デート率の高さがウリ、第3世代のマッチングアプリ「Dine」提供元が1.5億円を調達し日本版リリース

マッチングアプリ「Dine(ダイン)」をアメリカ、カナダで展開するMrk&Coは11月1日、結婚相談所を運営するパートナーエージェントおよびベンチャーユナイテッドを引受先とした第三者割当増資と、日本政策金融公庫からの資本制ローンにより、総額約1.5億円を調達したことを明らかにした。内訳は非公開だが、パートナーエージェントが1億円を出資しているという。

同社はこれまでサイバーエージェントベンチャーズとiSGSインベストメントワークスから約4000万円を調達していて、累計の調達総額は約1.9億円。 今回の調達に合わせてDineの日本版を正式にリリース、まずは東京から始めて順次エリアを広げていく予定だ。

「実際にデートできること」にコミットしたマッチングアプリ

Dineは「直接会うこと」にフォーカスをしたマッチングアプリで、2016年3月にアメリカとカナダでリリースされた。海外から展開を始めていたが、提供元のMrk&CoはDeNA出身の上條景介氏と森岡崇氏が創業した日本発のスタートアップでオフィスも渋谷にある。

日本国内でもマッチングアプリが普及し始めているが、Dineも仕組み自体はシンプルで割と一般的なものだ。毎日定刻にユーザーがレコメンドされ、気に入った相手にはデートのリクエストを送る。そして双方がリクエストを送ってマッチングした場合には個別でメッセージをやりとりし、実際に会うという仕組みになっている。

特徴的なのは、よく見ると相手の顔写真の下に3件のレストラン写真が表示されていること。Dineでは全ユーザーが登録時に自分が行きたいレストランを3件選ぶところから始まり、相手にリクエストを送る際には「どのレストランで会いたいか」を選ぶ仕様になっている。

写真左からレストラン選択画面、ホーム画面、デート日程調整画面

つまりマッチングした時点では、すでに相手と「このお店で会いたい」ということまで具体的に決まっているわけだ。今回リリースした日本版ではまず恵比寿と銀座でそれぞれ50店舗ずつ、合計100店舗のレストランが対象となる。

「アメリカで人気のTinderBumbleはマッチングはするものの、実際に会える確率が低い。大きな要因として、必ずしも婚活や恋活を目的にしている人ばかりではなく目的意識がバラバラだということがある。そしてマッチング後に相手とデートするためには、メッセージスキルが必要で手間もかかるなど障壁が高い。Dineでは実際に会うことにフォーカスしていて、そのために障壁となるものを取り除くことを徹底的に意識している」(上條氏)

最初にレストランを選ぶという設計もそうだし、マッチング後のメッセージ画面にもこだわりが見える。Dineではデートのスケジュールを提案するフォーマットが組み込まれていて、候補日を選択するだけでデートの提案ができる。

当初は自由にメッセージを送れる仕様だったが、それでは脱線してしまったりコミュニケーションが上手くいかないケースがあった。そこでフォーマットを取り入れたところ、デートに行く確率が20%から40%まで跳ね上がったそうだ。

「オンラインではそこまで印象が良くなかったが、実際に会ってみるとすごくいい人だったということは恋活に限らずよくあること。メッセージが苦手だとか、オンラインの人格だけで人が評価されてしまうのは双方にとって損失。Dineではまずは短時間でも実際に会ってみることを大切にしている」(上條氏)

結婚相談所の運営企業から出資を受け、将来的には業務提携も

写真左が代表取締役の上條景介氏、右が取締役CTOの森岡崇氏。

Dineを立ち上げた背景には上條氏が前職時代にカナダに赴任した際の体験も関わっている。当時はオンラインの掲示板を通じて現地にいる日本人との繋がりが広がっていったこともあり、オンラインで人と出会うという体験にポジティブな想いがあったそうだ。

上條氏は業界の変遷も踏まえて、Dineをサードウェーブデーティングアプリ(第3世代)と表現する。

第1世代は1995年にリリースされたマッチングアプリのパイオニア的存在でもあるMatch.comのように、身長や年収など求める条件を入力し、条件に合った人を検索してマッチングするサービス。そしてスマホで使うことを想定し、第1世代の操作性を改善しながらよりカジュアルに使えるようにしたのがTinderを代表とする第2世代のアプリだ。

MAUが5000万人を超えるとも言われるTinderを筆頭に、現在北米で主流となっている第2世代のアプリだが、上述したようにユーザーの目的がバラバラなため真剣に出会いを求めるユーザーの中には不満を持つ人もいるそう。上條氏も複数のマッチングアプリを使う中で「実際に会う」というところに課題を感じ、そこにフォーカスしたDineの開発に至った。

リリースしてから約1年半が経つが、特にデート率(会話が始まってから実際にデートに行く確率)が40%と高く、それに伴ってDAUや売上といった指標も毎月120~150%ほど成長しているそう。創業者の2人はDeNAでソーシャルゲームの開発に携わってきたメンバー。データを基に細かい改善を日々繰り返していて成長の兆しが見えてきたこともあり、その勢いを加速するため資金調達に踏み切った。

今回はVCに加えて結婚相談所を運営するパートナーエージェントからも出資を受けている。具体的な話は今からとのことだが、相談所やイベント運営のノウハウを活用した新サービスなど、将来的な業務提携も考えているそうだ。

「TinderのMAUや会員数を越えようとは思っていない」と上條氏が話すように、Dineでは「デートに行ける」という部分にコミットしながら、今後アプリのグローバル展開を進めていくという。

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TechCrunch Japan

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