導入することは、専門知識の有無にかかわらず、より多くの人が大規模なデータセットを簡単に分析・探索できるようにするための重要なステップです」。

Databricksにとって今回の買収は、専門知識を持たないシチズンデータサイエンティストに同社のプラットフォームを提供することに新たな重点を置くことを意味する。「データとAIがあらゆる規模の企業にとって戦略的な優先事項になるにつれ、組織内の誰もがデータに基づいて質問したり行動を起こしたりする権限を持つことが重要になっています」と同社は声明の中で述べている。Databricksは、同社の自動機械学習ツールと組み合わせることで、より幅広いユーザーがデータから価値を引き出すことができるようになると主張している。また、プロの開発者にとっても、同社のUIツールでデータ変換を構築し、よりカスタムな実装が必要になったときにPythonコードをエクスポートすることで、負担が軽減されるとしている。

8080 Labsの共同設立者であるTobias Krabel(トビアス・クラベル)氏はこう述べた。「我々は、複雑なデータタスクをシンプルにし、データサイエンスと機械学習のパワーをあらゆるスキルセットのデータチームが利用できるようにするために8080 Labsを設立しました。オープンソースをルーツとし、レイクハウスというカテゴリーでデータ環境を再構築するという素晴らしいビジョンを持つDatabricksには無限の可能性があると考えており、チームの一員としてその旅に加われることをこの上なく嬉しく思っています」。

8080 Labsは4人のビジネスエンジェルからエンジェル資金を調達していたが、詳細は公表していない。

画像クレジット:Artur Debat / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)

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TechCrunch Japan

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