ニューヨークのビンガムトン大学の研究者たちが、“1枚の紙の上のバクテリア電池”というものを作った。このプロジェクトの目的は、使い捨てのマイクロエレクトロニクス製品のための、数週間程度使える電池を作ることで、そのためにバクテリア密度の濃い液体を使った。
“この方法は低コスト短時間の生産が可能で、しかもバイオ電池を、遠隔地や危険な場所、リソースの乏しい地域などで利用できる”、と研究者たちは書いている。
研究者たちが使ったのは、一片のクロマトグラフィー用ペーパーと、ワックスで覆った硝酸銀のリボンだ。電池の陽極は、ペーパーの残り半分の上の伝導性ポリマーと、バクテリア密度の濃い液体の貯水層で作られる。バクテリアの、細胞呼吸が電源になる。
この電池で電気自動車を動かすのは無理でも、ジュースを搾るぐらいはできるだろう。6つ並列で出力は31.51マイクロワット/125.53マイクロアンペア、6×6の構成では44.85マイクロワット/105.89マイクロアンペアだ。研究者たちは、用途として、グルコースセンサーや病原体の検出、あるいは小さな電子製品を数日稼働すること、などを想定している。
実はこれは、このチームが作った初めてのバクテリア電池ではない。紙を使用する最初のプロトタイプは2015年に開発し、その折りたたみ式電池はマッチブックにとてもよく似ていた。また今年の初めには、“忍者が投げる星〔手裏剣〕からヒントを得たデザイン”を披露した。